表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

涼の部屋

 神社にもちろん住んではいません。近くのうちに住んでいて、おじいさんはまた別に家があるようです。なにせ騙した形で継がせたから揉めたので同居しなかったそう。


 普通のマンションで、意外だな。神社からの想像だったからね。


「お邪魔します」

「どうぞ」


 って、涼が答える。


「あれ?誰もいないの?」

「あ、親父は仕事中、お袋は別居中。なにせ、神社継ぐんで揉めてて」


 神社って大変?


「ふーん。そうなんだ」

「こっち。俺の部屋」


 すっと涼の部屋に入って何気にベットに腰掛ける。ん!

 ダメじゃない! 私! 誰もいない彼氏の部屋に、いやこの際、男の子の部屋にすんなり上がって、なにベットに腰掛けてるの!!


 涼はと見ると嬉しげに制服脱いでます。だ、だろうけど、気にして!! 少しは! 私の存在を!

 でも見つめちゃう。あ、意外にじゃないか筋肉ついてるね、やっぱり。って!

 って!!さすがにそれは目を逸らすよ。気づいて涼!

 ガシャガシャってベルトの音がする。


「あ」


 と、言って再度ガシャガシャ音がしてる。すぐに鞄を探ってるのかビニールの音。

 良かった。涼は気づいた。

 また、涼に目を向ける。うう、ジャージと違うなあ。かっこいい。

 私って涼の外見が好きなんだろうか。初めて会ってすぐに涼に会うためにテニス部行ってるしな。


「どう?」


 沈黙してた私を見て首を傾げて聞いてくる。うん。微妙。下は制服だからね。でも、


「似合ってるよ。涼って細く見えてたから、意外だな」


 と、私の感想聞きながら何故か横に座ってくる。え! どうしようこの展開。


 焦る私に全く気づかず、どうやら鏡で自分の姿を涼は見てます。よっぽど嬉しいんだね。あれ? なんで?


「ねえ? 中学でもレギュラーだったんでしょ?」


 なぜ、レギュラーのユニフォームにこんなに反応するの?


「あ、いや中学テニス部なかったし」

「え!?」

「あ、正確に言うとソフトテニス部しかなかったんだ」


 えーと確か。


「ソフトテニスって白いボール?」

「そうそれ! だから、こうレギュラーとか試合とか嬉しくって」


 ……なんで涼は強いの? っていうか!


「なんで前の学校、先生の一存でレギュラーだったの? っていうか何で強いのよ!」


 涼は笑ってる。可愛い、じゃなくて!


「親父に教え、いや、叩き込まれたんだよ。親父の奴プロだったからハンパなく鍛えやがって。で、前の学校の先生、親父のこと知ってて初日に軽くテストしてレギュラーになったから、他の先輩納得してくれなくて」


「じゃあ、今日みたいにしたことなかったの?」


「ああ、毎日楽しいよ。親父相手だともう試練だったからな」


 お父さんの話のくだりになると一気にテンションが下がる。よっぽど鍛えられたんだね。


「そっか。じゃあ、レギュラーおめでとう!」


 涼にとっては当たり前の展開だと思ってたからまだ言ってなかったかな? 言ってても気持ちが違う。良かったね、涼。


「ありがとう、アリス」


 って、抱きついてきたよ。どうしよう。拒否するのもなんだけど、付き合って二日目だし!!


 ん? なんか揺れてる? 笑ってる涼!


「アリスって、本当こういうの苦手だな」


 笑いながら言われたよ。そうだよ、苦手だよ。


「付き合ったりしたことないの?」


 耳元で言われたセリフがこれって……


「ある。けど、すぐ嫌になるの。なんか違うって思えてきて」


「ふーん。じゃあ、俺もヤバイ? イメージと違ってきてるんでしょ?」


 それはそうなんだけど、涼を見た瞬間涼は不機嫌な顔だった。その後もクールに無愛想だった。だけど、


「イメージと違ってる。けど、いい意味で違ってる。多分あのままなら付き合ってないか、ここにはいないよ」


 そう、今の涼を見てるからここにいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ