第一話
tsukasaです。一部の作品と被る(大いに被る可能性)がありますが
読んで行って下さい
西暦2060年、現代社会では魔法が一般的に普及され使用することが多くなった。
目的地までの移動手段、重たい荷物を運ぶ時の運搬手段・・・・・・・まだまだたくさんある。
今じゃ一般に使われる事になった魔法も学校で教わる制度が導入された。
その学校-国家機関付属魔法指導学校。通称、魔導校。
一流の魔法師になるために、毎年多くの人数がこの魔導校に受験する人がいる。
試験とはいってもペーパーテストだけではない。
実技試験だって当然のことある。
そんな多くの生徒が受験する魔導校は生徒が多くて狭いんじゃないかって思う人もそう少なくはない。
魔導校は全国に6か所設置されている。
東京の関東校、宮城の東北校、名古屋の中部校、大阪の近畿校、広島の中国四国校、福岡の九州校
各校、定員は280名、毎年その倍以上もの受験生がいる。
合格した生徒には合否結果と同時に一つの腕章が配られる。
その腕章は魔法発動に担う規模、速さ、判断力などあらゆる分野での成績を基にして定められたもの、
階級。
階級はE~SSまで7段階あり、クラス編成もこの階級を基にして決められる。
いまや階級も社会的面でも使用されることになった。
会社での採用試験などでもこの階級は使われている。
学校などでは、授業で使う物が一部階級によって限られるが、先生が生徒などの対応は今も昔も変わらず階級を問わない。
この階級づけ、たとえ兄妹だとしても変わりはない。
魔法が十分使えない兄でも、階級は変わらない。
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四月と言うのは基本、出会いの季節だと言われる。
21世紀半ばに差し掛かった今でもこの考えは続いている。
東京都内にそびえたつビルとビルの間に一軒家がある。
その家の表札には、「神無月」と記されている。
家の大きさは普通の一軒家と比べてややでかく、かなりの大家族か?と思う人がいるかもしれない。
しかしこの一軒家に住んでいるのは年頃の男女二人だけ。
ちゃんと血の繋がった兄妹である。
今は朝、その兄弟はまだ食事中であったが、兄の方は既に食べ終えていて、何かの書類に目通していた。
妹は真新し制服をどこひとつ汚すことなく口に運んでいる。
「まだ時間はあるな」
携帯端末で時間を確認した兄は、席を立ち食器を片づけカップに残っていたコーヒーを飲み始めた。
「お兄様、試験結果を見て何か不満でもありませんでしたか?」
声を掛けたのは妹の刹那。喋り方にも内容にも棘がある言葉はさすがに兄である瀬南も反論できず肩をすくめるしかなかった。
「あのな、判定結果が出たりしたものはもうそこで決まりだぞ?」
「そんなことは百も承知の上です。ですがあれだけの点数で階級がEというのは試験管の目が腐っているとしか思えません!!」
なぜこんなに試験判定に文句をつけているのかと言うと、書類から見て分かる通り瀬南の試験結果は、筆記テスト500点満点中、489。実技テスト250点満点中、236。と言う文句なしの結果になっている。
当然なら、冒頭にもあったようにこの結果だと間違いなく階級はS以上と言うようになるが
見ての通り瀬南の階級はEであった。
「確かにお前もこの判定で起こるのは無理もないだろう」
「ですがEランクと言うのは幾ら何でもひどすぎます!!」
「刹那落着け。」
興奮している刹那を落ち着かせる瀬南。刹那は瀬南の言葉に従った。
「そういや、今年の新入生代表挨拶は刹那だったよな?」
「はい、お兄様が一位ではなかったため私が繰り上げで一位になりました」
そういい、食器を片づけ洗い物をし始めた。
瀬南は妹の仕事が終わるまでゆっくりコーヒーを飲んでいた。
10分後
洗い物をし終え、着替えを既に済ませた刹那は瀬南に声を掛けた。
「お兄様そろそろ時間ですよ」
「わかった」
刹那にせかされ急いで玄関に行こうとする瀬南。
「おっと、忘れ物」
机の上に忘れ物を取りに行き玄関に行き靴を履き妹と共に家を出た。
Eと記された腕章をはめて。
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現在の交通網は昔と変わらない。
自動車はもちろん、自転車、バイク、電車など変わったもの一つない。
瀬南と刹那は入学式の今日は電車を使って登校している。
二人隣り合わせに座り、駅に着くまで落ち着いた雰囲気を過ごす。
「お兄様。」
不意に刹那が話しかけてきた。こうした公共の施設にいる場合あまり話すことはないが刹那が話しかけて来るとは余程の事だろう。
「なんだ?」
「お兄様は自信がE階級者ということに何か劣等感という物は無いんですか?」
刹那らしいと言えば刹那らしい質問だが瀬南はしっかりと具体的に応答した。
「刹那、お前まだそんなことを根に持っているのか?E階級者は俺だけじゃない。
俺は俺。刹那は刹那だ。」
周囲にあまり目立つような大きな声を出さずに言った。
「すいません。言葉が過ぎてしまいました」
「わかればいいよ」
顔を俯きながら謝る刹那に瀬南は優しく髪を撫でた。
列車が止まり、駅に着いたようだ。瀬南たちは駅を出て魔導校、関東校へと向かった。
やはり関東校前の駅だからなのか列車の中にもちょくちょく同じ制服の人がいたがまさかこんなにいるとは瀬南は想像していなかっただろう。
すると瀬南は周囲からの視線に気づいた。
「・・・・・・・妙だな」
「お兄様?」
歩くのをやめ周りを見ると、関東校の人が刹那と瀬南に視線を向けていた。どうやら二人を恋人と勘違いしている人がいるのだろうか。
入学式早々から厄介ごとになりそうだ。と瀬南はしみじみ思った。