オレオレ詐欺
ー喫茶探偵物語15ー
オレオレ詐欺
事務所。
メイ 「ツモ。リーピン1発、純チャンリャンペーコ。ウラドラ・・・なし、ばいまん」
ミヤコ 「・・・・・」
テーブルにうつ伏せ動かなくなるミヤコ。
コーヒーを運ぶチヨ。
何かの呪文?
第4局開始。
週に1度、ボス、ミヤコさん、フジシマさん、ヨシダさんの4人が集まればマージャンが始まる。
4台のテーブルパソコンモニター直結して改造。
ボスのマージャン用のキーボードが大きいのは笑える。
今日はヨシダさんが支店に出向で、メイちゃんが代打ちというやつらしい。
メイのモニターを覗く。
一萬と、目玉のオヤジと、鳥の絵が三つずつ。
なるほど、ドンジャラと同じ要領だな。
中が2つに、4の玉、5の玉。
メイの配牌に6の玉がツモる。
「ツモ、サンショクドウコウ」
「・・なにその引き」
「3巡目ですよ・・」
メイちゃん、強いらしい。
黒電話が鳴る。
わ、めずらしい。お仕事の電話だ。
受話器を取る。
「はい」
「オレオレ、姉さん?まずいことになった!」
ん?オレオレ?
「事故で車ぶつけた!まずいまずい!」
ミヤコが肩を震わせ笑ってる。
「今すぐ200万払わなくちゃいけないんだけど、20万は用意したけど、180万足りなくて!」
「・・・・・」
「姉さん?聞いてる?・・助けて」
困惑しミヤコを見る。
ミヤコは笑顔で受話器を受け取る。
「アヤト、落ち着きなさい」
「え、うん、大丈夫。・・姉さん」
「あんた、私のベントレー勝手に持ち出した?ぶつけたの?」
「・・・あ、うん・・ベントレー、悪かった、ごめん」
「まあその声なら怪我なさそうね。相手方は?」
「衝撃で、少し怪我を・・」
「あんた、父さんからゴールドカード預かってるでしょう?それでなんとでもなるでしょうに」
「・・・なんか、落としたみたいで、手元にお金なくて」
「あーもう、バカアヤト。フジシマ!いま金庫にいくらある!」
「はい!今ですか!?・・3000万!くらいですかね!」
わざと大きな声で喋る。
「アヤト、180万ね」
「・・あと、治療費を払えって。車の破損とは別に・・慰謝料とかも」
「いくら?」
「・・200」
「じゃあ合わせて480万か」
「え?・・・そう480。あ、あと玉突き事故で、それぞれの分も・・」
「何台ぶつけたの?」
「・・3台」
「あんた、警察呼んだの?」
「呼んだ後。いまレッカー車で、ベントレーを運ぶところ」
「保険会社は?」
「・・これから」
「で、全部でいくら必要なの?」
「・・・3台、だから、全部で2800万くらいかな?ベンツもあったから」
声を出さずに笑うミヤコ。
フジシマも苦笑い。
メイは無表情で関心なし。
ボスは横になって目を閉じている。
「はあー、もう。フジシマ!保険会社に連絡して。あと顧問弁護士も」
「大丈夫!こっちで何とかするから!」
「何とも出来ないでしょうが!無職で遊んでばかりで尻拭いはいつも家族にさせて!」
「いや、お金さえ貰・・用意してくれたら。姉さんや家族にはこれ以上迷惑かけれないから。自分の力でやらないと、オレにも出来るところを見せないと!」
「バカ!責任もって行動しろよ。男を見せるチャンスよ!」
「分かった、姉さん、任せて!」キリッ
「あんたに怪我なくてよかった」
「・・・うん」
「じゃあ取りに来て、準備してるから。私の会社知ってるよね?」
「・・・どこだっけ?忘れた」
「来たことなかった?○○区、○○ビル、6階○○商社ね。姉の会社くらい覚えておきなさい」
「・・ごめん。これから警察に行かないといけないから、同乗してた友達に取りに行かせるけど、何とか頼むよ」
「分かった。2800万用意してる。6階の右だからね、待ってる」
切る。
「やー、3000万て聞いて欲でたねー」
ヨシダに電話。
「ヨシダ、仕事捗ってる?こっちはメイ強くてねー。それと今、オレオレ詐欺くん掛かってきてね。いまそっち行くから、商社のプレートあったでしょう、それに付け替えて。来たら情報元調べて懲らしめてやって。あまり酷い余罪があるなら警察に突き出していいから」
電話を終え、
「はい。解決」
「・・・・・」
「どーれ、メイ、奇跡の逆転劇見せるから」
「かかってこい」
麻雀を続投する3人と犬一匹。
「酷い配牌ねー。まずこれで、と」
「ポン」
「発ですか。流れが完全にメイさんですね」
<ゥオンッ>
「・・・・・」
今日も、平和・・かな?
15終わり




