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静かな僕
十七日後、一通の手紙が届いた。
僕は君を許さない、きっと。死ぬまで。
高校一年の秋、僕は公立高校から私立の高校に転校した。
ヒエラルキーは高くなく、特別友達がほしいとは思わない。ただ『友達の作り方』みたいな参考書があれば読んでみたい。そんなこと考えながら一日を過ごした。慣れない校舎、知らない顔、僕は呼吸するだけで精一杯だった。
登校二日目。教室や廊下では転校生の僕の話で盛り上がっているようだ。何を話しているのか、どう思われているのか、聞きたいようで聞きたくない。ただ、一番遠い教室、車椅子の女の子だけが印象に残った。
「このプリント明日までだって」「さっき先生が呼んでたよ」事務連絡が僕にできる最大の会話だった。一週間経ってもこの程度の会話か。周りは入学式からずっと一緒、羊の集団の中にヤギ一匹迷い込んだみたいだ。人生初の転校は僕には厳しいところはある。深いため息をつき、広がる白い息はすぐに風に流され消えていった。同じように高校一年としての残りの時間も流され消えていった。