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森と言えば採取!

 謎の視線の事を考えならギルドへ入ると昨日通りナナンさんが受付で書類仕事をしていた。


「おはようございます」

「あら、おはようございます。今日も依頼を受けられますか?」

「そのつもりだな。今日は採取系をやりたいと思っているんだが良いのはあるか?」

「採取ですか・・・・数はそこまでありませんけど幾つかありますね。何か希望はございますか?」

「特になしで」

「畏まりました」


 昨日は討伐依頼だったから今日は採取依頼だ!討伐依頼ほどの派手さは無いけれど採取も大事な冒険者の仕事の一つなので経験は積んでおいた方が良い。採取と言っても多種多様で、よくある依頼である植物から鉱山での採掘、魔物が生み出す鉱物から排泄物、変わったやつだと朝露が染みた地面に生えた花が魔物に踏みつけられたモノとかその内容は本当に様々だ。フォレシアは森に囲まれた国だから採取系統の依頼が沢山あるかと思ったけどそうでも無いんだな。


「こんなに森が豊かなのに採取依頼って少ないんですか?」

「この町の方々は植物であれば自分で採取か育てたりしてしまうので依頼が出されるのは武力が必要なものばかりなんですよね」

「あ~なるほど」


 植物であれば自分で何とか出来るって訳か。そう言えばペシェさんとも採取をしている時に襲われたことによって出会ったんだもんな~


「なので、このギルドに来る採取依頼は他国や他の町で出された依頼の方が多いんですよね」

「それって馬鹿みたいに金が掛かるんじゃなかったか?」


 ギルドに出す依頼はそのギルドの管轄内で済ませることが出来る依頼が基本だ。例えば俺が住んでいた街プリトのギルドは、その周辺にある森とダンジョンにそれに街から街へと移動する護衛などの依頼は引き受けることが出来るがこの町スターリアに関する依頼はギルドが拒否し基本引き受けることが無い。理由は単純にその町から他の町に干渉出来ずギルドが管理しきれないからだ。


だって、プリトの町からスターリアの魔物を倒してこいなんてそんな依頼を誰も受けないし、本当に倒したの確認を取るのも大変だろ。


 だから、基本は管轄外の依頼を引き受けないんだけど、ギルドには独自の連絡手段があるからそれを利用して他の町へ依頼を受け渡すことが出来るのだ。だけどこれはその依頼の現場がどれだけ遠方にあるのかと道中の輸送のコスト、冒険者の拘束時間に危険性など様々な要因で依頼料が馬鹿みたいに跳ね上がるのだ。故にその依頼は出す人はよっぽどの金持ちじゃないと無理だ。


「そうなんですけど、フォレシアの植物は特別ですから大金をはたいても入手したい方が各地に居るんですよ。こなしてくださる冒険者様がいらっしゃらないので年々溜まる一方で・・・・」

「絶対にその依頼は受けませんからね」

「同じく」

「はい、承知しています」


 そういった依頼は採取から依頼主まで届けるのがセットなので時間が掛かるし俺達は暫くこの町に居るつもりだから受けるつもりは無い。そもそもそんな金持ち相手に俺が行ったら別の問題になる気がするしな。


「それ以外ですと、火葬花と爆裂樹それとモドリ草ですね」

「爆裂樹か・・・・」

「あれが生えてるのか・・・・」


 爆裂樹という言葉に思わず顔を顰めてしまったが、あれは金になるし良い依頼ではあるんだけど・・・・厄介なんだよな。他の二つは確かに特殊な植物だけど採取の難易度は高くない。こなせる依頼だし報酬も悪く無いから引き受けることにした。


「他にもこちらの植物は常に買取を行っていますのでご確認ください。それと昨日買取を致しました魔物素材の査定が夕方には終わりますのでその件でもまた顔を出してください」


 そう言ってナナンさんは植物の名前がズラリと書かれた紙を渡してきた。なるほど、こいつらは依頼が無くても買い取って貰えるって事だな覚えておこう。


「了解です。それでは行ってきますね」

「はい、貴方達の冒険に祝福があらんことを」


 俺達は早速依頼を達成するために森へと向かおうとしたが、昨日まで食べていた果物達が底をついた事に気付いた。依頼を終えてからでも良いけど帰ってきた時には店が閉まってしまうかもしれないので先に市場へと行くことにする。ここに来るのは二回目だが前と変わった様子は無く、同じようにアマーレさんが店を出していた。


「あら、いらっしゃい。また来てくれたって事は気に入ってくれたみたいだね」

「えぇ」

「すっごく美味しかったです!」

「そうかい、それは嬉しいね。今日は何が欲しいんだい?」

「前と同じくらいの量をおススメで」

「そうかい、前ので何か気に入ったものはあったかい?」

「全部美味しかったけど・・・・スタースプラッシュとバナナはまた食べたいかな」

「俺はスターベリーが気に入ったかな」

「そうかい、それならそれを入れて他にも・・・・」


 そう言ってアマーレさんは次々と果物を集め魔法で作った籠の中に入れていく。その中には俺達が食べたことも見たことも無い果物が沢山あって食べるのが楽しみだ。


「それじゃあこれぐらいで良いかい?」

「あぁ十分だ。これお代です」

「多過ぎるよ」

「・・・・そうか、それじゃあこれで」

「うん、これなら大丈夫だ。これから仕事かい?」

「そうですね」

「頑張るんだよ~」


 俺達はアマーレさんにお礼を言ってその場を離れ果物を少し摘まみながら町の門へと向かった。


「ブレストがあの場で引くなんて思わなかったな」

「正当な金額を渡したいとは思うが、正しく価値を知っていて自分の生活に困っておらず善意として売っているのであれば俺が口出しするのはお門違いかなと思ったんだ。彼らには彼らの生活と価値観があるだろ?それなのに俺の考えを押し付けるのは良くないだろ」

「そっか~」


 俺達からすれば金はあればあるほど良いし安く売るなんて以ての外だけど、彼らにとってはそうじゃ無い。逆に大金を渡したら委縮してしまう程なんだから、無理やり金を渡すのは良くないかもしれないな。


「俺達は旅をしている冒険者であって、この町の住人でも変革を齎そうとしている活動家でも無い。だから、町とそこに住む住人達を尊重し彼らの価値観を考えなきゃいけないんだ。ヘルメアと旅してる時に教えられた事なのにうっかりしてな」

「ブレストでもそういうのあるんだ。いつも完璧なのかと思ってた」

「な訳無いだろ。俺は不完全で反省する事が沢山なんだぞ」

「へ~以外」


 ブレストは何時も自信にあふれてて何をするにも堂々としていて間違う事が無い。だから、ブレストは間違わないと思ってたんだけどそうじゃ無いんだな。


「以外って・・・・俺だって人の子だから間違う事はあるさ」


 ブレストは自虐気味に笑う。その様子は昔を思い出している様で俺と出会う前に色々あったのかもな。俺達は話しながら門に到着し今日の依頼を再確認すると、森へと走り出す。


「火葬花は火属性と闇属性を兼ね備えた花だから森の深い所に行かないと見つけられないだろうな」

「爆裂樹もその近くにあるかも?」

「モドリ草はそこらで見つけられるだろうし、後にしてまずは買い取って貰える植物があった採取して、それをしながら火葬花と爆裂樹を見つけようか」

「は~い」


 依頼の中の二つを見つけるには火属性が強い大地へと行かなとならないが町の周辺にはその大地が無い。なのでその場所を探しつつリストにあった植物を採取して金を稼ぐか。


「あ、チギリ草だ。ヒールマッシュもあるぞ」

「こっちはカザキリ草にインフェルノマッシュだ」


 森に潜んでいる魔物達に見つからないよう気配を消しながら森を進んで行くが、進むたびに金になる植物を見つけちまって中々進めないなこれ。

読んで頂きありがとうございます!

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#悪ガキと転生冒険者

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