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十七、君が鬱陶しい。  作者: 橘せとか
6/7

アイスクリーム

6月下旬。

「今日も暇でしょ?放課後付き合ってよ」

「まぁいいけど、どっか行くの?」

「それは後でのお楽しみ」

「わかったよ、終わったら玄関にいる」

この日の放課後までの時間は妙に長く、授業も少し憂鬱な気分で乗り越えた。


玄関で小説を読みながら待つ、ゴムがこすれる音、以前よりも早く彼女だと気づき、小説を中断する。

「どこ行くの?」

「アイスクリーム食べたいなーって」

「今日そんなに暑くないよ?」

「暑くないからアイス食べるなってルールないでしょ、それに新しくできたアイス屋さん行ってみたかったの」

「あんなカラフルな店入ったことない」

「あとさ、車椅子の女の子が一人でってのも変じゃない?」

「そんなことないと思うけど、周りは不思議に思うかもね」

彼女の車椅子はずるい。いつもあれには逆らえない。

「さ、はやく行くよ」

「あ、ごめん、車椅子押す」

アイス屋さんまでは彼女は親友の話をしてくれた。

「そんな友達羨ましいよ」

「君も作ろうとしないだけで良き友達できると思うけどなー」

「友達作ろうって思うことまでもが難しいんだよね」

「じゃあさ、私は友達?」

「僕に話しかけてくる人なんてめずらしいよ」

「それ質問の答えになってないんですけど、私はあなたの友達ですか?」

「…唯一のね」

「よかった、そう思っててくれて、私が一方的に友達だと思ってるだけかと心配だった」

「友達じゃなかったらアイス食べに行こうなんてならないでしょ」

「まぁ、それもそっか」

「あ!もうすぐだね、初めて入るお店ってなんかドキドキするなぁ」

「君でドキドキするなら僕なんて心臓何個あっても足りないよ」

そして僕たちは甘い香りのする未開の地に足を踏み入れる。

入ると彼女は5歳児のように目を輝かせ、気難しい 55歳のように腕を組み、どれにするか考えていた。

「君はどれにするの?」

「チョコミントかな」

「そうかぁ…」

するとすぐにレジへ車椅子を動かした。

「バニラ1つとストロベリー1つください」そう言って会計を済ませ席につく。僕は唖然とした。

「なんで僕のも勝手に」

「私が二番目に食べたいもの食べてよ、そして一口ちょうだい、お願い!」

思考までもが5歳児のようだった。そしてバニラの方を僕にくれた。

「バニラ嫌いじゃないから許すよ」

彼女の笑顔は溶けなかった。

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