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閑話:銀騎士

 なんて事のない毎日、いつも通り仲間達とギルドに向かっている途中にふと感じたこっちを探り暴くような視線。自分で言うのは何だが私達の容姿は整っている方だし、珍しい二級であり女性のみで構成されたパーティーだから、不埒な視線を送る奴や邪な視線を受けることは少なくない。だが、この視線はまるで私の魂を探るような獲物を見定める狩人の様だ。


どこだ?何処から見ている?


 スキルのおかげで勘が鋭くなっているし、探知の技量はノランほどじゃないがだてに二級をやっていない。少し探ればいつもは分かるのに、全然見つからない。一体何処から見ている・・・・そこか!!スキルを最大に使い、見つけたその先は城壁の上だった。


 視覚を強化して城壁を見てみるが、姿も形も無いが私の勘が告げている。そこに何かが居て、私はいま目が合っていると。あの距離から私のことを探り綺麗に気配を隠すことが出来る奴はこの王都には居なかったはずだ。


一体何者なんだ?


 私と目が合った事に気が付いた謎の人物は、すぐに城壁を下り街の影へと消えてしまった。気配が掴めなかったし、人混みに紛れられたらあれは追えないな・・・・しかし、あれは他国からの密偵の可能性がある。調べないといけないな。


「イリスどうしたの?」

「何かあったのか?」

「今、何者かに見られてた」

「見られるなんて何時ものことだろ?」


 私はさっきの正体不明の奴について説明すると、みんな驚きながらも冷静に


「イリスの勘でも見つけにくいとは・・・・何かしらのスキル持ちか?」

「そこまで出来るような人は周辺国には居ないはずだけど・・・・」

「私も聞いたことが無いな」

「私達を狙う暗殺者の可能性もあるから警戒しておくように」

「えぇ姫様を狙っている奴かもしれないし情報を集めておくわ」


 表向きには私達は二級冒険者でありこの国の所属となっているが、本当の私達はこの国の防衛を任されている騎士であり冒険者の身分の方が仮の姿だ。私達は王族と王都を守る秘密部隊であり、この国の脅威となる存在の排除を任されているのだ。この国は錬金の魔女様のおかげで大きな争いや他国の侵略から免れているが、水面下では多くの国から人知れず狙われているのだ。豊かな鉱物資源に肥沃な土地、そんな物を持つこの小国が狙われない訳が無い。

 秘かに王族やこの国の秘密を握ろうと暗躍する奴らを排除する。それが私達の仕事だ。あの正体不明の奴が本気を出せばもしかしたら城にだって潜り込めるかもしれない。どんな手段を使ってでも、あいつの正体を確かめなくては・・・・ギルドで策を練っていると見知った気配を感じ見てみると、そこには私がマークしていたブレストがそこに居た。


 戻って来たのか?一体何のために?


 私の視線に仲間は気付きみんなも表面は笑顔だが困惑しているだろう。ブレストは見た目は好青年であるが、その実力はあまりにも見た目からかけ離れている。彼が王都に居る間に、二級相当の危険性を持つ大型の魔物ワイバーンが複数出現したことを確認したギルドは二級である私達ならまだしもその時はまだ彼は四級であったのにギルドがブレストを指名をしたのだ。その時は一体何を考えているのかと思ったが、現場に向かい戦闘となった時ギルドが指名した理由を理解できた。


 彼は高速で飛び回るワイバーンを魔法で作り出した槍一つで撃ち落とし、簡単に仕留めてみせたのだ。ワイバーンはドラゴンの一種であるため鱗は堅く皮膚でさえ貫通するのは難しく、魔法への耐性を持っているのにそれを一撃で。明らかに異常である。


 依頼後彼について詳しく調べてみたが、私達の情報網をもってしてもつい一年ほど前に冒険者となりそれ以来色々な町を旅をしている事しか分からなかった。明らかに異常な強さであるため、もしや彼は国を巡り調べる密偵なのではないかと私達は疑っているのだ。王都に居る間、常にマークしたが正体を掴めるような証拠は手に入れられず、やがて彼は去ってしまったが何故戻って来たんだ?


 まさか、この王都で何かしようとしているのか?


 私は喜ぶ演技をしながら、ブレストの元に行くとその隣には今まで見たことが無い黒い髪と瞳をした子供が居た。見た目からして冒険者の様だが、彼は今までソロだったはずだ。もしや仲間を迎えに行っていたのか?


「おや、そっちの子は・・・・」


 目が合った瞬間、私の勘が先ほど私を見ていた人間はこの子だと叫んだ。まさか、こんな子供があんなに綺麗に気配を隠せるのか・・・・いや、他の国では幼少の頃から一流の密偵になるために訓練を積むところもある。やっぱりブレストの仲間か?


 話してみたら、あっさりと見ていたことを認め謝ってきた。私のスキルの事をブレストから聞いて、否定するだけ無駄だと思ったのか?表情や目からは嘘偽りは感じられないが・・・・これで五級は無理があるだろう。立ち姿に気配の消し方、歩き方も三級の冒険者なみだ。実力を確かめる意味でも、模擬戦を申し込み断られ良い所でノランに中断して貰い仲間の元へ戻った。


「話は聞いてたわ」

「事実だと思うか?」

「嘘は言ってなさそうだが、警戒は緩めない方が良いだろう」

「あの子がイリスの言ってた視線の正体なのね」

「あぁ間違いない」

「だろうな。私の隠密も見破られていた」

「魔法を使っているような気配は無かったし、気配の遮断や察知能力に長けているのかしら」

「そうかもしれないな」

「暫くの間は監視しておいた方が良さそうだな」


 ブレスト達が立ち去った後私達は暫くあの二人を監視することになった。私達も全力で隠れてるつもりなんだが、クロガネと呼ばれる少年に何度見つかりかけたことか・・・・二人を調査している間になんやらギルドから面倒な依頼が来てしまった。


 ドラゴン?しかも王都の近くで?嘘でしょ・・・・


 前に上位竜と戦った時は本当に死ぬかと思ったのに、また戦うかもしれないの?私の勘は生命の危機や嘘偽り、気配とかに効くんだけどこういう目撃者が感じた本当の事を言ってる時は、もし見た相手が違くても言っていることは本当だから効かないのよね。まぁ多分上位竜では無さそう。そうだ!


 ギルド長に許可を貰ってブレストたちを巻き込みさぁドラゴン退治へ!クロガネ君を巻き込むことをブレストはかなり嫌がっていたけど、本当に大切にしているみたいだね。だけど、私達は君達に実力を測る必要があるんだ。無理に説得して、遭遇してみたらただの大きなディングリングリザードって・・・・私の計画台無しなんですけど。


 その後何とかごねて二人と模擬戦をすることになったけど、この二人異常だろ!クロガネは隠密に長けていて戦闘力はそこまでじゃないと思っていたけど、そんな事は無かった。


速い、気配が追いづらい!!気配が掴みづらいのがこんなに厄介だなんて!


 上位の三級冒険者レベルの速さを維持しながら気配を消し、常に奇襲を掛け裏をかいてくる。視界から放たれる魔法は防御しないと私に確かなダメージを与える威力を持っている。それが無数に飛んできて、軌道も操りながら自分はナイフで戦えるってどういう事なの!?対処は出来ているから、これをずっと続けるのは無理でしょっほら、限界が!っっっ


危ない、あのまま誘いに乗ってたら首を斬られるところだったわ。


 この子はいつも私が致命傷となる場所を虎視眈々と狙っている。決して油断しちゃいけないし、私に届く程の実力は持っていないけど甘く見たら痛い目に遭うね。でも、それを続けても意味無いわよ!きゃっいつの間にそんな高威力の魔法を編んでたのよ!え、いつの間に鎖を仕掛けたのっヤバッ!!


 あの矢をまともに食らうの不味いと、つい本気を出しちゃったけど本当に恐ろしい子だな。最後なんて本当に何処に居るか分からなかったし、気を付けないと。はぁ、相棒がこのレベルってブレストは一体どれくらいなんだ?ふ~真剣にやらないと駄目そうだね。


 ちょっこれ私の最速なんだけど余裕で捌くの止めてくれないかな!!うわっ剣の威力高すぎるよね!こんなに強いのに気配が無いなんて、二人揃ってズルすぎでしょ!!!!クソッ剣が邪魔で近付けないならっ・・・・これなら届くっ


 え~それ本当に自由自在なんだね。盾とか槍とかサリームじゃ無いけどその魔法可笑しいからな!あ~もう全部焼き払ってやる!嘘、防御魔法も出来るのか・・・・ちょっみんな何で私を攻撃するんだい!?


 え、やりすぎ?途中から力量を測るだけじゃなくて楽しんでいただろって?そそそそ、そんな事無い!


この後ギルド長に淡々と説教されたりみんなにやり過ぎだと叱られて散々だったよ・・・・でも、これはブレストが変なのが悪いんじゃないか!?


 暫くの間二人を監視して、無害だと判断できたけど無害だとしてもあの二人の強さは少し気になる所があるんだよな~私の勘が何かあるんじゃないかと告げている。どうやら二人は他国に行くみたいだけど、他の国でもブレストは警戒されてそうだよな~ 


「イリス、さっさと陛下に報告しに行くわよ」

「はぁ~面倒だね。サリームだけで良くないか?」

「何言ってるの。この中で陛下と謁見できるのは貴方しか居ないんだから!」

「はぁ・・・・叔父に会うのは色々と大変なんだよ・・・・」


 あの人話が長いし未だにイリスちゃんは子供の頃はお花を持って叔父さん大好き~とか言ってたとか言ってくるからうっとおしいんだよ・・・・

読んで頂きありがとうございます!

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[良い点] 検索で飛んできましたが一気に読み終わりました。面白かったです
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