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閑話:新たな人生を授かった冒険者

操作ミスによって完結表示となってしまいましたが連載は続きます。誤解を招いてしまい大変申し訳ございませんでした。今後このような事が無いよう気を付けます

 俺の人生は忙しく厳しかったが、充実して満足いくものだった。だが、一つだけ心残りがある。それは、唯一の家族で弟である月斗つきとを残して死んでしまった事だ。こんな事を言うのは頭が可笑しくなったんじゃないかって言われるだろうが、俺には前世の記憶がある。俺の両親は月斗の誕生日プレゼントを買いに行った時に事故に遭い亡くなってしまい、俺達兄弟は取り残されてしまった。それから祖父母も親戚も居ない俺達は施設に入るか、俺が働いて月斗を養うかという選択を迫られた。

 俺は高校一年生で十五歳という働ける年齢だったので、学校を辞めまだ小学四年生だった月斗を養う事を選んだ。


離れ離れになるのは嫌だし、他の人が居る空間に弱っている月斗を置いておけないからな。


 幸い親が遺産を残してくれたので、俺が働ければ十分月斗を養うことは出来る。後見人と一緒に仕事を探し、何とか小さな会社に就職してそれからは我武者羅に働く日々を過ごしていた。


俺も今思えばただのガキだったな・・・・


 月斗は両親の事故は自分の所為だと責め泣いて引き籠るようになってしまったが、毎日根気よく話し続けて一年経つ頃にはしっかりと学校にも行けるようになった。俺はというもの、まだ社会の何も分からないガキだったから怒られ学びクタクタになりながら月斗の学校の行事に行ったりと本当に目が回るような日々だったな~だけど、苦しいとは思わなかった。


何故かって?俺には家族が残ってるし、弟を一人にさせる訳にはいかないと毎日必死だったからだ。


 言う事を聞かなかったり悪戯をする月斗だが、喧嘩をする毎日ですら大事で元気なっていく姿を見た時は泣いちまったぐらいだ。どんどん成長していき、反抗期の時は大喧嘩をしたり兄ちゃんは俺の親じゃない!とかも言われた時は少し落ち込んだけど、二人三脚で人生を進んでいった。生意気で口煩くて、口が悪いけど優しくて偶に素直になる大事な家族、笑って泣いて喜んでそんな毎日が楽しかった。


 俺が二十歳になる頃には、月斗は進学校へ入学しバイトをして誕生日にプレゼントをくれた日は近所迷惑になる程大泣きしたもんだ。仕事も慣れてきて、忙しいけど大きな案件を任せれたりと順調に進んでいる毎日だったが、その終わりは突然来てしまった。


二十五歳の夏のある日


「いってきます」

「いってらっしゃい。今夜は俺が飯作る番だから、期待してろよ!」

「おぉ~月斗の料理は美味いからな~楽しみにしておくよ」

「あのさ、兄貴」

「なんだ?」

「俺も二十歳になったし俺に縛れずに自由に生きてくれよ。人生を奪った俺が言うなって感じだけど、兄貴には楽しく自由に生きて欲しい」

「なんだ急に、お前を重荷なんて考えたこと無いし自由に生きてるぞ。人生を奪ったなんてそんな事絶対に無いんだからな」

「そっか・・・・ありがと兄貴」


 今日の月斗はなんか変だったな・・・・いつも通り会社へ向かい電車から降りて歩いた時、突然胸が締め付けられるような痛みに襲われ蹲りそれを見た人達が助けを呼んでくれたみたいだが、喋る事すら出来ない。胸を掻くように悶えながら思考は段々鈍くなっていき、色々な事を思い浮かぶ。


早く仕事に行かないと・・・・何やってるんだ俺。仕事をさっさと終わらせて帰って飯を食ってまた頑張らないといけないんだ。だから、こんな場所で倒れてる訳にはいかない・・・・あいつは苦労したんだもっと楽な生活をさせないと・・・・月斗・・・・頑張ったよな国立大に入るなんて凄いじゃないか。もっと俺を頼っても良いんだぞ・・・・一人になんてさせられない・・・・


 ぼやけた視界で走馬灯と呼ばれる記憶が頭を流れ電池が切れるように意識が消え、次目覚めた時は知らない男と女の顔だった。


 人生ってのは残酷なもので、どうやら俺は死んでしまって生まれ変わりそして全く違う世界で生まれてしまったらしい。その事実を理解した時俺は大声で泣いてしまった。


嘘だ、こんなの夢だ!質の悪い夢や幻覚を見ているだけなんだ、だから目を覚ましてくれ。俺はあいつを一人にする訳にはいかないんだ・・・・!


 どんなに願っても泣いても覚めてくれない現実に俺は絶望した。どうせ生まれ変わるなら地球にしてくれよ、そうすれば月斗を探すことだって出来るのに・・・・世界が違うんじゃ探しようが無い!


 嘆き苦しむ俺をこの世界の親は心配したが、俺はどうしてもこの人達を親と思うことが出来なかった。日本では見慣れない明るい燃えるような赤い髪と瞳の男と金髪と緑色の目をした女。どれも非現実的で実感が湧かなかったのだ。


 四歳になった頃ようやく少し立ち直り、この世界を知ることにした。魔法や魔物が居るこの不思議な世界。生活は古くこの世界の価値観になれるのは凄く苦労した。自分から話すようになった俺を、二人は喜んでくれたが俺は何処か他人事に思えた・・・・最低だよな。


 五歳になり自分が居る村の事を色々知ることが出来た。この村はココル村と言い山の麓に作られた小さな村だ。自給自足の生活をしていて大きな街から遠く人も来ない村で、狩人や薬師はいるが魔法を使える人は居なかった。


 六歳 両親の手伝いとして畑仕事をしていて自分の体力と筋力が他の子供と比べて、高い事に気付いた。不思議な世界だからそんな事もあるのかと疑問には思わなかったけどな。


 七歳 自分の境遇にも慣れて受け止め新たな人生を歩むことを選ぶことにした。両親との仲も良くなり、食卓には笑顔がこぼれ父さんはフラム母さんはトゥイという名前だ。二人は夫婦仲も良く、働き者で日本に居た頃の両親を少し思い出し大切にしていこうと思った。


 十三歳 どの世界でも世界は人間に厳しいことを改めて思い知った。両親は流行病に倒れ、戦う力を持っていた俺は街に行き薬師を連れてきたが頑張りも虚しく二人は・・・・もっと、一緒に居たかったのに・・・・また俺は親を亡くすのか・・・・両親は俺に「貴方だけの人生を歩んで、縛られず自由に生きて人生を楽しんで」と言って旅立ってしまった。


 それからというもの、俺は村を出て街に行き冒険者として旅に出ることにした。村に残って欲しいと声はあったが、肉親を無くした今前世の記憶を持っている俺はどうもこの世界の異物感が拭えず彼らと一緒に生活していくことが出来なくなってしまったのだ。旅をしながら色々な事を考えた。


 普通転生するなら神様に会うとかあるだろ!俺そんなの全く無かったしチートも無いぞ!!便利なスキルはあるけど最強とかじゃ無いし!神様なんて信じないからな!まだ若かったのに心臓発作で死んじまうとか、マジで情けないぜ・・・・念の為保険は入っておいたし学費と生活するための金は貯金してあったから大丈夫なはずだ。月斗が成長して結婚して姪っ子を見る所まで人生設計してたのになんて運命だ。

 みんなが言ってくれたように俺はもう自由に生きてやる!好きな事は沢山するし嫌いなことは絶対にしない。好き勝手に生きてやる!そして、日本では生きられなかった二十五歳から先の人生をこの世界で徹底的に楽しんでやる!!!


それに・・・・この世界で死んだ時また日本に戻れるかもしれないだろ?もし、死んでまた月斗に会った時には面白い話を聞かせてやらないとな!あいつ、こういう話大好きだったし!


 色々と吹っ切れた俺はある人に魔法を教えて貰い力を身に付け色々な場所へ旅立ってから三年ある街で、ある少年と出会った。俺でも少し反応が遅れるような気配の消し方と盗み方をした少年、魔法を使い生意気で気が強いけど優しくて、とても懐かしい色をしていた。この世界には色々な種族が生活しているため、髪や目の色は様々で賑やかだが日本人のような黒髪黒い瞳は見たことが無かった。だから、期待しちまったんだよな・・・・


 その少年が転移者や転生者じゃないと知って少し落ち込んだが、こいつには才能がると見抜いた俺はクロガネと名前を付けて育て上げることにした。月斗に似てるっていうのもあるが、何処か放っておけないんだよな。


 よし、それじゃあ訓練するぞ!っておい速すぎだろ、ちょっ首狙ってくるな!物騒過ぎるだろ!

 こういう魔法が有ってな・・・・え、もう出来るのか?俺これ使うのにかなり苦戦したんだけどな~魔法を複数同時に使うのって高難易度なんだぞ。ヤバい、師匠の威厳を出さなければ!

読んで頂きありがとうございます!

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[良い点] 完結小説項目から来ました。 応援してます。
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