表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

EP2 『爆弾発言』

某国会議員の部屋。レクが始まった。


香山は、まるで旧知の友人に挨拶するかのように、にこにこで着席した。


「お疲れ様で〜す! 最近ストレスで太ってきちゃって、ダイエットしてるんですよぉ〜」


部屋の空気が、瞬時に凍った。


向かいに座る議員──農水族のドン。全身から“ドスン”という擬音が聞こえそうなほどの重圧を纏い、沈黙していた。


須崎は、座りながら土下座しかける勢いで青ざめる。


(終わった……殺される……殺される……!!!)


「……それ、俺が太ってるって言いてえのか?」


低く、響くような声だった。


香山は、悪気も何もない無垢な笑顔で答えた。


「えっ? そんなこと一言も言ってませんけど?」


(言ってるんだよ!!!!!!)


「……あ、でも議員、健康診断とか大丈夫ですか〜? 最近うちの課でもメタボ指導とか厳しくて〜」


(殺す気か!?!?)


ドンは顔を真っ赤にしながら、ずしりと立ち上がった。


「お前らぁ!!! どこの省庁だぁ!!!」


須崎は即座に立ち上がって九十度のお辞儀を叩き込む。


「申し訳ございませんっっ!!! 警察庁警備局警備企画課でございます!!! 本日は真摯にご説明を!」


その横で香山は、資料をペラペラしながらのんびりと付け加えた。


「今日は非公開支出問題についても率直にお伺いしにきました〜!」


(いま絶対言っちゃいけないワード出たぁぁぁぁぁぁ!!!!)


「帰れ!!!!!!!!」


須崎は全身で頭を下げながら、香山の腕を全力で引っ張ってその場を後にした。


廊下に出た須崎は、顔面蒼白のまま香山に詰め寄る。


「香山さん……なぜ、なぜあんな……」


だが香山は、まるで昼休みにおにぎりの味を語っているかのようにケロッとしていた。


「え? だって正直に話すのが一番でしょ? 嘘はダメだよ? ”公安″たるものクリーンに!」


「……クリーンとかいう問題じゃないんです……」


「まぁまぁ。今日の議員レク、何点?」


「0点です」


「え〜! 厳し〜!」


須崎は、崩れ落ちそうな心を何とか支えて歩き出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ