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喫茶探偵物語  作者: ゆきんこ
20/27

ハットリくん  喫茶探偵ショート その5


ー喫茶探偵物語20ー   


ハットリくん




喫茶店内。


カウンターのチヨ。


3月とは思えない陽気な温かさだな。暖房少し下げてもいいかな?



鈴鳴る。


「いらっしやあ!」


オ○Qの着ぐるみコスプレが店内に入って来る。


「・・・・・」


手には唐草模様の丸い包みを持参。


Q、じゃなくてハットリくんだ!あの写真の中の。二つ名所員。


(探偵5 二つ名 参照)


実物は写真で見るより強烈なインパクトがあり、両腕だけが着ぐるみから出て異質さが際立つ。頭の上の3本の毛は無残にも垂れ下がっていて物悲しさを語っている。


針金みたいな固定型にするとかしないと。


いや、それよりこの時代錯誤の着ぐるみは・・。


カウンター席へ着席。


漫画のような愛らしい大きい目の真ん中に穴が開いており、その穴からは人間の瞳が覗いている。


キモイ・・。


確か忍者の末裔?正体を明かせないから着ぐるみとか言ってたな。この格好でここまで?ここまで歩いて来るメンタル凄くない?


せめて今時のピ○チュウ系統とかにしないと・・いや、それでもアウトか・・。



「ご注文は?」


中年の男の声で、


「すみませんがお水いただけますか?」


今日の陽気だ、そりゃ暑いよ。脱いで来てよ。


ピッチャーで水を汲むと、コップを着ぐるみの中に入れ勢いよく飲む。


おかわり3回。


どれだけ飲むの?


「フーーー。3杯いただきました」


「・・・・・」


「本当は10杯飲めよ、って思たでしょう?」


「思わないよ!それはご飯だよ!!」


着ぐるみの中の男が笑っている。


うわー思わず強いツッコミしてしまった・・初対面なのに・・。


「アイスコーヒーをお願いできますか?」


「・・はい」


アイスコーヒーの準備。


姿格好はQ○郎なのに名はハットリくん。藤子不○雄攻めっぽい。




口の部分に穴が開いていて、アイスコーヒーをストローで飲む着ぐるみ。


「・・えっと、Q、じゃなくて、ハットリさんですよね」


「はい。ハットリ フクゾウと申します。相川さんですね。初めまして」


「相川チヨと申します」


「伝説になってますよ。採用されて1か月で誉れである二つ名を授かったという」


「・・・・・」


「通常は数年、最高記録は2年のフジシマさんです」


「・・二つ名ってそんなに貰えないものなんですか?」


「その若さでは異例ですね」


「いやいやいや、私事件なんて解決したことないですよ。雑務ばかりで役になんか全然。ここ最近は前のように尾行とか潜入とか探偵らしい仕事ないですし」


「当然です。危険な仕事はさせられません。この喫茶店の女神には」


「・・女神・・なんか、勘違いしてません?」


「ボスの信頼を得る女性は、私たちにとっても女神です」


「・・ボスの私への対応は悪戯、セクハラ、なんかこうオモチャにされてる感なんですが。それにキクチヨって映画の役名で、二つ名の体を成してないような」


「相川さんは自然体なんでしょう。性質、気質、気立て、それらが備わっている。その全てを込みでボスのツボに、フィーリングがハマったのかもしれません」


「・・フジシマさんも行ってましたが、私ただただ普通なだけです」


「その普通さがいいんです。正直ここは闇を抱えた人間の吹き溜まりですから。病的な人間ばかりです。皆も、私も」


こわいです・・。


「まあ、女神は言い過ぎかもしれませんが、この喫茶店の清涼剤というか、ムードメーカー的な感じでしょうか?」


「それでも・・そんな大層な者では・・」


ちょっとこそばいな。でも嬉しい言葉。



「ふー、今日は乾燥が凄いですね、もう1杯お願いします」


「着ぐるみ脱いだらどうですか?」


「簡単に顔を明かせないもので」


「お面とかにしては?着ぐるみよりよほど自然かと思いますけど」


自然じゃないけど。


「さすがです」


「?」


「お面はしています。二重構造です」


「・・・・・」


「相川さんほどの人物ならこの着ぐるみの下のお面が何たるものか、見破るのもたやすい事でしょう。当ててみますか?」


お面してるなら着ぐるみの意味が・・。


「相川さんは二つ名持ちですのでお面付きを晒しますよ」


「・・いえ、無理して本体は取らなくても、私別にこのままでも」


「本体は中です!これは仮初の姿です!」


なんか面倒くさい人だな・・。


頭をチヨの方に傾けて、


「さあ、頭から思いっきりバッサアッと」


「・・・・・」


「あ、毛は取らないでくださいね」



この着ぐるみを剥いだら、お面のハットリ君というわけか・・。お面を当てろ?容姿がオ○Qで二つ名がハットリくん。お面もハットリくん?

ここに来てからというもの意表を突かれぱっなし、遊ばれてると言っても過言じゃない。必ず予想の斜め上を突いてくるはず。


「ちょっと待ってください。当ててみせます」


父のコレクション、藤○全集は読破している。ハットリくんと見せかけて、・・ケ○マキ、獅○丸。いや、脇役過ぎる。もっとポピュラーなものだ。


お○Qの容姿。名前はハットリくん。・・作者繋がりでくるはず。誰でも知ってる、王道の、代表作はドラ・・・ポピュラー過ぎるか?映画にもなった怪○くんか?


ハットリが真剣な表情で身構えている。


何この心理戦?


それでも考察に考察を重ね、


これか!?


自分なりの結論に至る。



「分かりました」


頭の布に手を掛け、


「キテ○ツのコ○助さん」


コ○助の背中には刀を背負っていた記憶がある。忍者の末裔。これはいい線いってるのでは?


着ぐるみを勢いよく剥ぐ。


中の人のお面。笑うセー○スマンの喪○福造。


「分かるか!!」



  ∧_∧

⊂(#・д・)

 /   ノ∪

 しー-J |l|

         人ペシッ!!



沈黙。


着ぐるみを床に投げつけてしまった・・・。


「すみません・・」


床の着ぐるみを拾い上げる。


ハットリは笑いながら、


「一応、ヒントは与えていましたがね。ちなみにフジシマさんは「怪○くん」で外しました」


「・・・・・」


「私の下の名前は覚えてますか?」


「・・フクゾウ・・あ、喪○福造」


「相川さんもFよりA派で嬉しい限りです。・・いや、3年ぶりに二つ名が現れたということで久しぶりにこれを着ましたよ」


笑い声。


「・・・・・」


「さすがにお面まで外せません。そこはご了承ください」


「・・はい」


「そうそう、オムライスが評判と聞きました。お願いできますか?」




オムライス準備。


お面のままどうやって食べるんだろう?




オムライス完成。


「お待たせいたしました」


「有難うございます」


さあ、どう食す! 


スプーンを取るハットリ。


ドキドキドキドキ


片手でお面を外し、脇に置きオムレツを食す。


「お面取るんかい!!」


「いや、外さないと食べれませんから」


「・・そうです、けど、よね」


さっきまでの流れはどこいった?簡単に晒してもいいの?あー、だんだんツッコミが強くなっていく私・・。


美味そうに食べるハットリ。


素性は普通のおじさん。遠藤○一さんみたい。



「正直会う前は晒すつもりはなかったんですが、予想以上に突っ込んでくれて、楽しかったのでお面を取りました」


けっこう軽いな・・。


「二つ名持ちでは7人目です。素顔を見せるということは信頼と愛情の証です。私の」


それは重いです。特に愛情の部分が・・。


「これは美味ですね。これはリピーターになっちゃいますよ」




お面装着で雑談。


「ー押収されたものはテロを起こせるくらいの武器弾丸でした」


「それで兄者(二つ名)さんという人はいま刑務所ですか・・」


「はい。懲役10年コースでしたが半年に収まりました。ボスとマスターの尽力のおかげです」


「減刑なんてできるんですか?」


「コネとかネタとか、政治家に働きかけたり色々です。」


あまり聞きたくない話しだな。


「詳しく聞きますか?」


「いいです」


「マスターの政界への影響力はとてつもないものです。噂ではピー○まで影響を及ぼしてるとか」


何て言った!今恐ろしく高貴なワードを言ったぞ!ピー○?・・どれだけマスターのスペック高いの!


「兄者も、もうそろそろ出所してくるはずです」


二つ名の「兄者」か。ランボーみたいなマッチョな人かな?また濃そうなメンバーがここに来て私を驚かせてくれるのか・・。



鈴鳴る。


メイ、ボスに跨り店内に入って来る。


メイがハットリの元へと駆け寄り、手を合わせ一礼。ハットリも一礼。


この2人、師弟関係?


「4月から高校生ですね。皆の教えを守り、頑張りなさい」


「はい」


どれだけメイちゃんに信頼されてるのこの人?


「ボス、お久しぶりです」


ボス頷く。


「頼まれていたものです」


包みからスマホを取り出しメイに渡す。


「ありがとう」


スマホを弄るメイ。



「これはスマホ型護身用スタンガンです。ボスから頼まれていました。肉体戦ではメイは惨殺しかねませんので、これを使用させ失神で制御をと」


「・・・・・」


メイちゃんどれだけリーサルウェポンなの?


「現在、武器担当の兄者の代わりに、武器及び護身器具は現在私が担当となっています」


その武器と言うカテゴリーが気になるけど、知りたくもないな・・。



「相川さんもいかがですか?これには7つの機能が搭載されてます」


包みからスマホを取り出す。


「1つ目、全世界GPS3Dマップ簡易表示。追跡装置付き。


2、特殊閃光弾。


3、電気スタンガン。


4、電子ホイッスル。


5、催眠スプレー。


6、熊除け赤唐辛子粉末スプレー。


それらを搭載する優れものです」



凄い!何これ。物凄くそそられる。欲しい!


「女性の方には防犯用にお勧めの一品です」


「かっこいいです!父が持ってた昔のスパイグッズみたいです!その進化版ですね」


興味津々。


「赤唐辛子が噴射するんですか?」


「はい、この穴から」


「おー、これはいい物です!」


「このセンス、分かってくれますか。嬉しいです。マップ付き撃退グッズ。スパイ7つ道具にと模倣した私のオリジナルです」


「7つ目は何ですか?」 


ワクワク


「最大の売りの7つ目は時限装置小型爆弾で、半径2メートル以内跡形もなく粉砕することです。これは相川さんに差し上げましょう」


「要りません」





20終わり





喫茶探偵ショート その5


ゴジ○現る!



喫茶店


カウンターのチヨ。


法則がみえた!


動物とか悪戯を仕掛けるのは水曜と!いや、別に分かったからと言っても、避けようないんだけどね・・。



鈴鳴る。


ドアにはゴジ○の着ぐるみ。


「・・・・・」


ゴジ○上陸?


ゴジ○は中へ入ろうとするが、2メートルを超す巨体。サイズが大き過ぎて、ドアに引っかかり入れない状態。


えーー、リサーチ不足かよ!


横向きに押し込もうとする。


それは無理だって。大きな尻尾が邪魔過ぎるって!


諦めて後ろから入ろうと挑戦。


お、それはいいかも。


ねじり込もうとネジネジしてる姿が滑稽で可愛い。


がんばれ。アイスコーヒーが待ってるぞ!


途中で動きが止まってしまう。


あ、何か引っかかったぽい。


ジタバタしている。


これはもうただの営業妨害テロだな・・。



ゴジ○の元へ。


背中、尻尾を触る。


クオリティ高いな。この造形は最近のじゃない、昔の、かな?


腕をプ二プ二する。


ウレタン素材か。



悪戦苦闘のゴジ○。


大変だな。これからどうするんだよ。


中の人から声が聞こえる。


「あのー・・」


「・・はい」


「申し訳ありませんが、引っ張ってくれませんか?」


頼まれちゃったよ・・。


尻尾を持つ。


トゲトゲが少し痛い。


「・・じゃあ、行きますよ」


「はい」


こんなの綱引き以来だ。


「よっと!」


引っ張る。


「痛い痛い!無理無理無理!これ無理なやつ!」


えー。


「すみませんが前へ押し出してください。・・無理そうなので、今日は諦めます」


何しに来たんだよ!


押し込む。


一緒に外へと押し出すとゴジ○が転倒。



起き上がろうとするが自力では無理な様子。


ジタバタするゴジ○はこちらを向き短い腕を上げる。


哀願してるようだ。


手を差し伸べ掴み、


「よいしょっと!」


起き上がるゴジ○。


「・・有難うございます」


ペコリとお礼。


こちらもつられて一礼。


「お騒がせしまして、これで失礼します」


「・・はい」


そしてゴジ○は歩いて去っていった。道路へと。



企画倒れかよ・・・。


いや、想定外の事態と言うより、こういうコントを狙ったんじゃない?


深読みのし過ぎか?


まあ一時、なかなか楽しませてくれたよ。



喫茶店中へと入る。


中央にでかいモス○が横たわっている。


「うわあああああああ!」


「・・・・・」


ゴジ○はフェイクでこれがメインか!








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