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閑話:魔女の微笑み

 いつも通り今日も自分の部屋に籠り実験を繰り返す毎日。今日は何を作ろうかしら?肉体を自由自在に伸ばすことが出来るようになる薬はもう作り終えたし、体を七色に光らせる薬は少し面白かったけど発展性が無かったわね。最近森の管理が行き届いていないし、使い魔を増やそうかしら?人型は面白みが無いし、猫や犬だと普通過ぎるわよね。ドラゴンは・・・・古代竜の奴らが五月蠅そうだから止めておきましょう。


 いっそのこと色々な形に形態変化が出来る使い魔でも作ろうかしら?


 それなら、必要な場面に合わせて姿が変えられるし万能な子になるでしょうね。なら、まずは素体になるものだと・・・・形を変えれるなら一番考えられるのはスライムよね。でも、スライムで作るのは少し面白みがないわよね・・・・


あら?森に誰か入ってきたみたいね。


 折角人が色々実験しようかと思っていたのに、気分を害す愚か者は誰かしら?まぁこの森に来るのはアルカナの人達みたいな魔法狂か、私の作品を欲する訳ありぐらいでしょうね。どんな訳が有ったとしても私には関係ないし、どうせ森を抜けることなんて出来ないわよ。あの森は私が作った幻覚を発生し現実を誤認させる霧を散布する魔道具が設置してあって絶えず霧を作り出しているから、よっぽどの精神耐性を持っている人ぐらいしか抜けることは出来ない。森で迷っている内にあそこに住む魔物や植物達を認識出来ず食べられておしまいね。


 いつもなら放っておくのだけど、今日はいい気分だったのを邪魔してくれたから私が直々に葬ってあげようかしら・・・・


 森に入ってきた愚か者を探そうと気配を探ってみると、あれ?この気配・・・・それにこの子私の霧が効いていない・・・・?今触手を伸ばした錬金生物のことを明らかに避けたわよね。ふ~ん・・・・面白いじゃない。


「ほう、懐かしい気配ね」


 私は転移をして二人を霧に包み私の住処へ招待したのだけど、二人共魔法抵抗が高いのね。普通なら一瞬で来れるのだけど・・・・あ、来た来た。中々良い素早さをしてるわね。それに、このナイフうっとりする程闇の魔力を含んでいるわ。闇夜の涙で武器を作るなんて、面白い事を考える人も居るものね。これなら、実体の持たない相手にもダメージを与えられるでしょうね。それにしても、もう一人は本当に魔法抵抗が高すぎるでしょ・・・・やっと来たわ。


「住処に招いてくれたと言う事は歓迎してくれていると思っても良いのかな?錬金の魔女フォルネーラ・ハイム様」


 えぇ勿論歓迎するわよ。最初は殺してしまおうかと思っていたけど、使い魔を作る事よりも面白そうな事が向こうからやってきてくれるなんて今日は良い日ね。懐かしい気配を持った人間に魔族や魔女でも持っている者は誰も居ない純粋な黒い髪と瞳を持った坊や。さぁさぁ楽しいお茶会にしましょう。


 はぁ~良いわね~その瞳。後から黒く染めることは出来るけどそれは天然でしょう?欲しいわね~私の義眼と交換しないかしら?勿論サービスで鑑定眼とか目から炎出したり遥か先まで見通せる機能も付けてあげるわよ?駄目?え~私の作品なら普通は泣いて喜ぶんだけどな~貴重な材料を見す見す逃す訳にいかないし、こちらから対価を出せば乗ってきてくれないかしら?


 魔法ね~私は殆どの魔法を使えるけど一番得意なのは錬金魔法なのよね。この魔法は資質が大事だから取りあえず試してみましょう。


あら、結構良い線いってるわね


 これなら、十分練習を積めば錬金魔法を使えるようになるでしょうね。さてさて、早速髪を頂きましょう。近くで見ると吸い込まれるほど深く、夜より闇に近い綺麗な黒色ね~傷んでいるのが少し残念だけど特に品質には問題が無いから、我慢しましょう。今度髪を綺麗にする薬でも作って渡そうかしら?でも、この何も交じっていない魔力に他の魔力を入れるのは勿体ないわよね~


 もっと切って良いのね?それじゃあ、遠慮なく


 坊やは髪の重要性について知らないみたいだけど、髪は魔力を蓄積する物だから多くの魔道具の道具になるし、使い方を考えれば髪を使って相手に呪いを掛けることも出来るのよ。勿論、契約書を書かされたから貴方に害を成す使い方はしないしこの世界に同じような髪を持っている人は居ないのに貴重な材料を傷つける訳無いでしょ?


うふふ、こんなに上質な闇属性の髪を使ったら一体何が出来るのか楽しみね。


 え、黒は人気が無い色ですって?しかも闇属性は本で痛烈に批判されていた?あはははは、面白過ぎるわ。闇を否定することは命の在り方を否定するのと同じなのにそれを悪って、あはははは久しぶりに笑ったわ。闇というのは死の象徴だと思う人は多いけど、生命は死んだ後闇の世界へと行き魂を癒し休息を経てこの世界にまた戻ってくるのにそれを否定するなんて、死んだ後の安らぎは要らないってことかしらね?


 ブレスト君は本当の神話を知っているみたいだけど大方ヘルメアから聞いたのでしょうね。


 ヘルメアは魔女の中で一番古い魔女であり最強の魔女でもある。彼女の魔法はまるで御伽噺に出てくる魔法そのものだわ。ただ指を振るだけでどんな困難もどんな状況もいとも簡単に解決し新しい物を作り出す彼女の魔法はもはや奇跡と言っても良いほど。私でも彼女に遠く及ばないのに、彼女の魔法と同じようなことが出来るブレスト貴方は一体何者なのかしら?知りたいわ、欲しいわ、貴方達のその力が謎が全てを知りたいの。だけど、ヘルメアを敵に回すのは避けたいわね・・・・このまま素直に返すのは癪だし少し脅かすぐらいしてやろうかしら。


「だって、貴方達は此処で一生を過ごすと今私が決めたからよ。貴重な黒髪を持つ人間に私ですら使えないヘルメアの魔法に似た魔法を使える人間。そんな面白そうな実験動物を逃がす訳無いでしょ?」


 うふふ、魔女の恐ろしさを味わい私を称えなさい。・・・・魔力で威圧しているのに何で坊やは変な顔というか平気そうなのよ。ちょっと、何よその剣は!!!止めなさい、それで斬られたら私もただじゃ済まないわ。本当にヘルメアに似た魔法が使えるのね!!全くヘルメアも貴方もこの世界の法則を無視し過ぎよ!!!!


はぁ・・・・なんか脅かすだけだったのに簡単に見破られるし殺されそうになるし散々だわ。普通魔女がこんな事を言ったら恐怖するものでしょ?え?私の姿が笑ってた?真顔を意識していたのだからそんなはず無いわ。


 なるほどね~そう言う事なら仕方ないわね。少し事情が変わったのだから、今後の為にこの子達と繋がりを持った方が良さそうだから私の魔導書をあげちゃおう。こうすれば、恩を売っておけるでしょ?



 長い間この世界に変革というのは訪れていなかったけれど、ヘルメアが動いて不思議な二人も現れた。永きに渡り全くと言って良いほど、動きを見せなかった方々が今動き出そうとしているのかもしれないわね。あぁこれから楽しくなりそうだわ。



 二人が帰った後早速坊やの髪を使って、魔道具を作ってみたけれどこれは凄いわね・・・・今まで使ってきた闇属性の素材なんかと比べ物にならない程の魔力がこの髪には秘められている。これだけ純粋な魔力なら、死者に関わる魔法だって難なく使えるわ。闇属性というのはこの世界全てに関わる重要な属性。全てを纏め上げ作り出し破壊する大いなる力。これさえあれば・・・・


 私は錬金の魔女フォルネーラ・ハイム。全てを与えられなかった女であり全てを手に入れる女だ。愛も家族も、人々の温もりも全て私は作り出し手に入れるの。私を愛してくれなかったあの村より私はもっと良い物を手に入れて見返してやるの。そうすれば、きっとこの寂しさが埋まるはずだから・・・・

読んで頂きありがとうございます!

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