第五話
すいません。魔導校新年初めの投稿です。いつも通りしょぼい内容ですがどうぞ見て行ってください。
魔導校関東支部の校舎は普通教室棟、管理棟、特別教室棟に分かれており、他にも第一体育館、第二体育館があり地下一階に大ホール、さらには食堂、購買などがある。
その関東校、各学年280名総勢840名の生徒がおり、この大人数の生徒をいとも簡単に収納してしまうくらいの校舎は当然ある。
しかし全校生徒が簡単に入ったとしても狭いと感じる人はいないはずもない。
そのために配慮したのかどうかは明確には明かされていないが、魔導校では一軍、二軍と分けられる制度が設けられている。
一軍二軍は、階級制度を更に縮小したもので昇格降格制度はもちろんある。
これも差別と称されることはある事だが、生徒一人ひとり授業を受けやすくするために設けられたものなので文句を言える筋合いはない。
瀬南はE組の一軍。刹那もA組の一軍である。
時は実習見学時間。一年A組一軍の実習時間である。
実習内容は射標-射撃標準魔法による的破壊である。
射標と呼ばれる魔法は一般魔法の一つであり、主に学校で習う魔法の部類だ。
射撃するものの標準、いわゆるターゲットを決める魔法である。
この授業では個人のECSの使用が許可されている。
ECS-術子変換駆動機。魔法を発動するために使われる装備品あるいわ装飾品とも言っていい位である。魔法師なら一人一台は必要のツールなのである。
しかし魔法を発動するのに必ずECSが必要とは限らない。自らもっている魔力で空気中、体内にある術子を自由に駆使して魔法を発動する。
術子は原子を超えた存在でありその数は無限に近い。
魔法の規模はその人の魔力や術子の流し加減によってきまる。
「おお~~~!!」
見学生と実習生から感嘆の声が上がってきた。そのもとは刹那によるものだった。
次々に出てくる的を破壊していくがその速さに的が追い付かない。
「すごいなー、お前の妹は」
「人並み外れすぎよね」
冗談交じりなのか瀬南に聞こえるように喋る凛と慎哉。
「あんなの、刹那の練習にもならない」
「おっ、言うねー瀬南」
慎哉の声、または瀬南のコメントに耳が届いた男子(おもにA組の男子)が一斉に振り返った。
しかし瀬南はそんな視線を気にせず喋った。
すると瀬南の方へ一人の男子生徒が歩み寄った。
「お前が神無月さんの兄か」
いきなりの初対面で瀬南をお前よわばりする男子生徒は表情がやけに険しかった。二人の間でざわめきが起こる。実習中だった生徒も魔法を発動するのをやめ、広場の方へと駆けて来る人がいた。
刹那も何事かと思い大衆へと行った。
「魔法の使えない兄。それに反して妹の刹那さんは一年生唯一のSSランカー」
クラスメイトの女子とその兄を比較し始めた。初対面にも拘らず。
なぜこんな野暮な質問をしてくるのか理由を聞こうとしたが第三者によって阻まれた。
「いきなり目の前に現れてどういう口をきいてるんだ?初対面の人には自己紹介って言うもんがあるだろ!!」
割って入ってくる慎哉は興奮気味だった。こいつ他人思いだな。とこういう時に冷静に友達の性格を認識する瀬南は動揺という物がなかった。
「ふっ、Eランカー如きに名乗る暇があったら魔法の実習でもしてるわ」
「んだと!?」
「やめとけ慎哉、学校備品のECSを真面に使えない奴に構っている暇があったら俺たちは魔法の練習でもしてればいいのさ」
興奮している慎哉を落ち着かせた瀬南だが、その後の言葉に男子生徒がムッと来た。
勝ち誇ったように笑う瀬南、何が何だかわからない凛と慎哉。刹那は多少の笑みを浮かべていた。
「何が言いたい?俺の魔法に不可解な所があるというのか?」
「教えてほしいのか?」
勿体ぶるような言い方をする瀬南。男子生徒の顔色が急変した。
「どんなものだ」
「お前の魔法には余分に使わなくなった術子を自然的に放出してしまう癖がついている。いや、この場合癖というよりもともとか」
周りのざわめきがなくなり実習室には瀬南の声しか聞こえない。
ピリピリとして空気しか流れていない。
「お前は射標魔法と波動魔法のツインスキャンを試みたが見事に失敗した。原因は、ECSの構えと術子の流し加減」
「ふっ、ECSの構えだと?可笑しなこと言うEランカーもいるんだな。ECSの構えなどそれこそ魔法を発動するのに関係のある事だとお前は言いたいのか?」
呆れたようにため息をついた瀬南は今度は小さく笑った。
まるで自分がこれから勝論を言うかのように。
「俺は他の人と違って術子の流れを正確にみる事が出来るんだ。俺が見た限りお前は・・・・・・・
刹那の術子の流し加減を真似ただろ?」
「だからどうした」
「お前も多少術子の動きを見れるはずだ。そっして刹那の術子の流し加減を参考にして魔法を発動しようとした。しかし失敗した」
「それは学校備品のECSを使用して出の断言だろ?」
「そういうことだな」
瀬南が答えると男子生徒はブレザーの内ポケに手を入れ何かを取り出した。
「!!」
室内に言葉にならない悲鳴が聞こえた。男子生徒が取り出したものは自信が使う銃型のECSであった。
「神無月瀬南。魔法の使えない兄が成績優秀の妹の魔法を真似る男子生徒に嫉妬したのか?」
さっきまでの表情とは違く言葉にも強さが伝わってきた。
「なぜ俺がお前に嫉妬しなければならないんだ?」
「それは・・・・・・・・」
言葉と同時に男子生徒は瀬南にECSの銃口を向けた。
「お前が魔法を使えないからだ!!」