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初めての二人だけの旅

 次の日朝早くから起きた俺達は、宿の飯を食べず通りに出ている店を食べ歩こうという事で町を歩いていた。昨日話した通り、若い人があまり居らず屋台を出している人達はわりと歳が行っている人達ばかりだ。良い匂いを漂わせてるランナーチキンとオニオンの串を買い食べなら、


「働きに出る時間だってのに、若い奴が少ないな。やっぱり王都に流れてるのか~」

「だな~ここのおもな産業は農業みたいだし、若い奴らからすると魅力を感じないんだろうな」

「ここの野菜クソ美味いけどな」


 グリーンペッパーの肉詰め串を二本買いブレストに渡しながら、俺は次々と屋台に出ている野菜と肉を合わせら串を買っていく。俺は嫌いな食べ物とかねーし食べられるならどんな物でも食うぜ。


「馬車に居た家族も王都に野菜を卸しているらしいし、農作物に関しては優れているのかもな」

「うまうま」

「気に入ったならまとめ買いしていくか?」

「うん!」

「材料さえあれば旅の間に何か作ろうと思えば作れるしな。クロガネは料理とか出来るか?」

「ん~焼いたりとかは出来るよ!あと肉の解体!」


 冒険者になるためにブレストと一緒に鍛錬を積んでいる時に、素材を沢山持ち帰って金にするために魔物や動物の解体は覚えたんだぜっ


「じゃあ、少しずつ色々作れるように練習しようか。旅の間ずっと保存食ってのは辛いぞ~」

「お~頑張る!」


 美味しい物を食べる為なら勉強だってするぜ!マジックバックの中には出来立ての料理を溜め込んでるけど、無くしたりした時食料をどうにかする技術は絶対必要だもんな。


「じゃあ、町を見ながら買い物しようか」

「おう!」


 町を見て周ると、流石はその土地で作って売っているからか王都の野菜たちと比べてると値段は安い。それに、どれも新鮮で丸々と育っていて痩せ細った野菜が無い。これだけ良い物が揃ってるってことは土地が良いんだろうな。


「どれも美味そうだな」

「思っていたよりも良い野菜が多いな。しかも安い。収納に空きもあるし、どんどん買っていくか」


 俺はどの野菜が料理に使いやすいとか分からないから、買い物は全てブレストにお任せだ。店の人は次々と大量に買っていく、ブレストに驚きはしたけど大量に買ってくれるという事で色々とおまけで野菜や果物を貰ってしまった。茶色いけどそれどうやって食べるんだ?炒めると美味いのか~うわ、血みたいに真っ赤なだな~これは煮込み料理とか使うと美味い?なるほど・・・・


 次々と一通り買い込んだ俺達は、ここで買い物は止めて町を見て周ることに。殆どが家で中に入ってみるような店は殆ど無いんだな~鍛冶屋も主に日用品を作っているから俺達が買うようなものは無いな。子供達は畑で仕事を手伝っているか、街中を走っているしなんか少しのんびりしてる雰囲気は好きだぜ。まぁその雰囲気を台無しにする荒くれ冒険者共が居るんだがな。


 朝から酒場で騒いでんじゃねーよ。そんなだから王都で仕事が出来なかったんだろ。


 そこそこの大きさの町だか、殆どが畑か住宅地なのですぐに見て終わった俺達。もう見る所は無さそうだし、そろそろ次の町に向かうとしますか!


「馬車が無くても道はあるから迷う事は無いだろ」

「そういえば、馬車が壊れるなんてどんな魔物と遭遇したんだ?」

「アーマーブルだと」

「あ~なら馬車を壊して護衛に怪我させたのも納得だな」


 アーマーブルは全身が鉄の鎧を纏っているかのように固く生半可な剣や矢じゃ傷つけることは出来ない。それなのに、動いている動物や獲物を見つけると、爆速で突進してくるんだよな~鋼鉄の塊が高速突っ込んでくるようなものだから、正面から受け止められるのは熟練の身体強化能力持ちであるタンクかそういったスキルを持っている人ぐらいだ。馬車なんて簡単に壊しちまうだろうな。


「もしかしたら道中遇うかもしれないな」

「まぁアーマーブルが出現する場所は道からは結構外れているし群れからはぐれた奴が偶々馬車と遭遇したんだと思うぞ」

「そうか~なぁブレストならアーマーブルを真正面から受け止められる?」

「俺にそんな馬鹿力は無いぞ~」

「無いのか~」

「クロガネは俺を一体何だと思ってるんだ。俺は剣士であってタンクじゃ無いぞ」


 ブレストならもしかしてアーマーボアの突進を正面から受け止められるかもと思ったけど、そんな事は無いみたい。俺がもし遭遇したら闇の鎖で拘束してからナイフで倒せば良さそうだな~鎖で止められなかったらアーマーボアを上回る速さで首元に行けば良いだけだし。これからの道中の事を話しながら町の出口へと向かっていると、さっきから付いてくる気配が四つ。


「ブレスト」

「ん~昨日の奴だな」

「はぁ~ごめんなさい」


 だよな~後を付けるならもっと気配消さなきゃバレバレだぞ。はぁ、面倒なのと絡んじゃったな。


「なに謝ってるんだよ。侮辱されたんだからあれぐらい当然だぜ」

「ん、ありがとう。さっさと俺が始末してくるな」

「こらこら、過激すぎるだろ。それがバレたら問題になるし相手が仕掛けてくるまで待とうぜ」

「は~い・・・・」


 どうせ仕返しに来たんだろうから、さっさと始末しちまおうと思ったけど怒られちゃった。ギルドに後からバレない様に殺す自信はあるけど、ブレストに従っておこっと。


「よ~し、それじゃあ走るか」

「おう!」


 ブレストは出口に着くと悪戯を考えた子供みたいな顔で笑ってから、突然走り始めた。俺もそれに合わせて走り始めたけど、遅すぎないか?俺達ならもっと速くても平気なんだけど・・・・


「あはは、慌ててる慌ててる」

「あ~なるほど。あいつらこれぐらいの速さに慌てるなんて冒険者として大丈夫なのか?」


後方で突然走り出した俺達に驚き、見逃さないように慌てて走り出す気配がする。ブレストはあいつらを揶揄ってるんだな。


「見るからに速くなさそうな連中だったからな~獲物も大きいし、ほれほれ頑張れ」

「良い趣味してるな~」


心底楽しそうに走るブレストは中々良い趣味してると思うけど、確かにあんなに慌てて必死に俺達に追いつこうと走ってる姿を見てると・・・・あはは確かに面白いな。


「あははは」

「あいつら根性あるな~」

「他のことにその根性使えよな」


 少しの間俺達は後を付けてくる四人を走らせて遊んだが、このペースで走ると次の町に行くのに時間が掛かるしそろそろ相手してやるか。右は森左は開けた平原という場所で立ち止まると、少しして四人が息を荒げながらやっと俺達に追いついた。


「おう、おつかれさーん」

「これぐらいで息が上がるなんて本当に冒険者か?」

「てめぇら・・・・」

「昨日は手加減してやったが今日は周りに誰も居ねぇ。今度こそぶっ殺してやる」

「お前らの性で俺達は良い迷惑だったんだぞ!落とし前付けろや!」

「どうせ、降格処分になったんだろ、ギルド内での冒険者同士の乱闘はご法度だからな」


 息を上げ汗を流しながら怒鳴り散らす四人は本当にチンピラにしか見えず、ここまで来ると哀れだな。さて、俺が相手してやるか。ブレストが嫌がるから殺さないように痛めつけて放置しておけば良いだろ。そう思って一歩前に出ようとすると、頭に手を載せられ引き留められた。


「待て待て、ここは俺が対処する」

「元は俺が招いた問題だから俺がやるよ」

「同じパーティーなんだから、お前の問題は俺の問題でもあるんだぞ。それと、こういう時どうするのが効果的なのか教えてやるよ」


 そう言ってブレストは笑いながら、四人の方に一歩前に出ると一斉に奴らは武器を抜き襲い掛かろうと一歩を足を前に出した瞬間、石像のように固まってしまった。瞳を限界まで見開き恐怖によって揺れ、顔は青く、疲れによる汗では無く恐怖による汗が奴らの額から流れ落ちる。全てはブレストが殺気を放った所為だ。


「お前ら、俺達はあの場でお前達を殺しても良かったんだぞ?見逃してやったのにわざわざ追いかけて襲ってくるってことは死にたいんだな?」


 いつも飄々と笑顔を絶やすことが無いブレストが氷のような冷酷な目をしながら言い、右手を奴らの方に向けるとその手に一瞬で燃え盛る剣が現れた。


「炭となって消えるのがお望みかな」


 ふっと鼻で笑いながら剣を平原の方に投げると、空気を揺らす爆音と共に大地から天へと上る豪炎が立ち上がる。あまりにも強力な魔法に四人は石像のように固まっていた姿から腰を抜かし地面に倒れると、ブレストは殺気を消し


「消えろ」

「ひぃいいいいい」

「うわあぁぁああああぁあ」

「やだ、やだ、じにたくなぃいいいい」

「バケモノだぁああああ」


 その一言に弾かれたように叫びながら四人は見っともなく駆けだした。おい、ブレストをバケモノ呼ばわりは許さないぞ。クロスボウを構えバケモノと言った奴を少し吹き飛ばしてやろうかと思ったけど、ブレストに撫でられて止められてしまった。


「まぁまぁ、そんな怒るなって」

「む~」

「それはそれとして、俺が今何をやったのか分かったか?」

「殺気をあいつらに当てた」

「その通り。クロガネは気配を消して攻撃をするから普段殺気を使わないだろ」

「うん、動きがバレるから極力抑えてる」

「だけど、こうやって使えば戦わずに相手を怯ませられるようになるから便利だぞ。要は使い方次第だ。人間は知能を持っているから、圧倒的な力と死の恐怖を味わわせればこんな風に簡単に逃げてくれるから、これから使える様になろうな」

「は~い」


 殺気を出しちゃうと相手に気付かれるし、死の危険というのはどんな動物も敏感に感じ取ってしまうから極力抑えてたけど、そういう使い方も出来るのか~俺も出来るように練習しよっと。


「んじゃ、邪魔者は居なくなったことだし行くぞ」

「おう!」

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