辺境伯からのお呼び出し
いつも通り起きた俺達は完全に回復したので、今日は依頼を頑張ろうということで朝の準備をしていると部屋の扉が叩かれた。
「ん?こんな時間に誰だ?」
「女将さんかな」
朝早くのこんな時間に来るなんて、料金の事で何か有ったのかな?特に騒いだりして無いから多分苦情では無いと思うけど・・・・もしかして、昨日一切外に出て無かったから中で死んでいるんじゃないかって心配になって来てくれたのかな?ブレストが扉を開けると、紺色の綺麗に仕立てた服を着た大人が立っていた。
「ブレスト様とクロガネ様でよろしいでしょうか?」
「あぁそうだけど」
「私はシュナイザー辺境伯様の元で家令をしておりますミルバと申します」
「辺境伯様の・・・・それで私達に何か御用でしょうか」
「シュタイザー様からお二人に招待状を預かっております。どうぞ」
「招待状・・・・?」
「はい、是非昼食を共にしたいとのことです」
うわ~あのオッサン招待状送って来やがった!!!冒険者は貴族に従う必要が無いけど、その領地で活動するからには領主を完全に無視する事なんか出来ない。しかも、ギルドを通してたならギルドから断って貰えるけど直接来やがって・・・・あの人逃げ道を絶って来やがった!
「辺境伯様が・・・・俺達と?何かの間違いでは無く?」
「はい、確かにお二人への招待状です」
やべ、昨日の夜に辺境伯に会った事を話してないからブレストが凄く困惑してる。
「昼食に招待して下さるなんて光栄です。有難くそのお誘いを受けさせて貰います」
「畏まりました。そうお伝えしておきます」
あ~まぁそうなるよな。特に理由が無いのに断ったりしたら失礼だしブレストならそうするよな。家令が立ち去ったのを確認するとブレストは満面の笑みを浮かべながらゆっくりと俺の方を向くと
「クーローガーネーお前一体昨日なにしたんだ!」
「違う違う!誤解だよ!」
「別に怒ってる訳じゃ無いぞ。だが、何で招待状を貰うようなことになっているんだ?」
怒って無いならちょっと怖いからその笑顔止めて!俺は昨日戦ったインセクトマンのことその後に辺境伯と出会った事を全てを話すと笑みを止め真剣な顔になると
「なるほどな・・・・虫系統の魔物が大量発生する原因の究明か。確かにインセクトマンまで出てくるのは異常だな。あいつらは強いし森の中だと脅威度が跳ね上がるぞ。詳しく調べようにも町の防衛をしている衛兵を動かせば町が手薄になるし、インセクトマンなんか出てきたら被害は免れないな・・・・冒険者を動かそうにも下手な人選をすれば被害を増やすだけだからな。確かに調査の依頼をするなら、俺達が適任だな」
「実力を買ってくれてるのは嬉しいけど、俺一人で決めれることじゃないから逃げてきちゃったんだよな」
「いや、その判断は正しいぞ。こういう危険度が高い依頼はそう簡単に受けるもんじゃない。念のために確認だがミュルミドンでは無かったんだよな?」
「うん、マンティスの特徴を持ってるからインセクトマンで間違いないと思う。死骸持って帰って来てるから見る?」
「一応見せてくれ」
俺は持って帰った死骸を取り出し見せると、外骨格を手に取り
「ふむ、ちゃんと硬いな。羽化したばかりではないみたいだな」
「前から居るならもっと騒ぎになってそうなもんだけどな」
「ふむ・・・・」
羽化したばかりのインセクトは外骨格に柔らかい所が少しあるのだが今回のは全てが硬い。森に居たインセクトが獲物を狩って生き永らえ、昨日進化したなら分かるけど前から居るなら被害者が沢山いても可笑しくない。なんか変だよな・・・・
「少し気になるな。よし、昼食で直接辺境伯に事情と状況を聞いて判断するか。取りあえず現状は受ける可能性が高いと思ってくれ。クロガネは良いか?嫌なら断るが」
「森を調査するのも楽しそうだから良いよ~」
「そうか」
この森には見たこと無い植物や食べ物それに魔物も沢山居るから楽しいんだよね~ アルカナに行くのは遅くなっちゃうけどすぐに行きたい訳じゃなから旅の過程も楽しまなくちゃね!
昼に辺境伯と会う事になってるから、依頼に行けないので俺達は町で朝食を食べながらうろつくことにした。鍛冶屋とか防具屋とか見て周りたいなっ
「ん~ボアの串焼きうまっ」
「結構辛いなこれ。だけど美味い」
「そうか?もっと辛くてもいけるけど」
屋台で真っ赤な色をしてるボアの串焼きが気になって買ってみたけど、このガツンとした辛さが中々癖になる味だな・・・・ウォルマの食べ物はどれも一癖二癖あるけど、その癖が中々嵌っちまうんだよな。串焼きを食べながら人の声で賑わっている食事屋が並んでいる通りから、金槌の音で賑やかな鍛冶屋や防具などを売ってる場所に来た。流石は防衛の拠点であり冒険者が沢山居るだけあって、店も多いな~
「鉄の武器もあるけど、魔物の素材を使った武器が多いんだな。おもしろ~い!」
「ここは鉱物が豊富に取れる場所でも無いし、外から取り寄せるのも難しいから素材を活かした武器が多いんだろうな」
「なるほど」
「魔物の素材は良い武器になるからな~見ろよあれなんてマーダーベアの爪を付けたナックルだぞ。あれはキラーマンティスの鎌を使ったサイズか」
「あっちはボアの牙を削って作った槍だって」
「ふむ・・・・中々」
素材の姿がそのまま残っている物から、素材を綺麗に整えた後に武器にしたものなど色々な物があって楽しいな~ジャイアントスネークの骨で作った鞭なんて誰が使うんだ。え、意外といる?頑丈で鞭だが打撃力も高められるから骨の鞭を愛好してる人は多いんだ~知らなかった。
「使うつもりは無いけど見てるだけで楽しいな」
「だな」
「こうやって見てみると武器の種類って沢山あるよな」
「地方の方に行くと何だこれって驚くような変な武器もあったりするぞ。たとえば刃が円形になって投げたりして戦う武器とか、三又に分かれた剣が付いているやつとかな」
「へ~円形の刃を投げるのは面白そうだな!」
丸ければ投げやすいだろうし当たる場所すべてが刃ってのは少し扱いづらいだろうけど強力な武器になりそうだな。一歩間違えれば自分も大怪我しちゃうけど、どんな武器も使い方次第だったりするからな~あ、そういえば
「ブレストってさ」
「ん、なんだ?」
「どんな武器でも自由に作れるんだよな?」
「おう、実際に存在しない武器でも武器であれば自由自在に作れるぞ」
「じゃあさ普段ブレストって剣しか使わないけど、他の武器も使えるの?それとも、飛ばすだけ?」
イリスさんと戦った時はハンマーを使ってたけど、あの一瞬だけだったし槍も作ってたけど手には持たず飛ばしているだけだった。普段の戦いでも基本は剣だし他の武器を使ってるところなんて滅多に見たこと無い。沢山の武器を作れるブレストだけど、他の武器も扱うとこが出来るのかな?
「使い慣れているのと、持ち歩くのが楽だから剣を使っているだけで他の武器も全部剣と同じぐらいは使えるぞ」
「あ、そうなんだ。てっきり他の武器はあんまり好きじゃないのかと思ってた」
「いや、単純に慣れの問題だな。今度他の武器を使ってる所見せてやろうか?」
「え、見たい!」
「じゃあ次の依頼の時にな。何か見たい武器とかあるか?」
「ん~特に無い!色々見たいぐらいかな」
「了解」
よっしゃ今度ブレストが色々な武器を使う所を見せてくれるんだって!最近は俺を鍛えるために俺が戦う事が多かったから楽しみだな~一体何の武器を使うんだろ。森の中だから、小回りが利く武器が良いよ。う~ん、ナイフとかナックル、ガントレット、ハチェット色々あるよな。
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