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新しい防具

 新しい戦い方を見るのを楽しみにしながら店を周っていると、明らかに他の店とは違い綺麗に仕立てた防具を売っている店があった。


「なんだあれ、防具なのに普通の服みたいだな」

「艶やかなローブにきめ細やかな肌着、凄いな防具屋と書いて無ければ服屋と間違うレベルだな」

「あれも魔物の素材を使った防具なのかな?」

「恐らくな。スパイダー系統の糸を使ってるんじゃないか?」

「お~見てみようぜ!」


 他に店と明らかに質の違う店に入ってみると、中には多くの服が飾られていて全ての服から僅かな魔力が感じる。


「いらっしゃいませ~!」


 店主さんは赤髪の明るそうな女性だった。どう見ても品質が良い服なのに何故かお客さんが居ないのは変だな~・・・・あ、なるほどな。


「わぉ」

「おぉ」

「まぁそうだよな」


 飾られているどの服もそこそこ防具と比べると数倍高い値段が付けられているのだ。三級冒険者が毎日働いたとしてもこの値段だと、数か月かかるんじゃないか?冒険者でもそうそう買えないよな~住民だったら尚更な。


「あ、やっぱり皆さんそういう反応になりますよね・・・・それでもギリギリまで安くしているんですよ!材料も全てワイズスパイダーと言った高位のスパイダー系統の糸を使ってますし、魔力との親和性が高いから比較的自由に付与が出来ますし防御力だってキラーマンティスの鎌を通さないんですから!」

「いや、値段に文句を付ける気は無い。ただ、それぐらいの値段はするだろうなと納得してただけだ」

「え、本当ですか!?みんな高すぎると言って文句を言うか店を出て行っちゃうんですが」

「高位のスパイダー系統の糸は高いし、扱いが難しく普通なら他の糸を交えながら織るところを全てスパイダーの糸を使い綻びを出さずここまで綺麗に織れるの相当な技術が必要だろ。防御力も申し分なしだし、本来ならもっと取るべきだろ」

「あぁ~ありがとうございます!!そんな事を言ってくれるのは領主様とその側近の方達だけで・・・・」

「あ、見覚えあると思ったらミルバさんの服!」

「家令のミルバさんですか?その方だったら確かに私の作った服を愛用して頂いてますよ」

「なるほどな。どうりで良い服だと思った訳だ」


 ブレストがこんなに褒めるってことは、値段相応というより安いぐらいなんだな。それなら買おうかな~でも、魔力が宿ってると相手に察知されやすいんだよな。でも、後から付与できるみたいだし・・・・


「どうしたクロガネ」

「いや、魔力を消す方法を考えてただけ」

「あ~クロガネの戦い方的には魔力が宿って無い方が良いのか」

「うん」

「それなら、魔力を入れ替えることも可能ですよ。例えば闇の魔力とかを使えば、察知しづらい服になると思うんですが・・・・」

「そんな事も出来るのか・・・・」

「はい、その代わり魔力を入れる媒体を用意して頂くことになりますけど」


 確かに闇の魔力を入れれば気配も消せて魔力も感知されづらくなるな。良いじゃんそれ!魔力を入れる媒体か~・・・・そうだ!


「じゃあ、俺の髪を使って貰うの出来る?魔女さんには良い媒体になるって言われたんだけど」

「ひぃ魔女様から!?というか魔女様とお話したことがあるって一体!?」

「まぁまぁそれは置いといて、出来るのか?」

「で、出来ますけど・・・・」

「じゃあ、このローブとこのシャツとズボンをお願いします」

「そんなに!?お金は・・・・」

「あります!先払いの方が良い?」

「あ、本当に持ってた・・・・色を染めることも出来ますけど・・・・」

「なら黒で!」

「はい、責任もってやらせて頂きます!」

「俺も肌着を買っておこうかな」

「ありがとうございます!」


 今ブレストが普段使っているローブは俺と同じで良くあるような普通の薄い黄色のローブだけど、目立たないように使っているだけでもっと良いローブを持っているらしい。なんでもヘルメアさんから貰ったローブらしくて、俺も見たことが無いんだよな。このスパイダーの糸を使った肌着の上から防具を着れば防御力はかなり上がりそうだし、良い買い物したぜ。


「それでは、三日後にまたご来店ください」

「は~い」

「お願いします」


 魔力を入れ替えたり色を染めたりするのはそこそこ時間が掛かるらしいから、物を受け取るのは三日後だね。三日なんて依頼をこなしてればあっという間だし、着心地も良さそうだったから楽しみだな~


「良い服を見つけられて良かったな。この調子で装飾品良いのがあると良いんだが・・・・」

「珍しい物も沢山あるしあるんじゃない?」

「あぁ探してみるか」


 軽い毒耐性の装飾品ならあるんだが、高位の毒や精神耐性の装飾品を作るためには希少な素材が必要になるのだ。例えばユニコーンの角とかクリスタルスネークの宝石やホーリーディアの角とかな。希少過ぎて、素材が出回ることが少ないし売り出されたらすぐに売れてしまう。だから、一番確実なのは素材を俺達が狩って装飾品屋に持ち込んで作ってもらうってのが楽なんだけど・・・・高位の素材を扱える人は限られているし時間が掛かるんだよな。


 錬金魔法で作るってのも手だけど、俺はまだ装飾品を作れるほどの腕が無いんだよな~


「やっぱりインセクトやスネークが多いだけあって毒耐性とか解毒ポーションなんかは多いんだけどな~」

「俺はこれくらいの毒なら無効化しちまうからな」

「だよな~もっと効果が強い物じゃないと意味無いよな。だけど一応解毒ポーションは買っておくか」

「はーい」


 俺の自慢できる体質の一つがある程度の毒なら無効化してしまうことなのだ!生まれた時から毒に対する耐性を持ってたみたいで、生みの親に何度も俺を殺そうと毒を飲まされたから耐性が強くなって今では特殊な毒か肉体を瞬時に蝕む毒ぐらいじゃないと効かないぜ。前に毒を持ってる魔物に攻撃された時に、ブレストにこの事を言ったら物凄く渋い顔をしながら「よく頑張ったな。そんな事をする奴は最低だ」と言いながら頭を撫でられたんだよな~別に気にしてないし腐った物でも腹を壊さないから意外と便利なんだぜ。


「ここら辺で危ない毒を持つ魔物ってセンチピードとか?」

「そうだな。後はポイズンフロッグとかだな。目立つ色をしているフロッグには触らないように気を付けろよ。解体する時は必ずグローブをすること」

「分かってるって」

「他は~そうだな~弱い毒でもビーに大量に刺されれば命に関わるから下手に刺激するなよ」

「は~い」


 インセクト系統は毒を持ってる奴が多いんだよな~これもこの森が厄介たる所以だ。毒ってのは明確な傷じゃ無いけど、確実に体を蝕むしタダのかすり傷でも致命傷になることだってある。戦闘中に毒を受けたら痛みで体が鈍るし、毒によっては麻痺や眩暈なんかも起きるから毒って侮れないんだぜ。そんな面倒な魔物を沢山相手してこの町を守り続けてる辺境伯って凄いんだな。


「これぐらいで良いか。そろそろ昼になるし辺境伯の所に行こうぜ」

「はーい。辺境伯の家ってあの大きくて豪華な家だよ」

「そうだ」


 町の奥にある石煉瓦で作られ屋根は赤い色の目立つ大きな建物が領主館だ。他の家と比べて何倍も大きくて頑丈そうで、流石領主金持ってるな~て思ってたけど、ブレストが言うにはもし防壁を越えられそうになった時の避難先が領主館なんだって。だから、他の建物より頑丈で金も掛かってるのか~納得したぜ。


「大事な建物ってことは前に教えて貰ったけど、辺境伯って金持ってるんだな。あれ魔法が掛かってるだろ?」

「強度強化に物理障壁と魔法障壁、各種耐性に反撃用の攻撃魔法ってところだな」

「付与がモリモリだ~」

「まぁこんなに資源が豊かなら金は持ってるだろうし、防衛ってのは重要なことの一つだからな」

「ん~やろうと思えば忍び込めそう・・・・」

「やるなよ」

「やらないよ。家の監視網は抜けられるだろうけど辺境伯に気付かれるだろうし」


 一体俺を何だと思ってるんだ。確かに、ああいう罠だらけの場所や監視が厳しい場所をすり抜けるのは楽しいけど、バレる相手にはしません!バレないのであれば・・・・まぁ・・・・ね?

読んで頂きありがとうございます!

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