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喫茶探偵物語  作者: ゆきんこ
2/27

ギャンブラー&アネゴ


ー喫茶探偵物語 2ー  


ギャンブラー&アネゴ



喫茶店


カウンターにウェイトレス姿のチヨ。

喫茶店内にはコーヒーとカレーの匂いが漂っている。


初日から喫茶店を任されることになった。

1人での接客も緊張するが、それを上回り探偵の仕事は正直不安しかない。

勢いで尽くすとか言ったけど、大丈夫か私?


布巾を手にカウンター席を拭く。

メニュー表が目につく。


<コーヒー カレーライス 依頼>


依頼の文字。

依頼人は注文で依頼を頼む、かな?時代錯誤のすごいアナログだ。

渋いといえば渋いが・・。


拭き掃除が終わりカウンターに戻る。


昨日の出来事は人生で一番の驚きと、そしてハード過ぎた。

探偵所長は元人間の犬。探偵に扮しての推理。

それに昨日の金貸しの人たち・・。



回想 


前日喫茶店への帰宅時。


「ただいま戻りました」


知らない男が顔面腫れあがり、床へ転がりもだえ苦しんでいる。


「え?え?」


マスターは笑顔で、


「ご苦労さん。ライブで推理劇観てた。最高だったよ」


ライブ?・・・それよりこの人は?


倒れ込んだ男を避けて店内へと入ると、

マスターの横の中年男がいきなり私の前へと土下座。


「!」


「この度はこの下っ端が大変失礼なことをお嬢さんにいたしました」


顔を床に擦り付ける強面の男。


「・・・・・」


「こいつはチヨ君の借りた闇金の金主」


金主は立ち上がり倒れてる男の方へ。


「お前も謝らんかいー!」


脇腹に蹴りを入れる。


「!!」


「このお嬢さんをフロに沈めようとしたのか?お前を海に沈めたるかぁ!

オラーッ!」


顔面蹴り。


「!!!」


「この娘の前で暴力はやめろ」


「申し訳ありません!」


倒れた男は這ってチヨの元へ、


「ずみまぜんでじた・・・」


「・・・・・」


金主は申し訳なさそうに媚びるように、


「安西さん(マスター)の身内とは知らず非常に怖い思いをさせました」


あなたが一番怖いんですが・・。


倒れ込む怯えた男の手をかざし、


「何本で許してくれますか?」


両手を出し、いいですいいですとジェスチャー。


「10本ですか?」


違う違うと首を横に振る。


「今後の仕事に差し支えますので、できれば片手だけで納めてもらえれば。

片手だけなら手首ごとでもかまいません。それで勘弁願えますか?」


言ってることが無茶苦茶で涙目になる。


「怖がってるからもういい。指は勘弁してやれ、用は済んだ、帰れ」


「有難うございます!行くぞ、オラッ!」


店内から出ていく2人。


「債権譲渡はした。闇金の方は片がついたから安心していいよ。

君の元彼も捕まえる。慰謝料もガッポリ取るから」


満面笑みのマスター。


「・・・・・・・」


回想終わり



怖い顔の金主より、優しい笑顔のマスターが逆に怖かったです・・。


けど本当に借金問題がなくなるなら、感謝してもしきれないな。

探偵のお仕事もウェイトレスの仕事も期待にそえるようしなければ。


気合を入れる。


入口のドアの鈴が鳴る。


30歳前後の美女と60歳前後の男性老人が店内へと入って来る。


「い、いらっしゃいませ」


「聞いてるよー新人さんね」


カウンター席に座る2人。


初のお客さん。マスターから聞いてた人相と一致する。

この2人はボスの秘密も知っているとのこと。


「昨日採用されました、相川千仍と言います。よろしくお願いします」


老人が頷く。


「よろしくねー、私ミヤコ、仲良くしましょうね」


「はい、お願いします!」




老人ヨシダはコーヒーを飲みながらノートパソコンを操作。

このお爺さん、ブラインドタッチ早過ぎ・・。


ミヤコと名乗る女性はスマホ画面を見ながらカレーを頬張っている。

ミヤコさん、そのスレンダーな体形で5杯目・・。


「ごちそうさま」


ミヤコにコーヒーを差し出す。


「ありがと。ねえチヨって呼んでいい?」


「はい、よろこんで!」


「ミヤコって呼んでね」


「はい、ミヤコさん」


「若くて可愛いねー好みよー」


「いえ、ミヤコさん美しいし、スレンダーで羨ましいです」


大人の色気というか、私には皆無な特に大きな胸が羨ましい・・。


「どこの機関から来たの?」


「・・機関?」


「えっ?違う?」


「普通の情報誌ですが」


「飛び込みで面接?」


「・・はい」


「受かった?」


「一応」


驚く2人。


何故にこんなに驚くの?


「下手ですけど演劇やってましたし、モールス習得してますし、

試験も運よく解けました。少しタイムオーバーしましたけど」


「それだけで採用されないって」


「・・・・・」


「面白い子が入ったわね」


頷くヨシダ。


「探偵とか全然ですけど・・」


「チヨはここに正式に雇われたわけね。じゃあ私たちの同僚、仲間ということね」


「・・お2人ともここの、探偵社の方なんですか?」


「聞いてない?」


首を横に振る。


「説明不足は相変わらずね。私もヨシダもボス率いるここの所員よ。

ボスが認めたならチヨはもうここのファミリーの一員ね」


「ということは、私たちはチヨの事を深く知らなければならない」


「・・私なんか経歴とか平凡ですけど」


「いえ、もっと本質的なものを知りたいの。

これからはお互いに信頼関係を築いていくの、分かるでしょう?」


頷く。


「ヨシダ、昨日のVは?」


「転送の用意をする」


「ブイ?」


「面接の時のV」


「・・いや、それはちょっと」


「仲間の事は何でも精通しておくのがここの流儀。これから共に働いていくんだから」


「・・でも」


「チヨが今まで築いてきた人生、性格、嗜好、男性遍歴から性癖まで、

私は何でも知っておかなければならない」


「・・性癖は、ちょっと」


「どうして?私の性癖から明かさなければダメ?」


「いえ、性癖はいいですから・・」


「所員の間で隠し事や秘密はないの。一蓮托生、運命共同体の上に成り立っている。

もしチヨが命の危機に晒されるようなことがあれば私たちは迷うことなく命を懸け捧げる覚悟。

たとえ我が身が犠牲になろうとも。ねえヨシダ」


頷くヨシダ。


「・・あの、ここってそんなに危険な所なんですか?」


2人はしばらく考え込む。目が合うと反らされる。


何故反らす!


「とにかくそれほどまでに私たちの結束は固く、絆は強く結ばれているの!」


はぐらかしたよ!


「お互いがお互いのことを熟知し合う。これは必然。

今後仲間となるチヨを見極めるにはVは必要不可欠」


「ほんとに観られるのが恥ずかしいんです・・」


「じゃあその対価として私の恥ずかしい部分をご所望するから」


「・・そういうのもいいですから」


沈黙。


「そんなにイヤ?」


「昨日の面接観たら2人とも引きますから」


「チヨ」


「・・はい」


「私に対して引いた?」


「・・・・・」


「かなり引いたでしょう?」


「ドン引きです」


「じゃあ、引く同士おわいこじゃん」


なにその理論?


「それでも昨日のは、・・いや、私に観せないと言う権限はないんですけど・・」


沈黙。


「そっか、ご免。無理強いして。プライバシーだもんね」


「・・・・・」


「大丈夫、チヨにこっそり秘密で観るなんてしないから。ヨシダ、コピーは破棄よ」


「そうか」


「チヨに嫌われたくないからね。ご免ね」


「・・いえ」


俯き落ち込むミヤコ。


「悪かった、チヨの気持ちも考えないで最低ね。いつも私はこうなの。


暴走して知らず知らずに人を傷つけてしまう。本当に馬鹿」


長い沈黙状態。


絶対これは計算だ。空気重くしてるよ。


俯いたままのミヤコ。


まいったな・・。


ミヤコは立ち上がり、


「ご免、嫌な思いさせて・・。帰るね」


「・・ミヤコさん、なんかもう逆に観てもらいたくなりました」


訳わからない交渉術に負けた・・。


ミヤコの目が鋭く光る。


「チヨ、信じてた!」


やっぱり・・。


「じゃあ手始めにチヨの性癖ね。教えてもらうよ」


「それはダメです」


「必然」


「必然じゃありません」


「ムー」


不満顔。



「準備できた。昨日のは3つあるな。面接、殺人事件推理、闇金」


ミヤコは期待に満ちた目でチヨを見る。


「好きにしてください・・」



鑑賞後。


赤面するしかない・・。何でみんな撮ってるの?恥ずかしい・・。


ミヤコに後ろから抱きつかれる。


「チヨ、ここに来るまで辛い思いをしたのね」


「・・いえ、マスターやボスに助けられましたから」


「それじゃ私も今晩ベットの中で助けてあげないと」


「・・そんな趣味ありませんから」


「じゃあ、今日がチヨの初めてということで」


「お断りします」


「モー」


どうしてもオチをつけたい人?

けどうまいなミヤコさん。無茶苦茶だけど、人肌触れるのちょっと嬉しいかも。


「お手。そこでそうくるかー。意外性ありまくりね」


昨日の出来事を思い出す。あれはもうどうしてだろう、混乱してて・・。


「ボスに死ねと啖呵切って生き残った人間初めて見たな」


何それ!私死ぬの?ボス何者!


「なかなかの逸材だ」


「想像以上。推理の言い回しも完璧!」


恐縮する。



スピーカーからボスの声。


<この2人はギャンブラーとアネゴだ>


え?・・何そのネーミング?


<元彼の制裁はこの2人に任せる。男に未練は残ってるか?>


「・・残ってません」


<後はそちらで任せる。アネゴ暴走するなよ>


「まっかせて!さて、ギャンブラーヨシダ。どうしますかね?」


「嬢ちゃんはカタにハメられた。借金漬けにされ役者の道も閉ざされかけた。


それ以上の目に遭わせてやればいい」


「万死に値するね。情報は?」


「前日から頼まれていた」


タブレットに元彼の画像、家族構成、出身地等の個人情報。


「それと調べただけで6人の被害者。

主に嬢ちゃんと同じ連帯保証人の手口。他にも詐欺、恐喝、暴行。

その他はヒモ状態の女が分かってるだけで2人」


「節操なさ過ぎね」


本当に禄でもない男に引っかかてたんだな・・私。


「法に乗っ取ってもたいした罪にならないし、お金もたいして戻ってこない」


「いつものように囲うか」


「だね」


この2人も心強いけど・・この人たちもマスターのように別の一面を持ってる系?


「あの、私のために無理してほしくないんですけど」


「優しいねー。チヨには私らみたいに染まってほしくないわねー」


染まるってなに?


「あくまでグレーゾーンで攻め込むから安心して」


「借金返済とは別に、精神的慰謝料は300ってとこか」


「他の被害者たちにも多少返還させると。ペナルティは多いほど苦しめるしね」


「・・・・・・・」



タブレット画面。


「2日前から都内のビジネスホテルに滞在。

2時間前、顔認証で○○駅コインロッカー使用を確認。現在は○○町、○○で昼食」


個人の情報ってこんなに簡単に特定できるものなの?

昨日の私の借金も異様な速さで調べられてたし・・。


「今日の宿は、高級ホテルを予約」


「次の獲物ね」


「1泊10万のスイートルーム」


「分かりやすいねー。この気合の入れ方はモデル、芸能関係かね?」


「逢引きの女をフジシマに頼むなら、アレか?」


「アレだとニュース映像?いいねいいね」


穏やかでない内容に茫然としてると、


「心配するな。殺しはせん」


「今までのツケを払わせるだけ、それだけの事をしたんだしね」


ミヤコにっこり。


やっぱり、裏の顔は怖い人・・。




夜。


○○プリンスホテル。


スイートルーム内の隠しカメラ映像。

元彼が電話を掛けてる姿。


「-あっ?ちょっと待て!、おい、ちょ」


通話切れる。


「ちくしょうが!どれだけ金かけたと思ってるんだ!クソ女が!」


椅子を蹴り、怒り心頭で部屋を出て行く。




隣室のスイートルーム。

その映像をヨシダと一緒に観ているチヨ。


ヨシダがスマホで、


「そっちに行くぞ」


一体これから何が始まるんだろう・・。



最上階ラウンジバー。隠しカメラ映像。

カウンターで一人カクテルを注文するミヤコ。


元彼がカメラの視界に入り女性客を物色している。

ブランド物を身に纏っているミヤコに狙いを定め近づく元彼。


「隣り、いいですか?」


「誰?」


「約束した女性に振られ、いま寂しい時を過ごしてます」


「それで?」


「貴女のような美しい女性に孤独は似合いません。寂しい者同士一緒にどうですか?」


「・・・・・」


「貴女を見た瞬間初めてボクは美しさの意味を知りました」


「・・それって口説いてるの?

こんなおばさん口説いてもしょうがないでしょう?」


「ここに貴女ほどの美しく鮮やかな花は咲いていません」




映像を観ているヨシダが、


「聞くが、これが元彼か?」


顔を覆ってるチヨ。


「まさかと思うが、この陳腐な言葉になびいたのか?」


「・・言わないで」


「花ってなんだ?」


「・・勘弁してください」



スイートルームのカメラ映像。

テーブルにルームサービスの食事、ワイン。


「年上の、女性ー、若い、ダメ、もっと、・・・飲んでーーー」


「おいおい、部屋に誘っておいてダウンですかー?」


眠りにつく元彼。


ミヤコ、カメラに向かって薬瓶片手にピースサイン。




部屋に入ってくるミヤコ。


「ねえねえチヨ、鮮やかな花ってなーに?」


「もう、ミヤコさんまで・・」


「美しさの意味を知りました。キリッ、ってギャグよね?」


顔を覆うチヨ。


ミヤコ笑い隣に座る。


「まあ今どきの若者よね。顔は良し、歯が浮くけど話し上手。

心細いときは、まあ良い子は引っかかるかもねー」


「・・・・・」


「あの手の男は体目当てよりお金ね。セックスはただの手段。

お金ありきの。これで性欲が強く執着してるなら目も当てられない。

いまだに束縛されてたでしょうね」


「チヨ!これから人生経験を積んで男を見る目を養うのよ!」


「はい、これからいろいろ教えてください、ミヤコさん!」


「よろこんで!さあ、まずこのお姉さんの胸に飛び込んで来なさい!教えてあげるよ!」


「・・・・・」


「この為にこの部屋を借りたの!

別に事務所でも事足りたけど、チヨと2人きりになりたくてスイートルームに決めました。

だって、チヨの初めてなんだから・・。

ちなみにここは経費が落ちなかったので私の自腹です!」


「・・・・・」


ヨシダが腰を上げ、


「オジャマ虫のワシはこの辺で失礼を」


「行かないで、ヨシダさん」


「え?チヨ大胆、3P? ヨシダは歳であまり元気がないと思うぞ」


「何言ってるんですかミヤコさん、怒りますよ!」


「・・しょぼん」




朝。

カメラ映像に血まみれのベット。


仰向けのミヤコの胸からは血。


元彼が目覚め右手のナイフに気付く。

血だらけのミヤコを見てパニック状態。


慌てて着替え部屋から出て行く。


起き上がるミヤコ。カメラにピース。




駅。コインロッカー。

カメラ映像。


元彼はコインロッカーで荷物を取り出す。

黒服の男数名に取り囲まれる。

喚く元彼を電気スタンガンで気絶させる。




倉庫。

カメラ映像。


薄暗い建物のなか、椅子に縛られ恐怖に怯える元彼の姿。


入口のドアが開き明かりが点く。

サングラスを掛け、杖を片手にヨシダ登場。


それを見て怯える元彼。


「聞いてくれ!オレは関係ない!何もしてない!」


「・・愛人でいい女だった。情に厚く、深く・・」


「オレじゃないオレじゃない、起きたらああなっていた!」


スマホを取り出しニュース映像を見せる。


「○○プリンスホテルで殺害された被害者田辺美子さん32歳。

ホテルの監視映像から殺人事件の容疑者として、川口和也の犯行と、全国指名手配ー」


「違う!信じてくれこれは何かの間違いなんだ。オレじゃない!」


サングラス越しに睨むヨシダ。


「信じて・・」


「通用するか?その言葉。・・もう喚くな」


「・・・・・」


「お前の運命を選ばせてやろう。

山奥深くタコ部屋強制労働30年。

マグロ船20年。

全臓器摘出」


ヨシダ、ナイフ取り出し、

「男性器切断」


「・・・・・・・」


「この4つだ。選べ」


「・・イヤだ・・・許して・・」


泣きだし、お漏らし。


「選べ」



動画終了。




事務所。


動画が終わり神妙な顔をする私にボスは、


<溜飲下がったか?>


「・・はい」


<心配か?>


「・・・・・」


<危機感ないな。ここに来なかったらソープ嬢、AVコースだったぞ>

<実際に2人ほどそのコースに落とされてる>


「・・その2人を救うことはできますか?」


<アネゴはそのつもりだ。他の被害者も微力ながら金を振り分けるそうだ>

<その分元彼に負担がかかるがな>


「・・自業自得ですね」


<思ってたより金も貯めこんでいた。何十年も酷くは責めん>

<まあ4、5年の重労働で自由の身だ>

<その後は殺人を犯したと勘違いしたまま一生を怯え日陰者になるがな>


<いい落としどころだろう>


「・・感謝します」


<慰謝料だが借金を清算した残りが300、お前のものだ>


「お金なんか要りません。依頼料につけてください」


<欲ないな、受け取っておけ。こちらは500ほど取る予定だ>


「私はお金以上の物をここから頂きました。

被害者の女の人たちに私の分、分配してください。お願いできますか?」


<アネゴに言っておく>


「有難うございます」



<終わったな>


「はい」


ボスに寄りかかる。


「今だけこのままでお願いします」


「怖かった・・・。本当に不安でした」


「私、もっと自分にも人にも立ち向かえるよう強くなりたいです。

行動を起こせるように、逃げ出さないように、自信を持てるように。

人を見る目、頑張りたいと思います。

もし私の行動や考えが間違ったりした時は叱ってくれますか?」


頷くボス。


ミヤコが入って来る。


「あらあらあら、私は仲間外れですか?」


「ミヤコさんも来ますか?」


チヨとボスを見て、


「さすがに獣との3Pはレベルが高いわね」


<お前の頭はそれしかないのか>


やり取りに笑ってしまう。


ミヤコはボスと私の間に入る。


「美人さんに暗い顔は似合わない。やっと心から笑ってくれたね」


「・・はい」


笑顔にもなる。なんと心地よく、いい人たちなんだろう?

ここが今の私の居場所なんだ。


ミヤコに寄りかかる。


私の大切な場所。喫茶店探偵物語。


今日はこのまま寄りかかって眠りにつきたいな。



2終わり



上着を脱ぐミヤコ。


「さあチヨも」


「・・・・・」


チヨの上着に手をかける。


それを阻止。


「いやいやいや、え?本気?」


「私はいつでも本気で生きてるよ」


「いいところで終わったような感じでしたが・・」


「私への報酬と受け取ってくれれば」


腕を絡み込んでくるミヤコ。


「わ、わっ、待って待って!」


必死に逃がれようとする私の姿と絡むミヤコに、


ボスは飽きれたように見てエンターを押す。


<他でやれ>


やらないよ!助けてよ!



終わり



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