君を名前で言いたくて。
ここは鳥たちの通う学校です。
五年一組の鶏の庭野君とすずめの小太郎は二年生の頃から一緒で親友でした。
だけど小太郎は、どうしても庭野君の事を本名のコックピヨ君とは、呼べませんでした。
その理由は庭野君がイジメられていたからです。
小太郎はからかわれるが恐くて、いつも庭野君の事を名字で呼んでいました。
「僕にもっと勇気があればいいのに。」
小太郎はいつもそう思っていました。
ある日、一緒に昼ご飯を食べているときに庭野君が小太郎にたずねてきました。
「ねえどうしておらの事、名字で呼ぶの?」
「え!?」
庭野君の言葉を聞いた小太郎は、胸がドキドキしました。
まさか庭野君の口からこんな言葉が出るなんて考えもしていなかったからです。
「うーんとなんとなくだよ。なんとなく……」
誤魔化した小太郎は、それ以上何も言うことが出来ませんでした。
本当の事を言えば庭野君が傷ついてしまうと思ったのです。
ある日クラスの一羽の鳥が飛べる鳥たちの聖地、鳥まんまスキー山に登ろうと提案しました。
「おい!当然庭野も行くよな?」
「おう。もちろんだ。」
「無茶だよ。庭野君。とりまんまスキー山には、飛ぶのが苦手な庭野君や長く飛ぶのが苦手な僕は行けないよ。」
庭野君はいつもこうしてクラスメイトにからかわれていたのです。
「いんや、オラは登る!!例え自由に飛ぶ翼がなくてもこの足さえああれば。」
「無理だって。」
街の東側にそびえる鳥まんまスキー山は、その名の通り鳥のエサでできた山で、足で登ろうとすればごろごろと滑ってしまいます。
だから鳥まんまスキー山に登るには、自分の羽で飛んで頂上に到着、という方法に限られているのです。
結果庭野君は、やり遂げました。
くるくる回る鳥のエサに何度も足を取られながら、何個も何個もたんこぶを作りながら、何とかやり遂げたのです。
次の日、国語の作文の時間小太郎は、こんな作文を書きました。
『僕の親友
僕は、親友の庭野コックピヨ君の事を尊敬しています。
なぜならコックピヨ君は、すごく勇気があって、難しいと思うことでも最後までやり遂げる強さを持っているからです。僕もコックピヨ君の様に、なりたいです。』
学校終わりの放課後小太郎は、庭野君に声をかけます。
「ねえコックピヨ君!一緒に帰ろう。」
「小太郎君初めてオラの事名前で呼んでくれた。」
「昨日は悪かったな。見直したぜ。」
クラスメイトがすまなそうに謝りました。
庭野君は、目を輝かせ嬉しそうに鳴きました。
「うれしーコッコーー」
「良かったね。コッコピック君。」
二羽は、前より仲良しになれた気がしました。
読んでいただきありがとうございます。これは何年も前に書いた作品です。




