帰り道
彼女と話し合う。窓の外は暗く、彼女の笑った横顔が反射して映る。時計を見ると二時間ほど経っていた。
「だいぶ時間使わせちゃったね、ごめんね」
「全然、僕は暇だから」
「そろそろ帰ろっか」
「そうだね、暗いし送るよ」
「一人で帰れるし大丈夫!家遠くなっちゃうでしょ」そう言って彼女は店を出て右に曲がった。帰り道は同じらしい。僕は慌て駆け足で彼女の元へ。
「車椅子押すよ」
「わざわざいいのに、見た目通り優しいんだね」
「僕も帰りこっちだから」
「そうなの⁉住所は?」
「4丁目13-2」
「割と近いじゃん、私2丁目」
「こっち来て住所教えての初めて」
「私も全然気づかなかったわ〜」
「あー、星見た時はお母さん呼んでたもんね」
「ごめんね、車で送ってあげればよかったんだけどあの後病院だったから」
「気にしないで、そんなに遠くなかったし」
「病院行ったら10時くらいまで残されたんだよ、お腹空いて死ぬかと思った」
「車椅子…」
「ん?なんて?」
「あ、いや、なんでもない」やっぱり車椅子には触れられない。
「ここ曲がって」
「わかった」
「あの家から2軒目の所」
「え、ここ毎朝通るんだけど」
「うそ、全然見かけないよ」
「朝わりと遅いからね」
「私車椅子だからすごく早いよ、すごく遅い時もあるけど」
「だから見かけないのか」
「たぶん、そゆこと。あ、大丈夫?帰らなくて」
「そうだった、そろそろ帰るね。じゃ」
「うん、バイバイ!」
一人になった帰り道。音がなる携帯をポケットから取り出す。
今日すごく楽しかった!明日の朝からお迎えよろしくね♪
感謝とともに図々しい内容のメッセージ。朝も暇だと思われたらしい。明日の朝からお迎えというワードにちょっと戸惑った。