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復活っ!からの面倒ごと

本を読んでいる内に寝てしまって起きた時には、もう外は真っ暗で静まり返っていた。


「いつのまにか寝ちゃったのか・・・・」


 本がしわにならないようにマジックバックの中に仕舞い、あんなに大量に食べたのに小腹が空いてたのでマジックバックから温かいスープを取り出して飲んでいると、町の外から不穏な気配を感じた。


「ん?この気配って・・・・ちょっとヤバいかもな」


 町の外から感じた気配は鋭く遠く離れていても、冷たさを感じる程の殺気を持っていた。しかも、闇に紛れているから俺は感じられたけど普通はこんなの気配も無いのと同じだぞ。魔力の強さもここら周辺に居る魔物と格が違うけど、どっかから流れてきたのか?今町を守っている衛兵の数は十五人、十分過ぎる人数だけどあいつ相手は流石に荷が重そうだな。あれが来たら確実に負傷者は出るだろうし、今日は何もして無かったから体慣らしに倒してくるか。


「よいしょっと、普通はこんな時間に町から出るなんて出来ないから俺も姿を隠しておこっと」


 俺は何時もの装備を着ると、窓から宿を出て姿を魔法で姿を隠し闇に紛れて町を駆け抜けていく。いつも騒がしい所ばっか見ている町がこんなに静まり返ってるのを見ると少し新鮮だな~賑やかなのも良いと思うけど、こういう静かなのも俺は好きだぜ。


お仕事お疲れ様っ

 

 防壁をひとっ飛びで飛び越え、衛兵達に見つからないように森へと入った。闇に包まれた森は、意外にも騒がしく夜行性の動物や虫で賑わっていた。光は空に輝く月と星しか無いが、俺にはそんなの関係無い。迷うことなく一直線に殺気を感じた場所へ走っていく。ブレストに何も言わずに来ちゃったけど、さっさと倒して戻れば何とかなるだろ。相手もこっち目掛けて全速力だし、早めに片付けれさっさと帰ろっと。


「さて、もしかしたら殺気は有るけど友好的かもしれないし。まずは接触してみるか」


 殺気を出して友好的って何がどうなってるんだって感じだけどな。もしかしたら攻撃しちゃいけない相手かもしれないし後々面倒ごとを避けるためにも、こういう確認は大事なのだ。そろそろ相手が見えるはず気配からして人型のはずなんだが・・・・


「あ、見えた。お~い、この先に何か用なのか?そんな殺気満々で行くと誤解されるぞ~うぉ危なっ」


 木の上に乗りながら。向かってくる人型に声を掛けたが完全に無視して俺に殺気を向け手に付いている鎌で俺に斬りかかってきたので、違う枝に飛び移り避ける。やっぱ友好的な相手じゃ無かったか。


「インセクトマンか、ミュルミドンでは無さそうだな」


 俺に殺気を向けている相手は、滑らかな外骨格を持ちその表面には細やかな毛、手は五分指では無く鎌のような形をした爪、そして虫特有の細やかな目、虫がそのまま人型になったような姿を持つこいつはインセクトマンだ。インセクトマンは、虫の魔物が大量の魔力を得たことによって進化したものだと言われ、その強さは三級の上位に当たる。虫の力強さと残忍さ、刃を通さない鎧に巧みに魔法を操るんだから弱い訳が無いよな。


「そこら辺の魔物を餌にすればいいのに、わざわざ人間だけを狙うってアホだな。それにしても、最近インセクト系統と縁があるな~」


 相手と交渉が出来ないのであれば倒すのみ!見た目からして、マンティスのインセクトマンだな。俺はクロスボウに雷の魔力を籠め撃つと、羽を羽ばたかせ空中を飛びながら避け鎌を振ったと思ったら、風の刃飛んできた。軽く避けると、風の刃はいとも簡単に木を両断しやがった。


「わお」

 

 流石の素早さと威力だな~気配の消し方も上手いし動きも悪くない。風のように襲い掛かってくるのを飛び回りながら避けていると、一瞬インセクトマンの姿が闇へと消えた。


「おぉ~上手いな~でも逃さない」

「ギィイ」


 一瞬で俺の背後に周って首を斬り落とそうとした見えない鎌をナイフで防ぎ、腹に思いっきり蹴りを入れてやる。悲鳴は上げたけどダメージになって無さそうだな。こいつらって痛みを感じないから厄介だぜ。


 さて、さっさと終わらせますか。俺はアーマーブルが使ったような分裂し追いかける雷の魔法をクロスボウに籠め五発放つ。それを風の刃で打ち消そうとするが威力が足りず、撃ち負け何とか逃れようと飛び回っている間に俺は姿を魔法で隠し気配を消す。

 そして雷を対処するのに必死で俺を見失ったインセクトマンの背中に周り、ナイフを差し込み全身に雷の魔法を流し込んだ。


「ギィイイイイイ」


 雷を流し込まれたインセクトマンはパタリと倒れ込んだが、油断してはいけない。こいつらはしぶといし意外と頭も良いからな、ほら、近づいたら俺の首を狙ってきた。


「死んだふりは効かないぞ」


 近づいたのは俺が作り出した闇の幻影だ。幻影を攻撃している内に背後に周った俺は四肢と頭を切断し最後に雷を流して終了だ。


「ふ~終わった終わった。それで、ずっと見てるけど何か用ですか?辺境伯様」


 インセクトマンと遭遇したあたりから、後ろから誰か来てる気配がしたんだよな。上手く気配を消しているけど、一度感じたことがある気配を逃す程俺の索敵は甘くないぜ。木の後ろに隠れている辺境伯に話し掛けると、豪快に笑いながら


「はっはっは、バレたか。いやいや、嫌な気配を感じたんで討伐しに来たんだが先を越されちまったな」

「辺境伯自らですか?」

「そりゃあな。衛兵達だけでは死者が出るだろ?」

「まぁ負傷者は必ず出るでしょうね」


 結構簡単に殺せたけど、それは俺が一人だったからだ。あの速さと姿を消すのを連発され次々と相手を変えられたら守り切る自信は無いし、衛兵達の鎧ぐらいなら簡単に両断出来るだろうな。衛兵達の戦い方は、攻めに行くというより守りの戦い方だ。正面から襲い掛かってくる奴相手なら対処できると思うが、あいつは暗殺者のように一撃で致命傷に持って行くタイプだ。ああいうのには、同じぐらいの速さか手数が無ければ対処が難しい。あの速さに対処できる程の反射神経を持ってるなら別だけどな。


「だろ?だから俺が来たわけだ」

「なるほど・・・・でも護衛無しで・・・・ではないみたいですね」

「お、気付いたか」

「護衛を置いてってどうするんですか・・・・」

「事を急ぐというだろ?はっはっは」


 町の方から大慌てでこっちに向かってくる気配が二つ。この人護衛を振り切ってきたな・・・・話した感じやっぱりブレストが言った計算高いタイプじゃなくて素でこういう事をする人なんだな。


「それにしても、良い腕をしてたな。危なそうなら手を貸すつもりだったんだが全く危なげなくて出番が無かったぜ」

「どうも、少し質問良いですか?」

「良いぞ」

「こういう奴らってよく出るんですか?」

「いや、滅多に無いぞ。最近インセクト系統が増えているという報告が上がっているから十数年に一度のインセクト系統が増える時期になってると俺は考えている」

「そんな時期があるんですか」

「あぁ、俺の父の代に何度かな。ぶっちゃけると俺が戻って来たのはそれを調べる為なんだ」

「それ、俺に言って良いんですか?」

「いや~お前ほどの実力があるなら協力して貰いたくてな」


 あれもしかして、厄介ごと頼まれる感じか?


「あ~俺は一介の冒険者ですから・・・・」

「そう言うなって、報酬は弾むぞ」

「いや~」

「シュナイザー様!」

「ほら、護衛も来たことだし俺はこれで!」


 追いかけてきた護衛に気を取られた内に、インセクトマンの死骸を回収して俺は速攻で姿を消し町へと戻った。面倒ごとは嫌だし、ブレストが居ないうちにあんな依頼を受けたら絶対に怒られるし、ついでに俺が勝手に戦いに行ったのもバレる!それは絶対避けないと!


 町を出た時のように気配と姿を消して戻った俺は窓から部屋に入ると、ブレストはまだ眠ているようだった。ふ~危なかったぜ。さて、バレる前にベットに戻って・・・・


「何処行ってたんだ?」


 ギクッ


「ちょっと夜風に当たりに・・・・」

「ほ~夜風に当たるために戦ってきたのか」

「戦い?何のこと?」

「クロガネ」

「・・・・はい。ごめんなさい」

「まぁお前が何で戦いに行ったのか分かってるから責めないが、こういう時は俺も連れて行け」

「だって寝てたし・・・・俺だけで十分勝てるし・・・・」

「だとしてもだ。世の中には絶対なんか無いんだし、もし俺がクロガネに黙って戦いに行ったらどう思う?」

「それは・・・・ヤダ」

「だろ?だから、次からは俺を呼ぶこと分かったな?」

「は~い、ごめんなさい」

「よし、それじゃ明日は早いんだからもう寝るぞ」

「うん、おやすみなさい」

「おやすみ」


 はぁ~怒られちゃった。でも今回は俺が悪いんだし仕方が無いよな。次からはちゃんとブレストに言うようにする!それじゃあおやすみ!

 

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