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エンジョイマン  作者: 久保屋マーユム
7/9

エンジョイマン 5話 刺客デュース その1

久し振りに仕事の依頼が入った。

この町に住む能力者を片っ端から殺せ、そういう大雑把な注文だった。

名前も明かさない、顔も見せようとしない客だったが、殺しの依頼をする人間なんてそんなものだろう。

報酬は前払いで、「大量殺人を犯すかもしれない」リスクを考慮してもお釣りがでるほどの日本円が積まれた。

俺はとにかく金が必要だった、金が欲しかった。

金のためならなんでもやる。そう決めていたからこの仕事を受けた。

___

数日調査し、やっと俺は「雷坂流道場」の名を小耳に挟んだ。

道場の住所は不明だが「数年前の戦い」に参加した格闘家、雷坂隆が経営しているらしい。

そもそも謎だらけのあの戦いに参加した者であれば、近頃蔓延している「能力者」のことを何か知っているかもしれない。

いや、あるいは彼が・・・

_そうであるなら、俺は「仕事」をこなすだけだ。

___


「で、では、始めましょう。松本さん」

「いつでもいいぜ」

その日道場では、いつも通りのトレーニングが行われていた。

内容は腰に引っ掛けたテープを制限時間内に奪った方の勝ち、というルールだ。

「はっ」

「甘いな」

松本は影に消える。

「やっぱりそれズルいなー、これじゃどうしようも無いですよ。」

岡島が途方にくれる。

「そらっ・・・取ったぜ。」

「あっ」

岡島の腰からするりとテープが抜かれる。

「勝負ありじゃな、これソウよ。諦めたらそこで人生終了と、そうお主に言ったはずじゃが。」

「そんなこと言われても・・・影の中に逃げられちゃぁ・・・」

「それでもどうにか対策を練り、勝つ方法を模索するべきなんじゃと、言っておる。」

「ま、俺とお前じゃ勝負にならねーのは分かりきってた事だが・・・始めからやる気あったのかよ?今の勝負、ハッキリ言って能力使わなくても勝てたぜ。」

「そ、そうですよね・・・負けると思ったらそこで考えるのをやめちゃう癖を治さないと、まずいですよね。自分の命に関わることだってわかっているはずなのに・・・」

「うむ、ではもう一度・・・と行きたい所じゃがそろそろ昼時じゃ、買い出しへいってこい。」

「あ、はい、おつかいは良いですけど・・・わかりました行ってきまーす。」

岡島は走って出ていく。

「いいのかよ?ジジイ。」

「あぁ、ソウは思い詰めてしまうタイプじゃからのぉ。」

「ふーん、そうかよ。それよりジジイ、今はあいつらもいねぇし、そろそろケンカしてくれや」

「はっはっ。あと半年修行したら、腕相撲くらいはしてやるワイ。」

「ちっ・・・」



___

園常商店街


「お総菜を買いに商店街まで来たけど・・・なにがいいかなぁ。うわっ」

「おっと」

ぶつかったその男は身長180センチほどで、少し痩せぎみであった。

「ご、ごめんなさい!!」

「いや、こちらも考え事をしていて、すまなかった。それでは。」

「は、はい。・・・あれ?何か落として・・・写真?」

岡島は男の落とした写真を拾い上げた。

「おい君、まて、それは。」

「こ、これって・・・!?雷坂のおじいさんの写真!?なんで・・・」

初対面の男が落とした写真には見慣れた老人の姿が写っていた。

「・・・雷坂?雷坂隆を知っているのか?」

男は淡々とした口調で問いかけた。

「え、はい。一応・・・」

男は口元が緩みそうになるのをこらえた。

「そう、か。」

_見つけたぜ。



続く。

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