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魔女の性質

 錬金の魔女様から真実の神話を聞いたけど、どう考えても光の民が悪いのに闇が責められてる現状に少しイラっと来たけど俺がどうこう出来るようなことでも無い。真実を知れただけ良かったと思うことにしよう。こんな話聞いたことも無かったけど、光の民が隠した事実をブレストは何故知ってたんだろう?


「光の民って本当に懲りないんだな・・・・そう言えばブレストは何でこの神話を知ってたんだ?」

「俺も魔女から聞いたんだよ」

「え、ブレストは他の魔女と知り合いなのか?」


 錬金の魔女様とは初対面みたいだったし、他の魔女と知り合いってことだよな?


「知り合いというか、俺の恩人であり師匠だな」

「ブレストの師匠!」

「旅をするための魔法と知識そして、世界を教えてくれた感謝してもしきれない恩人なんだ。まぁ偶にあの人がやらかしに散々な目に遭う事もあったけどな」

「ふふ、ヘルメアは色々な事をするからね。彼女は元気かしら?」

「一年半くらい会って無いけど元気だったと思いますよ」

「ヘルメア?」


 それが魔女でありブレストの師匠の名前だろうか。


「そうだ。流浪の魔女ヘルメア。俺の師匠であり魔女としては珍しく自分の領域を持たず、世界を気ままに巡り、時に世界を変革へと導く先導者」

「おお~凄そう!」

「基本的に善い人なんだが、偶の思いつきでとんでもない事をしでかす人でもあるんだよな・・・・」

「ビブナ山を平地に更地にしたこともあったわね」


 うふふと笑っているけど、山を更地にするってとんでもない事だと思うんだが・・・・・


「あの時は大変でしたよ・・・・いくらビブナ山が噴火しそうになって近くの町が危険だとしても山を丸ごと消すのはやり過ぎです」

「ふふ、彼女らしいわね」

「町の人を助けるために山を消したってこと?」

「偶々近くの町を旅していた時に、町人達から助けてくれて悲願されてな。それで助けるためにやった事なんだが、あまりにも大雑把過ぎてな・・・・山が無くなれば今後困る事もないし、良い解決法だろってな」

「うわぁ・・・・」

「彼女らしいわね」


 確かに山が無くなれば噴火の問題も解決できるし、今後いつ起きるか分からない噴火に怯える事もなくなるけど解決法が力技過ぎだろ。


「あの人の魔法は色々と規格外なんだよな~・・・・」

「魔女の中でも最も異質で強力な魔法ですもの」

「魔法を教わったってことはブレストもその流浪の魔女様の魔法を使えるのか?」

「いや、あれは他人が出来る魔法じゃないから似たような魔法を使ってるだけだ」

「だから、ヘルメアの気配がしたのね。それにしても、似ている魔法が使えるなんて凄いわね。私でも無理よ」


 そういえば、ブレストと初めて会った時懐かしい気配を感じたって言ってたけど魔女の魔法の気配だったのか。


「ブレストや魔女様でも無理な魔法ってどんな魔法なんだ?」

「ヘルメアが使う魔法は創造魔法って言ってな。魔力を使ってありとあらゆるものを作り出す魔法なんだ。例えば無から物を作り出したり花を作り出したりな」

「・・・・それって錬金魔法と同じじゃないのか?」


 魔力を使って物を作り出すならさっき教えて貰った錬金魔法と同じだろ?錬金の魔女様は魔力を対価に物を作ってるみたいだしほぼ同じじゃん。


「表面上は似ているけど中身は全くの別物なのよ。私の錬金魔法は対価と釣り合った物しか作れないし、命を作り出すには命を使わないといけない縛りがあるの。それに、物に対する知識や構築と言った工程が必要だけど、ヘルメアの魔法はただ想像するだけで現象が起きるの。消えない火が欲しいと思ったら、どんな手段を使っても消えない火を作り出せるし、生物が欲しいと思ったら指を動かす程度の魔力で生み出せるのよ」

「しかも、効果も範囲も威力も数も自由自在かつこの世界に存在しない物ですら生み出せる魔法なんだ」

「私はあくまでこの世界にある物質をこの世界にある違う物質に変えているに過ぎないのよ」


 流浪の魔女の魔法を語る二人は、いかに凄いのかを教えてくれたがあまりに壮大過ぎるので想像があまりつかない。だけど、どんな物でも生み出せる魔法ってなんか凄いってことは分かる。


「あれはもう世界を書き換える魔法よね~」

「あの人が本気になればどんな町や国でも消せるだろうな」

「相手になるのは古代竜ぐらいじゃないかしら?」

「古代竜でさえどうにか出来そうだけどな」

「それはそうね」

「滅茶苦茶凄い人なのか~会ってみたいな」


 古代竜と戦えるなんて凄く強い人みたいだけど、人を助けたりと優しいそうだし一度会ってみたいな~。ブレストは俺の師匠みたいな人だから、流浪の魔女様は師匠の師匠ってことだろ。


「あ~俺も一度クロガネをヘルメアに会わせたいけどあの人今何処に居るのか全く分からないんだよな~・・・・フォルネーラ様は居所を知ってますか?」

「知らないわね」

「ですよね。という訳であの人は探しても見つからないし居場所も知らないから運が良ければ会えるさ」


そうか~これからブレストと一緒に色々な場所を旅するんだし運が良ければきっと会えるよな。


「会えないと思うわよ」

「え?」

「だって、貴方達の旅は此処で終わりなんだから」


 平然とした態度でそう言う錬金の魔女様。残酷な事を言いながら紅茶を飲んだがさっきまで動いていなかった小指が少し動いたような・・・・


「何故でしょうか?」

「だって、貴方達は此処で一生を過ごすと今私が決めたからよ。貴重な黒髪を持つ人間に私ですら使えないヘルメアの魔法に似た魔法を使える人間。そんな面白そうな実験動物を逃がす訳無いでしょ?」


 笑みを深め今まで抑えていた魔力を開放する錬金の魔女様。その魔力はまるで絡みつき雷撃のように肌を刺激する。ブレストは溜息を付き立ち上がると、真剣な顔になると魔法剣を作り出し手に持った。


「もしそうするつもりであれば、俺は貴方を斬りますよ」

「うふふ、魔女を斬れると思って?そんな怖がらなくても、大丈夫よ。貴方達は私の実験室で大事に大事に飼ってあげるから」

「そうですか・・・・」


 あ、やっぱり小指が動いてるし魔女様の気配に違和感がある。俺達を飼うと言いながら攻撃してこないし、簡単に拘束できるのに拘束してこない。言葉にはハッキリと強い意志が込められブレストが本気にするほど説得力があるのにどこか変。一瞬姿が二重に見え、もう一つの姿が心底面白そうに笑ってる。これは・・・・俺達を揶揄っているだけだな。


「ブレスト、嘘だから大丈夫だよ」

「クロガネ、魔女ってのは無邪気で純粋で自分のやりたい事が最優先なんだ。まるで、子供が花を摘むかのように街を壊し自分の魔法の為ならどれだけの犠牲も気にしないそう言う生き物なんだ。魔女がやると言ったらやる」

「大丈夫だよ、ただ揶揄って面白がってるだけだから」

「は?」

「・・・・あらバレちゃったのね。つまらないわ」

「はぁ?」

「どうして分かったのかしら?」

「何となく違和感を感じたのと、さっきまで話すときは一切動いてなかった小指が動いてたから」


 いきなり威圧を引っ込めた魔女様にブレストは拍子抜けしてしまったが、そんな事も気にせず俺に質問をしてくる。


「はぁ私もまだまだね~魔女の話をしていたから私も威厳を出そうかなと思ったのだけど、簡単に見破られるなんて」

「だって、姿が笑ってましたからね」

「え?」


 魔女様は俺の言葉を聞いて俺の顔を覗き込むと大きな溜息を付いて


「なるほどね~それならバレてしまっても仕方が無いわ」

「・・・・よく分かりませんが、揶揄うのは止めて下さい。貴方達が言うと冗談に聞こえないんですよ」

「ごめんなさいね。でも、私は冗談だけど他の魔女だったら冗談じゃ済まさないと思うけどね」

「でしょうね。貴方達は自分が求めたもの望んだ物を手に入れるために、人間を捨て世界の理から外れた人達ですから、もし興味がある物を見つけたら決して逃さない。それが魔女です。ヘルメアと一緒に旅をして嫌って程理解しましたよ」


 苦い顔で話すブレストは魔女と一緒に何年か旅をしたことがあるから、魔女というのがどういう性質を持っているのか嫌な程分かっているみたいだ。俺は錬金の魔女様としか会ってないから、魔女の事を詳しく知らないけど面白い人達だと思うな。


「うふふ、私達はただ欲しい物を手に入れているだけよ」

「そのためなら何がどうなろうと関係ないってだけですよね」

「でもさ、人ってそういうものだろ。自分の為なら他人を蹴落とし誰が死のうとも関係ない。だって、誰もが自分が第一で他の人なんてどうでも良いんだからさ」


 自分の為に他人や親しい人でも売る奴を沢山見てきた。どんなに善いやつでも、自分の身は可愛いものだし誘惑に勝てない人が多いだろう。


「クロガネ・・・・」

「勿論ブレストみたいに善い人もいるけどな」

「うふふ、クロガネ君はこっち側の才能があるかもね」

「止めて下さいよ。うちのクロガネはあげません」

「分かってるわよ。私だって貴方となんか戦いたくないし。でも、少し魔法を教えるくらいは良いわよね?」


 そう言って魔女様は手を振ると黒い革で丁寧に綴じられた一冊の本がテーブルに現れた。


「これは錬金魔法の魔導書。私が書いたやつだから、そこらにある魔導書よりは優れていると思うわよ。クロガネ君にあげるわ」

「えっ!?魔導書って貴重な物じゃ・・・・」

「一体何を企んでるんですか」

「嫌ね~ただ少し興味を持ったから育てたくなっただけよ。それに、私の嘘を簡単に見破ったからその功績を称えての贈り物よ」

「・・・・」

「そんな目で見なくても、呪いは掛かってないわよ」

「ブレスト、貰っても良い?」


 一応聞いてみるけど、本心では凄く欲しくてたまらない。王都では使えそうな魔導書が見つからなかったし、魔法を欲してる俺からするともう宝物のように見えるのだ。願いを込めてブレストを見つめると、溜息をつき


「魔女の魔導書なんて危険なんだが・・・・まぁ貴重で有用な物だから貰っとけ」

「うん!ありがとうございます錬金の魔女様!」

「フォルネーラって呼んで頂戴。貴方達とは仲良くしたいもの」

「はい!フォルネーラさん!」


 俺達はその後日が暮れるまで話をして、フォルネーラさん特製の紅茶や菓子を貰ってまた転移魔法で森の外まで送ってもらった。


「また何時でもいらっしゃいね」


色々あったけど依頼も魔導書も貰ったしラッキーな日だったな!

読んで頂きありがとうございます!

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