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血が滾る戦いを

 野獣のように全身を動かし本能と経験による判断能力、そして全ての四肢から放たれる高威力の三つの斬撃による絶え間ない攻撃を持つシュナイザー様。ありとあらゆる場面に対処可能な無数の魔法剣と魔法を操り、隙の無い剣術を使うブレスト。どちらも手数が多い戦士だ。戦いは拮抗し斬撃によって地面は抉れ、魔法の衝撃音が響き、観客達は大盛り上がりを見せている。


「うおおおおおお、領主様やっちまえ!!!」

「何だよあの剣達は!くっそかっけぇええええ」

「二人共ヤバすぎるだろ!」

「何であんな魔法を使って魔力切れしないんだ!?」

「あんな楽しそうな領主様久々に見たぜ」


 次々と放たれる魔法に訓練場の敷地を全てを使い移動をしながら戦う姿は確かに見世物としては十分な魅力を持っている。こんなに迫力のある戦いだって言うのに誰一人恐れる事無く笑顔を浮かべ歓声を上げているのがその証拠だな。


「凄いな・・・・今槍なのに衝撃波が生まれたぞ!?」

「あぁ、あれはブレストが良く使う手ですね」


 次は大剣を作り出し手に持った。大剣は重量が重く振るだけでも大きな隙を見せてしまう程扱いが難しい武器だ。どちらも素早く怒涛攻撃を繰り出しているためシュナイザー様の速さに大剣ではついて行ける訳が無い。警戒をしているが生まれた大きな隙をつくように懐へと潜ったが、まるでナイフを振るかのように素早く振るわれた大剣に目を見開き吹き飛ばされたがダメージはあまり無いようだ。


「大剣をあの速さで!?身体強化の付与か?」

「違いますよ。単純に大剣の重量を変え風と雷の魔法を付与しているだけです」

「重量まで好きに変えられるのか」

「そうです。ブレストの武器は重量と付与する魔法を好きに変えられるので、先程のように槍であってもハンマーのような衝撃波を出し、大剣の姿をしていてもナイフのような軽さと早さを持つことが出来るんです」


 何度もブレストと手合わせをしているけど、本当に在れは厄介なんだよな~ナイフの姿をしているのに、一帯を吹き飛ばすような威力を秘めていたり槍なのに斬撃が飛んで来るって一体どうなってるんだよ!!って気分になる。


「あれがブレストの搦手です。人は武器の見た目によって、どういう風に対処すれば良いのかを判断します。だけどブレスト相手では武器の見た目が信用ならない。例え大剣でも槍のような突きが生まれたり、ショートソードに見えてグレートソードを上回る破壊力があったりします。あれをやられると経験を積んで人ほど判断が鈍ります」

「それは・・・・厄介だな」


 長く経験を積んだ戦士は相手の武器や動きから適切な間合いを学びそれを活かしている。大剣であれば破壊力は絶大が動きが遅く、防御がガラ空きになるなど短所や長所も理解しているからこそ、シュナイザー様は懐に入ったがそれが仇となったのだ。人の判断能力は目から入る情報と経験によって定められるものだ。さらに、高速の戦いによって一瞬で判断が求められる状況であんな事をされるとやられた側はたまったものじゃない。


「魔力の入れ具合で何となく判断はつきますけど、面倒なのは間違いないです」


 吹き飛ばされたシュナイザー様はすぐに体勢を整えブレストに接近する。飛んで来る斬撃を魔法剣を作り出し受け止め、ハルバードを使った足を狙った薙ぎ払いを繰り出しそれをブレスト事飛び越えるシュナイザー様。そして、着地点には多くの槍が待ち構える。体を回転させながら斬撃を飛ばし槍を破壊し、振り向いたブレストと鍔迫り合いとなった。


「・・・・ッ!!」

「!!!・・・・ッ」


 何話してんだ?口が動いているから二人で何か言ってるのは分かるけど結界に阻まれて声が聞こえない。少しの間言い合った後シュナイザー様の雰囲気が一変した。瞳は俺を捕まえた時のように赤く光り、闘志は獲物を狙う洗練された殺気に変わる。


 あ、あれヤバいな。シュナイザー様本気になっちまってるしブレストはと言うと・・・・どうしようか迷ってるみたいだな。


 迷っている間に今までの数倍の速さで距離を詰め、剣を振りかぶりそれをいつも通り剣で受け止めるとブレストが吹き飛ばされた。とんでもない威力になってるな、しかも身体能力もさっきと比べ物にならないくらい上がってるぞ。


「んなっ」

「あーあ、本気になっちまってるみたいですね」


 迷ってるとやられるぞ~


 本気を出したシュナイザー様の剣の威力に驚いた様子だったが、ブレストはすぐに体勢を整え手を前に突き出すと刃が薄く少ししなっている剣を作り出した。


「?なんだあの剣・・・・俺も知らないな」

「クロガネでも知らないのか」


 それにいつもの魔法剣じゃない。ブレストが作り出す魔法剣は全て光り輝きまるで光が実体化したかのような風貌なのに今ブレストが持っているのは本物の金属で作られた剣と見た目が同じだ。


「見たことが無いな・・・・錬金魔法?いやブレストは闇魔法が使えないはずだ」


 そして、周囲には魔法剣が出現したがそのどれもが刃に光る何かの刻印されている。しかも今までの魔法剣とは比べ物にならない程の魔力が宿っている。


「ブレストの魔法剣は魔力を感じる事すら難しいのに、あれは離れていても感じるほどの魔力・・・・いつもと違う魔法なのか?それともあれが本気なのか?」


 初めて見る魔法に驚いていると、本気を出した二人との戦いが始まった。


「なんだ、何なんだこの戦いは」


 ブレストの魔法剣は少し振るだけで大地を斬り裂き、大地を破壊するほど魔法が放たれ結界で阻まれているというのに衝撃が俺達に伝わってくる。馬鹿げた威力だというのにシュナイザー様は魔法ごと全てを斬り裂き俺以上の速さで縦横無尽に駆け回っている。今までの戦いが遊びに見えるほどの力のぶつかり合いにテセウは圧倒されてしまっている。


「うおおおおおいけえええ」

「やっちまえ!!!」

「何なんだ二人共!」


 逆に観客達は大盛り上がりを見せている。流石はこの町を守っている衛兵達だな肝が据わっているな。ブレストはあの薄い剣から他の武器に作り替える事無く、シュナイザー様の攻撃を受け流し、それに対抗するように剣を交える度に威力が上がっていくシュナイザー様。


「よくあの薄い剣で受け流しが出来るもんだな。振り方も独特だし、今まで見たこと無いぞ」

「あぁ俺も知らない武器だ」


 本を沢山読んでいるテセウですら知らないってことはブレストが自分の為に作り出した新しい武器ってことか?あ、そんな事考えてる場合じゃねーや解説しないと。


「えっと、今やってる動きはさっきまでの戦いを一段階上に上がった感じですね。派手になってはいますけど基本的な動きは変わって無いです。ブレストは魔法剣を操り戦ってシュナイザー様はスキルを最大で使っている見たいですね」

「そのようだな・・・・だがさっきまでとは比べ物にならない程の圧だ」

「二人共少し本気を出してますからね」


 二人共技の威力や新しい魔法を使っているだけで基本的な動きはそんなに変わっていない。より繊細により大胆にそしてより洗練されただけだ。


「ん~そろそろ不味そうだな」

「どうしたんだ?」

「本気になる前に止めてきます」


 二人共戦いに集中してはいる結界に攻撃が当たらないよう射程を調整したり立ち位置を変えたりと、周囲の観客達に気を使ってはいる。冒険者で言う二級と言うのは単独で大きな街を破壊できる程の力を持った者に与えられる階級だ。ブレストの結界が優秀だってこともあるんだろうけど、二人が全力を出したこの町なんて簡単に更地になっちまうだろうな。


 今はまだ気を使ってくれているけど、久々の自分の力をぶつけても倒れない相手に二人共闘志が昂り火が付いちまっている。徐々に技の威力が増しているし、楽しそうなあの顔をみると段々本気になって来ているな。


「なんだあの剣は・・・・・」


 ブレストは空中に持ちうる全ての属性が顕現したかのような結晶の剣を一つ作り出した。それは今まで作っていた振るう事を前提とされた剣と違い柄や剣から大量の魔力を含んだ結晶を生やしもはや握る事すら出来ない剣。


「あれはヤバいな」


 一目見ただけで分かる。あれはヤバい。シュナイザー様は驚きながらその剣を地面に落とそうとしているブレストへと詰める。その剣には確かな殺気が宿っている。


 俺は全力で闇魔法を使いこの世から存在を消し去ると、結界の中へと入る。そして、目を瞑り集中し訓練場を埋め尽くすほどの闇の鎖を作り出す魔法を発動させる準備をする。魔力の気配を消しているから二人はまだ俺に気付いていない。そして俺はそのまま大量の闇の鎖を作り出し一つ一つを纏め上げる。


俺の鎖は一つ一つは弱く力も無いけど、これだけの量を纏め上げればあの二人を少しの間拘束することは出来るはずだ。準備が出来た俺は気配を消すのを止め二人に目掛けて放つ。


「っ!?」

「うおっ」


 戦闘に集中していた中突如現れた大量の鎖に驚き対処が遅れた二人に絡みつく鎖たち。持ち前の馬鹿力と技で断ち切ろうとしてきたが、大量に纏め上げられた鎖はそう簡単には壊れない。あっという間に四肢を拘束された二人の元へ分身を作り出し一瞬で距離を詰め背後を取り首にナイフを当てる。


「そこまで」

「クロガネ!?」

「これは酷く無いか!?」

「酷いのは二人だっつーの。本気で殺し合うんじゃねーよ馬鹿だろ」

「「うっ・・・・」」

「模擬戦だってことだって忘れてるよな?全く良い大人が盛り上がって目的忘れてるんじゃねーよ・・・・お前らが本気で戦ったらここら周辺更地になるだろうが!」


 魔力の使い過ぎによって頭痛が酷くて言葉遣いが荒くなっちまう。だけど、この二人が悪いから遠慮なんて要らないだろ。


「はぁ、二人共負けだからな。あと俺倒れるから後よろしく」

「「は!?」」


 もう・・・・無理。あんな大量の闇の鎖を一気に作ってそれを二人に気付かれないように闇魔法で完全に気配を消すなんてどんだけ魔力があっても足りないっつーの。たださえあの消え去る魔法は消耗が多いのに!


「クロガネ!!!」

「魔力切れか!」

「上級マナポーションがあったはず!」

「早く飲ませろ!」


 それ不味いから嫌だあああああ

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