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彼の正体

 この疑問は翌日たまたま移動教室の為に廊下を歩いてて判明する。やっぱり一年生だったんだ。彼はC組の教室にいた。なんでテニスラケット持ってたの?



 放課後になり、今日はスケッチブックを持っているのでそのままテニスコートへと向かう。彼は来るんだろうか。

 テニスコートにはぞろぞろと着替えを済ませた部員が集まってきて居た。

 私を見た途端昨日の一年生が慌ててネットを用意してくれた。


「ありがとう」


 と、一声かけてベンチに座る。動機が不純なだけに申し訳なさが溢れてくる。


「君って、何?」


 また後ろから声をかけられた。あの部長ではない。慌てて振り向くと、彼がいた。


「え、何って…」


「美術部員だ。気にせず練習しろ。まずは着替えろ」


 部長またいたんだ。彼の後ろには部長がいた。


「はい」


 ちょっとふてぶてしい言い方。素直な一年生とは程遠いな。


「なんとかアリス…」


「鏡野です」


 なんで下の名前は覚えてるの。


「ああ、そう鏡野今日は帽子持ってるのか。昨日焼けて顔赤いからもう遅いかもな」


 私の答えなど聞かず、さっさと奥の部員の元に行ってしまった。あー、もう。顔が赤いのは昨日のせいじゃない。話かけられたからだ。近づくにはこの方法しかないって思ったのに、実際うまくいくと戸惑って何も言えなかった。そんなに赤いの?私は帽子を深くかぶる。



 ダメだ。なんで彼ってラケット持ってるの? 一年生は基礎トレーニングばかりで、あとは球拾い。彼も同じだ。

 これじゃあ絵に描けないよ。仕方なく他の部員を描くしかなかった。



 そんな日が何日か過ぎて行った。桜もすべての花びらを落とし枝の間には青空が広がってる。少し慣れてきた学園生活だけど彼との距離は全く縮まらない。早くしないと、絵も描かないと。




 今日の放課後テニスコートはいつもと違っていた。ホワイトボードが出されていて、そこに名前が並べてあった。どうやら、レギュラー争奪戦のようだ。あ、あれ? そこには彼の名前があった。人数は二年と三年生全てより少ない。一年生で球拾いしかしてない彼の名があるわけない、はずなのに……。

 確かに彼はテニスラケットを毎日持ってくる。使わないのにって毎日私は思っていた。

 あ、ちなみに彼の名前は部長やその他の部員が呼ぶので知っていた。サエキと。

 レギュラー争奪戦にあるのは佐伯涼。みんなはサエキ、サエキと彼を呼んでるんだから、同じサエキはいないだろう。



 おっと、テニス部じゃない、私がボードを見つめ過ぎていた。慌てて定位置に座る。もうすでにネットは用意されてるし。ごめんなさい。いつも用意してくれてる二人!



 前に描くものがないから後ろの話を聞いててもいいだろう、部長の話がはじまろうとしてる。


「部長なんで一年生の佐伯の名前があるんですか!」


 トーナメントから自分が外れたのか入ってるのか、彼が二年生や三年生を押し退けて名前があがっているからか、部長の発言前に声があがる。


「佐伯は前の学校でレギュラーだったそうだ。ほとんど在籍していないので、中学からの引き抜きだったんだろう。というわけで先生の判断でレギュラー争奪戦に名前を入れている。不服な奴も多いと思うが、そう思うなら佐伯に勝て」


 ちょっと、いやかなりのざわめきがある。


「我が部に入部する前に津島と佐伯が勝手に試合をして見ていただろうが、気にせずいつものようにやってくれ。次は毎年恒例の親善試合だ、関東大会に出るなら必ず勝たないといけない相手だ、みんな気合い入れてやってほしい。以上だ。それぞれコート準備しろ。あと、佐伯ラケット持って来い」


 ここのテニス部って強いんだろうか? 全くの運動音痴の私には見ていてもさっぱりわからない。

 だけど、あの時テニスコートから出てきた彼は、津島という先輩に勝っていたんだろう。その話が出た時にみんなに緊張が走ってた。

テニスに関する情報は詳しくありません。おかしなことがありましたらご連絡いただけたら嬉しいです。直せる範囲直します。

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