ペット失踪事件 喫茶探偵ショート その2
ー喫茶探偵物語10-
ペット失踪事件
補足
メイシー・ウォン
偽造 中国出身 両親の事故死により孤児となる
養子として日本人(国籍は香港) 五月美夜子に引き取られる
改名 メイ 五月メイ
喫茶店。
「ごちそうさまでした」
オムレツを食べ終わるメイ。
「美味しかった?」
頷く。
メイ、テーブル席でパソコンで仕事中のフジシマの所へ。
それを見届けお皿を片付け。
相変わらず感情ないし無口だけど結構懐いてるな。私以外・・。
フジシマに勉強を教わっている。
私はオムレツ要員・・。
メイと目が合う。笑顔で答える。そっぽを向かれる。
それは悲しいよ・・私敵じゃないよメイちゃん!
閉店前。
勉強中のメイと2人きり。
真剣な表情でノートをとっている。
今の学力なら私でも教えられるはず。少しはおねえさんに頼ってくれてもいいのに・・。
鈴が鳴る。
15歳ぐらいの少年が入って来る。
「あの、ここ探偵事務所ですか?」
「・・はい、そうですが」
「犬のジョンがいなくなったんです」
ガチの依頼ですか!
「えっと、近所の子?」
「ボクは違います。この近所のお爺ちゃんの家に遊びに来てて」
「ここの事は誰から聞いたの?」
「お爺ちゃん。ボスに助けてもらえって。ボスってなんですか?」
それは答えづらいな。
「ちょっと待ってて」
スピーカーから機械音のボスの声が流れる。
「受ける」
公園。
「ここで行方が分からなくなったのね」
「はい」
ボスは少年の匂いを嗅いで歩き出す。
ボスに跨り馬乗りのメイに、
これは羨ましい!私も乗せてくれないかな?ギリ大丈夫じゃない?私?
公園から道路に出るボスを後から追う。
匂いを辿るボス。犬本来の仕草。
忘れてたけどボスは犬なんだよな。犬の嗅覚、知能があって意思疎通できるからこれは完璧ではないのか?
「いつもなら離してもすぐに戻って来るのに・・」
少年のポケットにゲーム機。
「目を離したわけね」
ゲーム機をポンと叩く。
「えっ、いや・・」
「生き物を扱うには責任が生じるの。ウソは良くないよ」
「・・はい。すみませんでした。遊んでました」
「正直でよろしい」
「・・反省します」
「大丈夫。あの犬に任せれば探してくれるから。心配しないで」
「・・はい」
「あの・・」
「うん?」
「相川先生ですよね?」
「えっ!?」
「・・間違ってたらすみません」
「A組の、子?」
「はい。覚えてなくても仕方ないです。話しとかしてないし」
沙希ちゃんとマセ子と女子数人くらいしか男子とは接点なかったな・・。
「胸ってなくなるんですか?」
「・・・・・」
なんという黒歴史!嘘つき私じゃん!
「ご免なさい。胸、盛ってました・・。ちょっと見栄を張って大きく、見せてたの・・」
私の意思じゃなかったのよ!この犬が!
「そうですか」
男の子にする話しじゃないな。
あれ?沙希ちゃんと会った時は、追及がなかったぞ?気付かないわけがない。気遣ってくれてたのか・・あーーーもう!
広い庭の屋敷の前。塀は2メートル強。
ボスが文字表を地面に置き、前足を指さしている。
それを見て頷くメイ。
少年と少し離れた場所からその光景を見ている。
怪しまれるんですが・・。
ボスからこちらへモールス通信。
<<犬、写真>>
スマホ画像。少年と犬との画像。
メイが確認すると、ボスが背を斜めに伸ばしオスワリ状態。
周りを確認すると助走をつけて走り、ボスの背中、頭に乗って塀の上へと。
様子を伺い、塀の向こう側に消える。
何このコンビネーション!それより子供に何やらせてるの!?
茫然として見ている少年。
<<帰って待ってろ>>
喫茶店。
「ーこうして転職して、今はここで働いてると」
「・・そうだったんですか」
「教員も人手が余ってて大変と。まあジュース飲んで飲んで、お菓子も」
「はい」
あー、嘘付きの私・・・。
ジュースを飲む少年。
「あの子なんか凄いですね。どういう子なんですか?」
笑う。
乾いた笑いしか出ないよ。中国雑技団出身とか設定した方がいいかな?
「日本人じゃないですよね?」
「メイよ。・・中国出身ね」
「・・中国ですか」
恋をしたか、少年。
「惚れた?」
「違う違う。好きな子は他にいます、あ、」
「あらあら。誰かな?同じクラスの子かな?」
真っ赤な少年。
「クラスの子たち元気?」
「・・はい、変わりありません」
「女子グループは?」
「・・元気ですね。話しとかはあまりないですが」
「そっか。女子とか年頃の男子は絡まないわね。まさか好きな子、沙希ちゃんとか?それはないか」
俯き顔の赤い少年。
惚れてるの沙希ちゃんか!
気恥ずかしそうな少年。
それは虎の尾を踏む行為・・虎じゃなく犬だけど。
雑談中。
「へえー。けっこう子役でテレビに出てるんだ」
「あまりたいした役じゃないけど」
「尊敬するよ。役者は私も目指してたけど、なかなかねー」
「マセ子・・笹原美緒も確かオーデションとか受けてるって」
「一緒のスクール、同じ事務所です」
「なるほど、」
鈴鳴る。
ボスの姿。メイは仔犬のハスキー犬を抱いている。
「ジョン!」
手渡す。
「ありがとう」
頷く。
メイちゃんがあの屋敷に忍び込んで取り返した?結果オーライなのか、これ?
「ありがとうね。メイちゃん」
頷く。
「本当にありがとうございます」
「うん、よかった」
「料金の方は?」
ボスを見る。首を横に振ってる。
「いいのよ。ご近所価格で無料ということで」
「いやそれじゃ」
「今度またお爺ちゃんの所に来たら、アイスでもおごってよ。メイちゃんに」
「・・はい、わかりました」
「ゲームはほどほどにね。それと、あまりメイちゃんの事は、今日の事は人に言わないでね」
「・・はい。わかりました。これで失礼します。有難うございました」
少年が店を出て行く。
「ボス!お願いがあります!私もボスに乗りたいです!メイちゃんのように!」
<・・・・・>
「パトラッシュに乗るのが昔からの夢でした!」
冷たい目で見るボス。
「お願い!」
<人間に戻ったら考えないでもない>
「それはセクハラ越えてます!」
<お前のは動物虐待だ>
「・・すみませんでした」
10終わり
11 メイ
喫茶探偵ショート その2
ショート3
チヨ、キッチンで料理。
ボスの昼食を届けに事務所へ入る。
「ボス、昼食です」
モップ犬、大型プーリーが立ってる。
「!」
「・・・・・」
また、イタズラか・・。
「変なの被って何してるんですか!」
モップを取ろうと引っ張る。
「ギャンギャン!」
抵抗。
「うわあああ!!」
手を離すと逃げるプーリー。
・・・本物?・・虐待してしまった!
柱の陰にボス。ジッと見てる。
また・・・。これもう、どうしたらいいんだろう・・。
ショート4
チヨ、キッチンで料理。
ボスの昼食を届けに事務所へ入る。
「・・・昼食です」
恐る恐る机の後ろを見るとボストン・テリア犬が立っている。
「おっ!」
またかよ・・。 イラッ
お皿の肉を凝視する犬。ヨダレ。
イギーみたいな犬だな・・。
お皿を置く。
肉にがっつくブル。
それを見届け喫茶店内に戻る。
1時間後。
スピーカーから、
<メシは?>
無視。
<おーい、チヨキチー>
イラッ
二つ名はキクチヨだろう・・。
ショート5
チヨ、キッチンで料理。
ボスの昼食を届けに事務所へ入る。
ひんやりとした冷気。
寒っ!
なに?この寒さ・・。
机への裏へと。
ペンギンが立っている。
「うおっ!」
手をパタパタとさせているペンギン。
本物だ・・ここまでするか・・。
好奇心を抑えきれず頭をポンポンする。
おーーー。
「握手握手」
握手する。
写メを撮る。
めんこいな。←(秋田出身)
柱の横をチラッと見るとボスの姿。
犬の感情はよく分らないが、ニヤニヤしてるようにも見えなくもない。
一体何がしたいんだこの犬は・・。
エアコンのリモコン設定8度。
8度って・・。
リモコンを手に取り喫茶店内へと戻る。
10分後。
撮ったスマホ画像にペンギン。
彼氏から貰った小さい縫いぐるみのペンギン。
まさか私の持ってるこのペンギンと掛けたとか?
ボスの粋な計らいか?いや、私の反応を見て嘲笑っている・・。
スピーカーからボスの声。
<チヨスケ・・・寒い>
「wwww」
しょーと6
チヨ、キッチンで料理。
こっそりと後ろから見てて、私の反応にほくそ笑む犬。
もう何があっても驚かない。ボスの思うツボだ。
心の準備をしていれば、もう悲鳴を上げることはないだろう。
警戒心のもと、ボスの昼食を届けに事務所へ入る。
目の前に小象。
「うわあああああああああっ!!!」
ぱおーーーん
鼻を揺らす象。
ドキドキドキドキドキドキ
驚かざる得ないわ!!!
一応写メを撮る。
「どこから持ってきた?」
糞をボトボト落とす小象。
うわー・・・わっ、くさっ!
ボスを見る。糞の匂いに困惑した表情。
ここお前の部屋だろうに・・。
喫茶店裏、外。
業者がトラックで小象を搬送。
見送るチヨ、フジシマ。
「ご免ね。お茶目なボスがどうしてもと」
「フジシマさん」
「はい」
「これってタダじゃありませんよね?」
「搬送、レンタル諸々200万くらいかな?ペンギンはもう少し安かったけど」
「・・・・・」
ボスを見る。
糞の悪臭から避難して道端でショボンとしている。
「ボス、馬鹿ですか?」
おわり




