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32:これから………

ラストです。



Unknown



沙羯羅は凄まじい光景を目の当たりにした、貨物の中は傷付いた仲間達、意識を取り戻している者もいるが、大半が血を流しながら意識の戻った摩和羅女の治療を受けている。

ダグザは壁に背を預けながら小刻みに口を動かしている、摩和羅女は治療を、ズルワーンは治療器具を作り、アルテミスは摩和羅女の指示で動いている。


「金色孔雀」


ダグザは目を瞑ったまま金色孔雀を呼んだ、金色孔雀はと言うと、携帯での通話が丁度終わったところであった。


「貴様の知っている事を全て教えろ」


「君が考えてる事が全てだよ、これからどうなるかは―――」


「戦争だな?誰とだ?相手の戦力は?時期は?」


「まぁVSCOとその裏組織、戦力は今回の5倍は下らないかな?時期は任意だよ」


ダグザは鼻で笑った、馬鹿馬鹿しいと、しかし、ダグザの瞳から力は失われていない、それはコンピューターの様なダグザの脳内から弾き出された結果だ。


「勝機はあるの?」


「あぁ、ここにいる奴らだけで間に合う、ただ、日本支部にも隠している戦力がいるんだろう?」


ダグザの言葉が沙羯羅と帝釈天の耳に入り、驚きの表情で金色孔雀を見た。


「さすがだね、一人は今すぐにでも戦力になるだろうね、もう一人は………」


「あいつは様子見だ」


「そこまで知ってたんだ、なら話は早いね」


「阿修羅を連れ去った目的は分からないが、恐らく血が関係しているのだろう、ただ、必要だが、使い方が分からないから生かしている、………結果が分かっているのに過程が分からないとは、天竜も焦っているのだろうな」


「ホーリナーラグナロクで阿修羅(あすら)が死んだのはマズかったんだろうね」


続々と起き出すホーリナー達、中には金色孔雀が誰だか分かっていない者もいる。

最悪の事態は回避した、幸い死者がいなかった。


「後はヘリオスとタナトスだけだな」


「ダグザ、良いか?」


帝釈天が初めて口を挟んだ、ダグザは何も言わずに目で訴える、早く言え、と。


「阿修羅は取り戻せるのか?」


「当たり前だ」


「ならヘリオスを縛っておいた方が良いと思う、阿修羅がいないと知れば暴れ出す、仮に取り戻せないとなると、俺も縛っておけ」


ダグザは笑いながら立ち上がり、ズルワーンに耳打ちした、ズルワーンは何やら慌てているが、ダグザにほぼ無理矢理押され、ヘリオスの前に行く。

渋々鉄を集めると、ヘリオスを壁に拘束した、鉄で体を覆い、顔だけが出ている状態で。


「ヘリオスとタナトス以外は目を覚ましたな?」


全員がダグザを見る、皆が皆、憔悴しきっている、ダグザの体にも傷があり、負け戦というのは明確だった。


「まず、阿修羅は天竜に奪われた」


全員が薄々気付いていたが、改めて言われると自分達の不甲斐なさを悔いる事しか出来ない。


「それで、コレからどうすんのよ?」


緊那羅がダグザに噛み付くように言う、自分が守れなかった不甲斐なさと、みすみす阿修羅を奪われたこの状況に苛立ちを覚えながら。


「まずはケツァコアトルとコアトリクエ、貴様らは支部に戻り元帥にこう伝えろ、『元神選10階、ならびに日本支部、それに荷担する者は日本支部で戦力を蓄えている』とな」


「何それ?日本支部を潰すつもり?」


再び緊那羅が噛み付く、今回の全容、そして金色孔雀が何故ここにいるのか理解出来ていないのらしょうがない。


「いや、ここにいる支部長さんがまんまと宣戦布告してくれた」


「ボス、あんたって奴は!」


緊那羅が一瞬で金色孔雀に近寄り、思いっきり殴り飛ばした、支部長を平気で殴る支部員に全員が絶句、しかし、それが日本支部の流儀である。


「落ち着け、話はまだ終わってない」


「ダグザが焦ってないんだから信じるわよ」


緊那羅は苛つきながら座った、日本支部の人間からしたら緊那羅が金色孔雀を半殺しにするのは日常茶飯事、故に誰も口から血を流して倒れている金色孔雀を助けようとしない。


「戦力の集中だ、これだけのメンツがいれば新たな神選10階だろうが潰せる、だが、支部長であるケツァコアトルを巻き込むわけにはいかない、貴様にはベラルーシ支部を守ってもらい、俺らの偽情報、時には正確な情報をリークしてもらう」


「何故情報を漏らす必要があるのですか」


「まずは貴様らの表面上はVSCO側という事を示すためだ、後は嘘と真実をリークする事による撹乱。

全てはバレるのが前提だ、本質は冷戦に持ち込む事、そして、全ての目を日本支部に集める事だ」


ダグザは嫌な笑みを浮かべる、そこにいるのは策士、真っ向から打ち合えば消耗戦になるのは必至、お互い手を出せない状態に持ち込む、それがダグザの狙いだ。


「だが勝利というのも全員が天照、素戔嗚、月夜見レベルになってもらうのが前提だ、それには―――」


「な、なんスかコレは!?阿修羅はどこに行ったんスか!?」


ヘリオスが意識を取り戻し、暴れようともがいている、その声でタナトスも目を覚ました。


「祝融、その馬鹿を黙らせろ」


「はい」


祝融は得物を顕現し、ヘリオスの首を押し上げるように得物を突き付ける、その目は憎悪に歪み、今にも力が暴発しそうな状態だった。


「人の話を聞け、大人しくしていれば解放してやる」


「はっ、阿修羅が奪われたんだな?」


タナトスは痛む体を起こし、鼻で笑ってここにいるメンツを見た、それにより、ヘリオスの怒りは頂点に達する、徐々に徐々に周りが熱くなるのを全員が感じていた。


「ヘリオス、阿修羅を取り戻したいなら俺の言うことを聞け、確実に取り戻してやる」


祝融はゆっくりと得物である承影を引き、ヘリオスが喋れるようにする。


「まず聞く、貴様はコレからどうしたい?」


「阿修羅を取り戻したいに決まってるじゃないッスか!」


「今のままでは殺されるのがオチだろうがな」


「じゃあどうしろって言うんスか!?」


「強くなるに決まってるだろ」


ダグザは壁に背を預け、腕を組みながら全員に視線を向けた。


「コレから天竜を潰すまでの流れを説明する――――



















To be continued

最後までお読み頂き本当にありがとうございます。作者自身、ストーリーの展開をちょこちょこ変えていたら完結までに時間がかかってしまいました、本当にすみません。

今回は息抜き、と思っていたら最終的にはかなり濃いものになってしまいました。

次回作の参考のためにもダメ出しや、アドバイス、または感想などを頂けると嬉しい限りです。




修羅の巫女も既に3作目も終わり、次は“結”にあたる4作目です。

次回作の題名は【修羅の巫女4《天竜編》】となります。時間軸は激闘編から3年後。今まで明かしていなかった謎が全て解け、修羅の巫女の完結へと向かいます。







予告


人は彼の事を“漆黒の邪神”と呼ぶ。


VCSOを滅ぼす悪魔とも、


神選10階の悪しきを正す正義とも言われている。


一つ言える事は、漆黒の邪神の現れにより、VCSOが再び混沌の闇へと飲み込まれる。




―――くっくっく、完全になめられてるね。


―――面倒な事にならなきゃ良いんだけどね。


―――このままだと俺ら孤立しちゃうっしょ!?


―――何で何も思い出せないんスか?


―――アタシ、足手まといなの。


―――僕が守るよ。ここで朽ち果てようともね。


―――何故、俺の計算は外れない!







―――“紅蓮の剣”はね、森羅万象神が置き忘れた残りかすよ。







天竜編

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