誰かのメモ書き
何者かが残したメッセージ
彼はアルカディアに何を思う?
コンピュータウイルス。
それは第三者のプログラムやデータべースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、次の機能を一つ以上有するものをいう。
(1)自己伝染機能
自らの機能によってほかのプログラムに自らをコピーし、またはシステム機能を利用して、自らをほかのシステムにコピーすることにより、ほかのシステムに伝染する機能
(2)潜伏機能
発病するための特定時刻、一定時間、処理回数などの条件を記憶させて、発病するまで症状を出さない機能
(3)発病機能
プログラム、データなどのファイルの破壊を行ったり、設計者の意図しない動作をするなどの機能
(※通商産業省告示第429号より抜粋)
以上がコンピュータウイルスの定義だ。
私が創り出したウイルスはこの中の(2)と(3)に該当する。見てくれに関しては一般的なウイルスと大きな開きがあるだろうが、これらの条件に当てはまっている時点で十分にウイルスと呼ぶことができるだろう。
私が例のウイルスを創り出した理由は、ひとえにあの「フジノ」という人間の考え方が気に食わないからだ。
何が「この辛い現実世界に疲れてしまったあなた、理想郷で暮らしてみませんか?」だ。
くだらない。
現実が辛いからといって理想郷に逃げるなど、臆病者のクズのやることだ。
そんな間違った思考は正さねばならない。
現実から逃避する人間を増やしてはならない。
「フジノ」を追い詰め、アルカディアを閉鎖に追い詰めなければならない。
そして最後には、アルカディアをこの世から滅ぼさねばならない。
さもなければ、この世界のこれ以上の発展はないだろう。
既に手は打った。
即効性はないが、確実にあれはやつらを追い詰める。
時間をかけより深い絶望を味合わせられる。
やつが発動する時が、アルカディアが最期を迎える時だ。
終わりの始まりは、もうすぐそこまで来ている……。