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魔導校の革命 ~交差する想い~  作者: tsukasa
第一章階級無視
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第六話

遅くなって申し訳ございません。入試などで手が込んで・・・・・・

「何の真似だ?」

瀬南の前に突き出されたのは銀色の装甲をまとった銃型のECSであった。実習室にはざわめきが広がり中には実習室を出ようとする者もいた。

ECSの使用は校内では認めておらずハンターと生徒会役員のみ許可が下りている。

しかし一般生徒においては実習中にのみ許可が得ている。

「新沼!!校則を破るんか!?」

瀬南にECSを突きつける男子生徒-新沼に対し男子生徒は注意した。しかしそれは彼の一言によって阻まれた。

「俺の魔法を侮辱した奴に後悔させてやる」

刹那は反射的に止めに行く姿勢に入ったが瀬南とのアイコンタクトにより動きを止めた。

自然に二人のいる空間が広がっていく。A組とE組の生徒は後退していき今から何かが始める予感を全員か感じていた。自身のECSを持っている新沼に対して瀬南は何も持っていない。あまりに無防備すぎると思うが実習見学だけなので持っていないのも不思議ではない。

掟破りの試合が始まるという瞬間、二人の間に何らかの物質が横切った。

「実習中、教師及び生徒会から許可が下りない限り模擬戦が行われることは校則に反します。直ちにECSをしまいなさい」

突然の忠告に生徒が全員が声のする方へと顔を向けた。そこには銃型、普通の銃より一回り小さいECSを構えている女子生徒であった。

新沼は忠告に従いECSを内ポケに入れた。

女子生徒の左胸には星の紋章エンブレムがつけられていた。

(生徒会長、三河麗亜。・・・・・・なるほどな)

生徒会長の名前も瀬南は知っていた。肩までかかるパーマがかかった髪。スカートから出るすらっとした脚。ついつい見惚れてしまうほどのプロポーションであった。

「皆さんも気を付けてください。教師及び生徒会が許可しない限りECSを使った模擬戦闘は禁止されております。規定を破った場合校則違反者として罰則を受けます」

きっちりと言い残し実習室を出て行った。

「今の、生徒会長だよな?」

「確かに・・・・・でもなんで?」

タイミング良すぎる登場に慎哉と凛は首を捻った。そこへ注意を受けた瀬南が戻ってきた。

動揺すらしていない表情に安堵の笑みが出てきた。

「生徒会長は校内で何をしているかすぐ分かるもんさ。多分、端末でだろう」

瀬南はそう言い実習室を出た。

まるで居心地が悪くその空間から脱げだしたいという意味で。

◇◆◇◆◇◆◇◆

「申し訳ありませんお兄様」

まだ授業の途中にも拘らず刹那は廊下に出た兄に謝った。まだ授業中の校舎内では廊下は閑散としていた。その廊下に刹那の声だけが響いた。

「なぜおまえが謝るんだ?お前は自分のしたい事をすればいい。俺が見たいのは刹那。お前の姿なんだ」

耳にかかっている髪をかきあげる仕草を見せた瀬南に慎哉と凛は引いた。

二人の顔は青ざめていて具合が悪いような表情であった。

「分かりました。それでは私は授業へ戻ります」

「ああ」

刹那を説得し一息ついた瀬南は端末で時間を確認する。あと少しで授業が終わる時刻であった。

「とりあえず教室に戻るか」

「そうするかな」

瀬南の誘いに慎哉は答え凛もうなずいた。

◇◆◇◆◇◆◇◆

実習見学での騒動が起きた午前中は終了した。あの後、職員室から呼び出しを食らい事情は生徒会長から聞いたと言うが何とか誤魔化すことはできた瀬南。

厄介ごとには巻き込まれたくない主義である為、しばらく、というより当分顔を合わせない方が身のためだと思っている矢先に食堂で会ってしまう。

しかもその時間は刹那と昼食をとる約束をしていたが刹那の周りには人で群がっていた。(おもに男子)

刹那にはアイコンタクトで謝り、一人寂しく昼食をとった昼休みであった。

そして、放課後

いつもの習慣である妹との下校に瀬南は待ち合わせ場所である中庭のベンチに腰を掛け待っていた。

余談だが、刹那は入学式から今日に至るまで交際の手紙や言葉などを20通以上きたという話を聞いた。

(凛の情報)

そう思いふけていると刹那がやってきた。いかにも女の子らしく両手で持っているカバンを後ろに回し笑顔で瀬南を見た。だがその時間は聞いたことにない声で崩されていった。

「刹那!!いたいた」

瀬南の後方から一人の女子生徒が手を振った。その瞬時瀬南は刹那のクラスメイトだという事を確信した。数秒後、刹那の名前を呼んだ女子ともう一人の女子が中庭に入ってきた。

「どうしたの、咲希?」

咲希と呼ばれた女子生徒はカバンから一通のパンフレットを取り出した。

「これって・・・・駅前に出来たケーキ屋さん?」

パンフレットを見て刹那は答えた。

「そう。これから一緒に行かない?」

「別にいいけど、お兄様が」

誘いを断りたくても断れない刹那は兄の瀬南の名前を出した。しかしその言葉に先ともう一人の女子生徒は頭に?マークを浮かべた。

「あ、お兄様って、いつも話している」

答えたのは咲希の隣にいた女子生徒であった。いつも話しているというと刹那が自慢話などしているのだろう。瀬南の表情は崩れていなかった。

「じゃあ、お兄さんも一緒でいいんじゃない?いいですよね?」

どうやら先輩と勘違いされているのであろう。無論仕方がない事なのである。瀬南は背丈もそこそこ高く体格もいい方であった。

立ち上がった瀬南はしょうがなく分かりやすい説明をした。

「兄の神無月瀬南です。一応敬語使ってもらってるけど君たちと同じ1年なんだ」

「え?ウソ!!」

咲希が口を手にあてる大袈裟な仕草で驚いた。隣の女子生徒はうんうんと頷いていた。

「まあ、仲良くしてくれ」

「こちらこそ。私は立岡咲希。よろしく、瀬南さん」

「私は朝比奈杏花。よろしくおねがいします」

自己紹介と同時に二人を丁度目線の位置にある腕章が気になった。瀬南も二人が見ている事に気づいているが二人は気付かれている事に気づいていなかった。

「ではいきましょうか」

刹那に促され目的地へと向かう瀬南たち一行。

ケーキ屋へとつくとさすがに開店して数日でも人は結構いた。四人分の席を探すのもやっとであった。ようやく席を見つけた四人はすぐそれぞれ食べたいものを注文した。

「そういえば瀬南さんてどんな魔法を使うんですか?」

不意に杏花が聞いてきた。

「まあ、波動くらいだけど」

何気なく返事をした瀬南の目は何かを隠している様子であったが刹那を除く二人はその様子に気づいていなかった。

「二人は?」

「私は射標です」

「私は粒子変換です」

咲希、杏花の順で答えが返り丁度いいタイミングで注文したケーキが来た。刹那はチーズケーキ。咲希はショートケーキ。杏花はチョコケーキであった。

瀬南に至ってはコーヒーのみだった。

「刹那の魔法もすごかったし瀬南さんもすごいでしょ?」

「そんな。兄妹だからと言ってそんなことはないだろ」

若干微笑みながら答えると刹那が代わりに喋るように言った。

「お兄様は並の魔法師ではないですよ。ちょっとした騒動トラブルでそういう眼で見られなくなってしまってるの」

刹那の言葉に二人はきょとんとした顔をした。

「いや、刹那。それは冗談でも・・・・・・」

何を言い出すのかこの妹は。と思いながら瀬南は刹那に言葉の意味を理解しようとした。

「瀬南さんは何か特別な能力など持っているのですか?」

「刹那が言っている通りそんな感じがしますけど」

二人にそんなことを聞かれ言葉の濁しようがない瀬南は有耶無耶なまま答えた。

「特別っていうわけじゃないんだけど、一応どの魔法が発動されるかが見えるんだ」

その言葉を理解できたのかどうかは瀬何にもわからなかった。しかしわかったのは瀬南が言った特別な能力はそれほどすごいものだと。

「それすごいですね」

「お兄様、今日も何かお気づきになられたんでしょう?」

「刹那。お前も人の事言えないんじゃないのか?」

「あの~~なにがですか?」

話についていけない二人に対して瀬南は一息ついてからその何かを話した。

「今日実習中、俺と揉めあいになった生徒。新沼の魔法の短所を言っただろ?」

「はい。刹那の魔法発動がどーたらこーたらで」

三人が話している間で刹那は鞄の中から端末を取出し、オンラインニュースにアクセスした。

出たのは長々しい文に横には何枚かの写真が張り付けられていた。その写真は廃棄工場のような建物であった。

「これなんですか?」

質問したのは杏花であった。

「写真だけじゃわからないけど、これは一週間前から起きている反魔法派の組織が廃工場に立てこもっているという話題。あまり世間では知らされていないけどあと数日もすればタイムリーになるかもしれないわ」

「この人たち何したんですか?」

「射標魔法、分解魔法に適したECSを押収しているということだ。人数は5,6人だがメンバーのほとんどは魔導校の卒業生及びその関係者であることが分かっている」

代わりに答えたのは瀬南であった。刹那は画面をスクロールしていき文を黙読している。

次々に文がスクロールと同時に出て来るが刹那はものすごい速さで読んでいる。

「しかも先日、警察が工場に潜入したら中には誰もいなかったって書いてありますわ」

「それって逃げた事?」

食べ終わったケーキの皿をウェイトレスのお姉さんに預けながら驚愕する咲希。

「いや。違う。移動魔法の一種かもしれない。それか分解魔法のECSを押収したという事もあるから地面に分解魔法を発動して逃げたのもあり得る事だ」

すると突然画面をスクロールしていた刹那の手が止まった。全員が目にしたのは『凍結殺し』という文字。

「この凍結殺しってたしか二、三年前都市伝説になってたやつだよね?」

「確かそうだった」

『凍結殺し』という単語が出てきた段階で辺りを沈黙とかしていた。瀬南は刹那の手を心配そうに見ていた。

「まあ、この程度の事は警察ががんばるだろう。刹那そろそろ行くぞ」

「はい」

二人は席を立ちレジへと向かう。取り残された二人は二人の分までケーキ代払ってくれた瀬南に感謝しなくてはならなかった。

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