高そうでカッコイイ城!
次の日の朝、疑うような視線は無くなり気持ち良く起きれた俺達は、昨日約束した通り二人のパーティーである『枝の導き』と一緒にダンジョンへと向かった。二人のパーティーメンバーは見る感じだと、盾使いに魔法士、回復士に剣士と弓士とバランスが取れている。俺達は二人だからバランスは悪いけどその分対応力はあるからこの人達には負けてないと思う。
「うっわぁ~すげぇ!」
「ふふ」
「ブレスト、城ってこんな感じなのか!?」
「ん~綺麗な城じゃなくて悪の城か魔族の城って感じだな」
「へ~!!」
十から二十層までの煌びやかで綺麗な街並みと違いこの階層は黒く輝く石を使った城の中で、赤い絨毯や変な格好をした石像などまるでお話の中に出てくるお城みたいだ。綺麗なのも良いけど、格好良いのもワクワクするな~
「ほら、興奮してないで先行くぞ」
「はーい!」
「取りあえず、先進んで遭遇した相手で力試しで良いだろ?」
「えぇそれで良いわ」
話している感じだと弓士のお姉さんがこのパーティーのリーダーみたい。俺達はワクワクするダンジョンの中を歩いて進むと、前から気配が
「前の扉の先に三体気配がする」
「彼の言う通りね」
「それと、あの腕を上げてる石像と槍を持ってる鎧は全部トラップだ。近付き過ぎると襲われる」
「正解ね」
ふふーん、これぐらい見破れるって!俺達は罠を起動しないように、扉まで行く。
「入るのはそちらに任せるわ」
「了解、クロガネここから先は本気で戦って良いぞ。魔法も技も全て出し惜しみなしだ」
「分かった!」
ここまでの道中は制限を掛けていたけど、これから先は好きに魔法を使って良いらしい!魔力の残力は気にしなきゃ駄目だけど、力を見せるためにも全力を見せないとな。
「それじゃ、入るぜ」
「どうぞ」
俺は勢い良く扉を開け廊下の先に居る三体のホムンクルスを視認する。
剣持ちが二体と弓が一体か、しかも鉄防具を着ているな。
ホムンクルスは、生き物の柔軟さと人形の硬さと仕組みを重ね持ち、あらゆる武器を使いこなし魔法さえ使う人間によく似た魔物だ。集団だと連携もするから厄介な魔物だとも聞いた。だけど、そんなの関係ないぜ!
俺は雷の魔法を体に纏い自分の体とスピードを強化し、弓持ちに向かって突っ込む。
「はやっ」
「おぉ良いスピードだな」
いつもは風か身体強化だけだったけど、雷の方が何倍もスピードが出る。だけど、踏み込むときにダンッていう雷が落ちたような音が出るから煩いし、目立つからあんまり使わないんだよな。そんな事を考えながら、一瞬で弓持ちの至近距離まで近づきその速さのまま、風の刃を高速で回転させたものをナイフに纏わせて手足と頭を切り落とす。
ギィィン
音を立てながら切り落とされた弓使いは何も出来ず倒れて行き、流石は上位の魔物なだけあって俺が攻撃しようとした時は反応していた剣持ちが斬りかかってきたが俺は跳ねて距離を取る。そして距離を取りながら棒手裏剣を勢い良く二体の胴体に投げる。防具を着ているせいで貫通は無理だけど、刺すのが目的だから気にしない。
「終わりっと!」
俺は刺さった棒手裏剣に魔法を送り込み、雷の魔法を発動させると中で炸裂する稲妻が発生し内側からホムンクルスを破壊する。体内に雷を流されたホムンクルスは煙を立てながら黒くなり倒れた。
「嫌な魔法使うわね・・・・」
「刺さったら終わりか。嫌だなあれ」
「速いから避けるのも難しいし、一つでも刺されば内側からドカンっか」
「あんな魔法見たことありません」
「あのナイフで防具ごと切り裂いたのも驚きです」
風の刃が回転する魔法は、ブレストに教えて貰ったんだぜ!この魔法は堅い物でも押し付ければ切れるし、回転を上げれば切れ味も上がるから結構お気に入りだ。最初は難しくてどうやるのか想像つかなかったけど、ブレストに見せて貰って出来るようになった。なんかチェーンソーとか言ってたけど、同じような武器があるのかな?棒手裏剣を爆発させるのは、練習している時に魔力を籠めすぎて爆発したことから思い付いたんだ!
「ん?もう一体来る」
「三体倒すことが増援のトリガーみたいね」
「これも俺がやった方が良い?」
「やっちまえ~」
追加で現れたホムンクルスは、一緒に居るパーティーの盾使いみたいにとても重そうな鎧を着ていて、関節もしっかりと鉄に覆われている。斬り易そうな隙間が無い相手って嫌いなんだよな~面倒だし魔法で片づけるか。突っ込んでくる鎧を着たホムンクルスの足元に下から上に吹き上げる風を作り出し、抵抗虚しく空中に飛ばされる。そして、天井まで持ち上げた後下に勢い良く吹く風を作り出し地面に叩き落とす。
ゴンッ
鈍い音を立てながら落ちたホムンクルスはまだ生きているが、止めに雷を落として終わり!重い奴はこうやるのが楽で良いね!
「・・・・えげつないな」
「自分の重さが仇になったな」
「子供に何教えてるのよ・・・・」
「どう見ても街の外へ旅に出てもやっていける実力を持ってるだろ・・・・一体外に何があると思ってるんだ」
「ドラゴンに出くわすかもしれないだろ」
「滅多にないわよ!」
「それに、外には危ない大人が沢山居るんだから慎重になるのは当たり前だろ」
「盗賊が束になっても返り討ちになるだけよ!見た目は幼い子供で強そうに見えないのに、本当は三級並みの実力を持ってるって詐欺みたいなものじゃない!」
「こりゃ相当過保護だな」
倒したホムンクルスがドロップした物を拾っている間に何やら言い合いをしているブレスト達。俺の実力は認めて貰えたみたいだな~良かった。ドロップ品は使えない剣と弓そして鉄の兜で全く嬉しく無いけどな!
「過保護なくらいが丁度良いんだよ」
「そのうち鬱陶しがられるわよ」
「クロガネは良い子だからそんなこと無いって!」
「駄目だこりゃ」
「まぁ取りあえず合格ってことで良いか?」
「えぇ文句無しよ」
俺はみんなの元に戻ると俺の実力は合格らしい。ブレストは俺に甘い所があるから、俺の実力ってどのくらいなのか分からなかったけど、三級冒険者の人達に認めて貰えるぐらいはあるみたいだな。
「もしこの人が面倒臭くなったらぜひ私達の所にいらっしゃい。貴方ならいつでも歓迎するわ」
「おい、何うちのメンバーを引き抜こうとしてるんだ」
「やぁね、ただ提案しただけよ」
「うちの子はやらん!ほら、クロガネ先に行くぞ」
「はーい、じゃあバイバイ!」
別にそんな怒らなくても・・・・まだまだ教えて貰いたいことが沢山あるから離れるつもりなんて全く無いぜ。
「変な二人だったわね~」
「あの男、強さが全く読めないな」
「そうですね~私達より強いのは確実でしょうけど」
「てか、あの速さで走ってたのか・・・・」
走っていく俺達を呆れ顔で見送る冒険者パーティーだった。そんな事も知らず、廊下を走る二人は次々と現れるホムンクルスを蹴散らしていた。
「この階層からは、落とす武器も魔石もうまいから次々倒していくぞ」
「おう!」
まともに戦うと大変だけど反応する前に速攻で倒してしまえば、ホムンクルスとはいえ敵じゃない。それでも魔法の威力を上げないと斬れない奴とが居るから、魔力の消費が大きいからちゃんと調整しながら進んで行くぜ。
道が少なくて途中他の冒険者と遭遇したりしたが、壁を走ったりして避け特に問題になる事無く倒し進んで休むことを繰り返すと予定通りの日程でダンジョンの最下層まで降りていくことが出来た。ボス部屋の前は二つのパーティーが順番待ちをしていたので俺達は保存食を食べながら待つことにした。
「集めた魔石売ったらどれくらいになるかな?」
「ここの魔石なら一つ銀棒一つぐらいかな」
「ほんとか!?うぉ~お金持ち!」
銀棒は銀貨10枚分だ。銀棒があれが一ヶ月パンを買えるぜ!その銀棒になる魔石が沢山!
「武器とかも売れば、クロガネの装備を新しく出来るな」
「え~このままで良いよ。それより飯!」
「駄目だ。防具や装備は冒険者の命だから出来るだけ良いものを揃えなきゃ駄目だぞ」
「え~」
「本当はこのダンジョンでクロガネの装備が出てくれれば良かったんだがな~まぁ運しだいだから仕方が無い」
そうなんだよ!結構な数を倒したが落ちる物は全部大きくて、俺の体に合うような物が無い!そんな物は帰ったら全部売ってやるからな!
「次で落ちるかもしれないじゃん!」
「そうだと良いな」
「ここのボスも同じようにホムンクルスなんだろ?」
「まぁそうなんだが、少し特殊でなドッペルゲンガーって知ってるか?」
「なんだそれ」
「ドッペルゲンガーっていうのはもう一人の自分、つまりは相手を模倣する魔物の事を言うんだ」
「へ~それがボスなんだ?」
「ここのドッペルゲンガーはボス部屋に入った人の中から一人選んで、その人を必ず上回る力で出現するんだ。姿や形は似ているが、実力的には格上の存在だからもし俺を模倣したら俺が相手するからな」
「はーい」
相手を上回る力で現れるなら、もしブレストを模倣されたら俺じゃ絶対に敵わない。戦ってみたい気持ちもあるけど、命が大事だからここは抑えて素直に言う事を聞こう。
「お、順番が来たな。行くぞ」
「おう!」
どうか俺を模倣してくれますように!
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