エンジョイマン 6話 刺客デュース その2
_人通りの多い商店街に足を運んで正解だったな。
まさか雷坂隆の顔見知りに遭遇するとは。
さて…
「俺の名はデュースという。数年前の出来事について少し尋ねたい事があり、この男を探している。」
「数年前…そして雷坂さんに尋ねたい事って…まさかあなたは!」
「あぁ、俺は能力者だ。雷坂隆について、知っていることを教えてくれ。よければ君の名も_」
「いらっしゃいませ!そうざいの西屋です!」
突如、幼い少女の声がした。
「…な!?」
一瞬、男は動揺し、少女へと目をやった。
しかし直ぐに冷静になり、
「…店前で煩くしてすまない、用は無いんだ。」と言った。
「あ、僕はあるよ!豚カツ四つください…あれ、いつものおじさんは?」
「まいどありがとうございます!お父さんはお豆腐やさんに何か借りにいってて今いないの!」
「そうか、店番できて偉いね!」
「えへへ…」
「それじゃ!…あっそうだデュースさん、話の続きでしたが。」
「いや…今日はもういい。時間を使わせたな、すまない。」
そう言い残すと、男は去っていった。
「…何だったんだろ、あの人。」
道場
____
岡島が帰還し、昼食の時間となった。
「…この豚カツうめぇな、商店街の惣菜屋のクオリティ越えてるぜ。」
「それは良かったです松本さん!でしょ?ここの惣菜美味しいでしょ?」
「あぁ…パン粉がなんとも…」
「トオルよ、味噌汁のおかわりは?」
「あ、じいちゃん頼む。…ん?清阪、お前絶対STEELしたろ。」
「してない。」
「いや、数がおかしい。」
「清阪さん…大人気ないですよ。あ!それと雷坂師匠!」
「なんじゃ?」
「あれ…?えっと何を言おうとしてたんだっけ?」
「おいおい…若いんだからしっかりせい。」
「ははは、すみません…あ、思い出した。さっき買い物中に…」
岡島は商店街で出会ったデュースという男の話をした。
「…待て、それは妙じゃぞ。」
「え?」
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俺には金がどうしても必要だ。だから早急にこの依頼を達成し、報酬を得なければならない。
しかし、しかし。あのような、「あの子」のような声を聞かされては、人を殺す気など、少なくとも今日は、起きない。
続く