第二話
どうも、tsukasaです。
他の作品と被らないようにします
入学式の生徒受付は昔と変わらず校門付近で行っている。
しかし変わったのは一つ。
生徒は合否判定書と同様に送られてきたプログラムを専用端末にインストールし入学式に臨む。と言うのが今のコンセプト。
刹那は挨拶があるため途中で瀬南と別れなくてはならない。
別れ際、「私の勇姿を見てください」と念を押されたが無論、瀬南はそんなことを言われずとも刹那がこういう大舞台で活躍する機会は全て記憶に残している。
本人がそれを知っているかどうかは別として。
そんな妹が本番前にリハーサルをしている間適当にぶらついていようかという考えは本人もわかっていたが、他にする事が無いのは確か。
だからと言ってE階級者がそこら辺をほっつき歩いているかどうかと周りはそう思うだろう。しかも新入生が。
教室に足を踏み入れるのも彼として気が進まなかった。
挙句の果て瀬南は、どこか座れる場所はないか探しに行った。
受付場所から離れた中庭へ行きベンチに腰を下ろした。
端末を開き、入学式の予定を確認する。式開始まで15分ほど時間はあった。中途半端に時間を過ごすことになるので早めに会場である第一体育館に移動した。
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中に入るとかなりの人数・・・がいるのは確か、新入生は280名これだけの人数がいてもおかしくはない。
瀬南は自分のクラスであるE組の席、最後列の席へと向かった。
ちなみにクラス編成の基準は、階級で定められている。SS、S、A、はA組。BはB組。CはC組。DはD組。EはE組。という感じで構成されている。
話をもどそう。
瀬南は適当に空いている席へと座った。しかし座った場所は場所で狭かった。
体育館はそれほど狭くはない、むしろ大きい方だ。
なのにこんなに一つ一つ席の感覚が小さいのか瀬南にもわからない。
だから隣の人と肘がぶつかってしまうというケースはよくある事
「あ、すいません」
言ってるそばから。相手は女子だった。
「悪い」
素っ気ない返事で終わり両者式が始まるのを待つ。しかし先程の女子が話しかけてきた。
「ねぇ、君なんて言う名前?」
馴れ馴れしく聞く彼女。時代劇なら、「人に名を尋ねるときはお主から名乗れ」と言うだろうが瀬南はそんなことは気にしない。
「神無月瀬南。名前でも苗字でも好きなように呼んでくれ」
「私は南方凛。使用魔術は剣技。瀬南君は?」
いきなりの名前で呼ぶ凛。だが名前でも苗字でも好きなように呼べと言ったのは彼からである為そんなことは気にしない。
「使用魔術は波動」
端的に答える瀬南。すると入学式開始のアナウンスが流れた。
指示に従い静かにする二人。
瀬南は式の最中、祝辞やら長々しい言葉は記憶に入れず耳だけで聞き、刹那の挨拶は記憶に残すようにちゃんと聞いた。
しかし刹那のあいさつに見とれる男子生徒、さらに同じ苗字なのか、はたまた綺麗さに見とれた凛の表情に瀬南はやれやれとため息をつくしかなかった。
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入学式が終わり瀬南は自分の教室へと向かった。入学式の日は大抵授業がないが明日の予定などを端末に入れておかなくてはならないためである。
現代の高校には担任制度があると言えばあるが、授業に顔を見せたりしない。
殆ど生徒たちだけの実習である。
自分の席に着き、端末を机の側面にセットしデータを送り込んだ。
すると目の前に不思議そうに見ている男子生徒がいた。
「どうかしかたか?」
一応聞いてみる瀬南。すると我に返ったように男子生徒はぴくっと動いた。
「ああ、わりぃ。迷惑だったか?」
「いや、別に迷惑だと思っていない」
「そうか・・・・・おっと、俺の名前は道生慎哉。魔法は浮遊を得意としてるぜ」
気軽に挨拶をしてくる慎哉。瀬南はこういう気軽に話しかけて来る人は嫌いではない。
「神無月瀬南。使用魔術は波動だ」
神無月、と言う言葉に慎哉の眉毛がぴくっと動いた。やはりたいていの人は瀬南が自己紹介する時フルネームで言うと『神無月』と言う苗字に何か引っ掛かるのだろうという事は瀬南はもちろん妹の刹那も経験済みである。
「神無月って・・・・・やっぱ、今日新入生代表挨拶した神無月刹那と関係あるのか?」
「まぁ、兄妹っていうところだな普通に言えば」
「へぇ~~~~~、大変なんだな」
心配してくれてるのか、それとも彼は天然なのか瀬南は知る余地もなかった。
だが、瀬南はいつもとは違う違和感を抱いた。それは初対面の人に自己紹介をすると殆どの人は「あの神無月刹那の兄?」と目を丸くする人が多かった。が、
慎哉は違かった。彼は「あの神無月刹那の兄?」という事は一切言っていなかった。
まあ人誰もが同じこと言うとは限らないというのは瀬南も知っている
「これからもよろしくな」
差し出した右手に瀬南はがっちりと握手をした。