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窓をあけて
眠る前には
窓をあけるの
夢を逃がしてあげたい
この部屋は窮屈よ
枕元に投げた
推理小説
犯人の独白の前に
一呼吸置きたい
覚悟のない私ですから
夜風が舞い込む
人びとの
ぬるい生活の匂い
劇的なものなど
まるで絵空事他人事
当人ばかりがそう信じている
茶番劇の幕開け
眠る前には
窓をあけるの
夢を逃がしてあげたい
あの窓に連なる明かり
あちらへお逃げよ
この部屋は窮屈
鬱憤の溜まったおんなが
結末を放り投げて
夜空を仰いでいるから
いい夢なら
誰かに
その裾を踏ませておあげ




