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第六話

 木々の生い茂る道を歩いて5分。生い茂る木々達は深さを増していつの間にか森と呼べる物になっていた。

 ここまで来ても人との接触はまだない。まるで無人島に漂流した気分だ。いや、漂流した事ないけど

 前方の木々を抜けると目の前に広がったのは、直径50メートルくらいの湖だった。

 湖のほとりに来るとそこで足を止め、水を眺める。

 綺麗。その言葉に尽きる透明度をしていた。これは飲めるなと判断した俺は地面に膝をつくと、両手で水を掬いあげて口に運んだ。

「甘い......」

 思わず声が漏れた。不思議な事に、水ではあるのだがどこか桃のような優しいフレーバーな味が口に広がる。

 しばらく歩き通しだったから喉を通る量もハンパない。

 味を感じる事の出来るのはKIFによるVRゲームは全て五感機能がついているからである。より現実に近づける為の使用なのだ。

 立ち上がると湖を見渡す。

「何だあれ」

 俺の現在地から右手おおよそ15メートルくらい先の水中から、何やら気泡がポコポコと出ているのに気づく。

 そちらに近づこうとした刹那───それは勢いよく現れた。

「嘘だろ!?」

 大胆かつ豪快に水しぶきを上げて水中から出て来たのは正に化け物。

 な、何あれ......ケンタウロス!?

 上半身が人間。下半身が馬の成りをしたソイツは赤い目にバカ長い腕を引っさげて陸に上がった。

 目の前のありえない生物の出現により頭が正常に働くわけもなく、どうすればいいのか分からない。

 てか、皮膚ないじゃん! グロッ!

 そんな姿を直視し続けた結果、腹の中をスクリューでかき回された様な感覚に陥り───吐いた。

 何よりあんなのがいた水を飲んでしまったからだ。

 声を出すまいと思っていたが声を出さずに嘔吐等出来るわけもなく、化け物に気づかれた。

 赤い目がこちらに向く。口から紫の毒ガスらしいものが出ている所から口呼吸のようだ。

 俺と化け物の距離は15メートルはあるというのに とてつもない威圧を感じる。そう、この感覚......

 恐怖だ。奴の威圧的なまでな長身に足が震えているのが分かる。

 デカい。3メートルはあるその化け物は足を止めると主に闘牛が獲物に狙いを定める時に行う足を地面に擦るあれをしている。

 来ると思った刹那、俺は奴に背を向けて森に向かって思い切り走り出した。

 それを見かねた化け物も逃がさないと言わんばかりに走りだす。

 来た! 来た来た! 捕まったら終わる。

 俺の中の何かがそう告げている。

 恐らく食われる! いや、絶対食われるぅ!

 その時の俺は森に逃げ込めば何とかなると思ったのだ。逃げ切れると

 考えが甘かった。俺は森に飛び込むと身を縮めて静止する。

 逃げ回るよりこのままここで身を寄せている方が安全と判断しての事だ。

 が、奴はその上を行った行動を執った。

 化け物は口から漏れだした紫色の息を俺の飛び込んだ森周辺に撒き散らしだしたのだ。

 コイツ、マジか


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