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30:形勢逆転

本日3連続投稿を行います!




Vatican VCSO headquarters


そこにいたのは金色孔雀と迦楼羅、しかし二人とも今までの雰囲気とは違う、阿修羅の知っている二人はここまで威圧的な気配を放つような人間ではない、率直に言えば弱い。

しかし、今の二人は威嚇するかのようにその力を誇示するような気配、馬鹿でも分かる、化け物の気配だと。


「久しぶりだね、毘沙門天」


「金色孔雀じゃねぇか、テメェみたいな奴がイヤに大人しく過ごしてると思ったら………」


迦楼羅を見た。


「こういう事だったのか?」


「久しぶりじゃないか、毘沙門天、まさか君が自分の子供、しかも女性を傷付ける程に落ちぶれていたなんて、本当に落ちぶれたね?」


迦楼羅の纏う雰囲気は全く違うものとなっている、それは脳内を無理矢理封じられていたのを解除したから、コレが本来の、先代の迦楼羅と言われる存在。


「おいテメェら!俺様にも何が起きてるか教えろ!何であいつらが倒れて元帥や元老が敵になってんだよ!?」


「タナトス、ヘリオス、阿修羅と帝釈天を守って、今言えるのはそれだけだよ」


沙羯羅は臨戦態勢のため、顔を向けずにただそれだけを言った。

しかしそれが沙羯羅の最大の誤算、ヘリオスの纏うオーラが変わり、まがまがしい気配が一体を覆う、そして、得物顕現せずに、真っ黒な炎がバチカンを覆う。


「お前ら、阿修羅に何するんスか?」


「迦楼羅!とりあえず怪我人を安全な所に!」


「りょぉかいっ」


迦楼羅は一瞬でその場から消えると、次々と倒れた者達を回収する、それを見て金色孔雀は構えた、隣に現れた迦楼羅も構える。


「タナトス、後ろは頼んだよ」


沙羯羅は金色孔雀の指示に驚いていた、後ろには既に天照と素戔嗚がいる、ヘリオスはゆっくりとその二人に向かう。


「沙羯羅、後はアルテミスさんでしたっけか?」


「そうだよ」


金色孔雀は初対面のアルテミスを呼ぶ。


「阿修羅と帝釈天は任したよ、月夜見が見当たらないからね」


「ちょっと待ちなよ!あんたら二人でコイツらを相手にしようってのかい!?」


しかし迦楼羅と金色孔雀の相手は3人だけではなくなった、大黒天がそこに加わったからだ。


「金色孔雀、4人になったみたいだよ」


「久しぶりに本気出すには丁度良いんじゃない?」


「鬼にボコボコにされたくせに良く言うじゃないか」


「コレがいけないんだよ」


ドンと鈍い音をたて落ちるアンクル、ベストのようになっている、それは仮にそれが砂ならば10キロは下らないであろう。


「またベッタベタな筋トレな事」


「こうしなきゃ本気出しちゃうんだもん、こうやってバレないようにやってたから迦楼羅は記憶を取り戻せたんだよ?」


その瞬間迦楼羅の表情が険しく曇る、それは憎悪、瞳は毘沙門天を睨んでいる。


「そうかもね、彼らにはたっぷり恨みがあるし」


それを意に介さない4人、しかし確実に伝わって来る緊張感、今までの戦いとは違い、確実に元帥達は本気を出して来る。


「毘沙門天、あの二人ってやっぱり強いの?特に金色孔雀とか?」


「迦楼羅は知っての通りだ、金色孔雀に至っては未知数だ」


「兄者、データでしかありませんが、金色孔雀が支部長になってから死者はゼロ、表向き戦死となっているのは離反しています」


「金色孔雀、バレバレじゃないか」


「ありゃりゃ」


未だにおふざけモードが抜けない二人、しかし、一流はスイッチがあるもの、超一流はスイッチのバレないもの。


「だって部下が死ぬの嫌じゃん?隠してたつもりなんだけどなぁ」


金色孔雀は支部員には手に負えない敵や、神選10階が出て来れない時は秘密裏に任務を終わらしていた、また、あまりに弱い人間や戦い向きではない人間はホーリナーの世界から遠ざけたりしていた。


「危険因子二名、即排除」


「嫌だなぁ、絶対に怪我しそうだもん」


「久しぶりに血がたぎって来たぜ!」


「若造に負けはしない」


「ちなみに俺、毘沙門天よりも年上だからね?」


迦楼羅の発言に毘沙門天以外が唖然、沙羯羅や帝釈天、阿修羅とアルテミスすらも、迦楼羅の見た目は明らかに20代半ば、むしろ神選10階のダクザと年が同じと言われても納得出来る、見た目通りの金色孔雀よりは確実に年下。

しかし毘沙門天はどう計算しても40歳は超えている。


「成長まで止まったんじゃないのかな?」


「まぁ良いや、………始めようか」


元帥の一言で全員が走り出す、まず先陣を切ったのは迦楼羅とランギ。

迦楼羅はランギまで残り2mまで来ると、その場から消える、次に現れた時には大黒天に首切の鎖が巻き付いていた。


「ランギだっけ?対大量戦術っての見せてあげるよ」


大黒天をそのままランギに向かって投げ飛ばす、ランギはそれを避けるが、軌道を変えて大黒天は元帥に突っ込み、二人で吹っ飛んで行った。


「さぁ、きなよ?」


ランギは牽制程度にアヌを迦楼羅に向かって放つ、迦楼羅は首切を逆手に握り、アヌを斬りつけると、そのまま勢いを増して毘沙門天に向かう。


「ランギの馬鹿野郎!」


毘沙門天は岩貫で防ぐが、既に迦楼羅が懐に潜り込んでいた、そのまま蹴り飛ばされてしまう。

それを見ていた阿修羅達は格の違いに驚かされてしまう、神選10階では全く歯が立たなかった相手を、圧倒的な力の差で、たった一人で圧している。


「はぁ、迦楼羅ってあんなに強かったんだ」


「話は聞いた事があったが、まさかここまでとはな」


金色孔雀は後ろの方で諦めて傍観している、欠伸までしている始末。


「気を引き締めないと死ぬよ?」


気付いたら金色孔雀の体に元帥のヴァルナが巻き付いていた、そのまま宙に放り上げられ、その先には大黒天、しかしこの絶望的な状況でも大黒天が見たのは金色孔雀の笑み。

金色孔雀は空中で動けないにも関わらず一回をして、大黒天に向けて砕骨を振り下ろす。


「んぐぅ」


縛られていながらも凄まじい力、金色孔雀は着地と同時にヴァルナを解き、怯んでいる大黒天に向けて砕骨を振るう、大黒天は防いだが、防御もろとも吹き飛ばされてしまった。

しかし、その一瞬で元帥は切り返し、金色孔雀の背中までヴァルナが迫っていた。


「それはさせられないな」


ヴァルナには首切の鎖が巻き付く、しかし、迦楼羅の背中には突きを構えた毘沙門天が迫っていた。


「チェストォ!」


迦楼羅はバック宙で突きを避け、毘沙門天の頭上を通り過ぎた、その瞬間、迦楼羅の回転が速まり、膝が毘沙門天の後頭部を打ち抜いた。

普通ならそのまま地面と顔面が鈍い音を奏でるはずだが、毘沙門天の首に鎖が巻き付き、迦楼羅に背後を取られてしまう。


「君は僕の大切なものを一度のみならず、二度までも奪おうとするんだね?」


「やっぱりあいつはお前のだったんだな?でも残念な事に両方ともやったのは俺じゃねぇ」


「全部君が裏にいた!いつもいつも、君は、………天竜は何を考えている!?」


迦楼羅が怒りを露わにする。


「テメェがキレたのを初めて見たぜ、乾闥婆(けんだつば)の時はキレなかったのになぁ?」


乾闥婆という言葉に阿修羅や帝釈天は理解出来ていない様子、沙羯羅は軽く二人に顔を向けた。


「乾闥婆は摩和羅女の母親だよ」


迦楼羅の表情は徐々に徐々に怒りに染まる、しかし、その怒りの意味が阿修羅達には分からないでいた。


「まあどっちも俺は殺してないんだからかっかするな、俺に怒りをぶつけても意味ないぜ?………それともあれか?娘がそんなに大事か?」


迦楼羅の手に力が入る、それは毘沙門天に対する怒りから。


「君の手段を選ばないやり方が気に食わないん―――」


迦楼羅は急に横に飛び退く、毘沙門天の首筋ギリギリを苦無が通り過ぎた、今までいなかった月夜見の物、迦楼羅は苦無が飛んできた方に目をやり、鼻で笑った。


「まさかそんな所にいるとはね」










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