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閑話:辺境の若き狼6

 俺は何度かインセクトマンの奇襲を受けクロガネ殿に助けられながらも、魔物を倒し俺では相手出来ない魔物を二人に任せていたが流石に疲れるな。魔力の消耗が激しく休憩させて貰っているが、二人はまだ元気そうだな。なんと、ブレスト殿はサイズも使えるのか・・・・いや一撃で倒すとは一体どうなっているんだ?ウォリアーは歴戦の戦士でも斬り裂くことが難しい強固な外骨格を持っているはずなんだが恐れ入ったな。武器であればなんでも使えると言うことなので是非バトルアックスを見せてくれないか?


 ロシェ俺達シュナイザー家に求められている者は貴族としての高貴さでは無く防衛力としての力だ。その為であれば他の貴族に何と言われようと、使える物は使わなくてはならない。真似は難しいと言われたが、どんな技でもものにして見せる!


・・・・なるほど、確かにあれは真似は難しいな。だが、あれこそ俺が習得すべき強力な一撃だ!絶対に習得してみせる!!


 最後の魔物を倒したことによって奥に進み完全に制圧したことを確認した俺達は、ようやくダンジョンから出て外はもう日が暮れそうになっていた。ダンジョンという異常事態を直ぐに父上に報告したかったが、ここで俺達が倒れてしまったら何の意味も無いので念のために休憩を挟みウォルマへと戻ることになった。


 ウォルマへと戻っている道中で何度も夜番を共にすることになり、クロガネ殿と話すことが出来たがやはりクロガネ殿は凄いな。その歳でそこまでの力を手に入れていることに嫉妬し羨ましく思っていたが、今では尊敬の域に達している。そんな人が俺に期待してくれているのだから、俺も頑張らないといけないな。


 うっブレスト殿の動きを真似しようとしているのがバレてしまったか。だが、あれは本当に俺に必要な物の一つだと思うんだ!なに、俺には俺の良さがあるか・・・・俺に嫉妬だと!?クロガネ殿がか!?なんか嬉しい気持ちと信じられない気持ちが混ざっているが、そうか俺はそういう力を持っているのだな。強くなれると言うのであれば、その言葉を信じるが言った責任は取って貰おうか。言った言葉を逆手に取るこれはさっき学んだことだ。なに勿論報酬はしっかりと出すぞ。ブレスト殿の了承も取れたことだし、ウォルマへと帰るのが楽しみだな!


 ウォルマへと戻った俺達は衛兵や住民達に歓迎を受けながら、館に戻ると母上によって怒られ報告を聞いた父上にも怒られてしまったが今回の調査への動向は俺にとっては世界を変えられたといっても良い経験だった。俺はすぐに鍛錬に移れるように報告書を仕上げていると、部屋を元気よくノックされた。この勢いは・・・・


「「兄様~」」

「ララ、ルウどうしたんだ?」

「お帰りなさ~い」

「森のお話聞かせて~」

「兄様は今仕事中なんだが・・・・」

「え~」

「つまんな~い」


 妹のララと弟のルウはいつも一緒に行動し同じ格好を好み、趣味や興味のあるものも同じだ。俺がよく冒険譚の本を読み聞かせてきた所為か二人共冒険の話が好きになり、俺が森に行ったことを聞いて話を聞きに来たんだろう。暫くの間相手することも出来なかったし構ってやらないとな。


「報告書を書くのを邪魔しないなら、お話ししてやる。どうする?」

「しな~い!」

「お話聞く~!」


 俺の言葉を聞いて二人は嬉しそうに俺の部屋に入り椅子を持ってくると、俺を挟むように座り報告書を見ながら期待した目で俺が話すのを待っている。


「それじゃあ、最初から話すとするか」


 クロガネ殿達と一緒に森を調査したことを思い出しながら二人に話し報告書を仕上げていった。俺の冒険に目を輝かし盛り上がる二人だったが、どうやらクロガネの事が気になるらしく会って見たいと言う。指南役として雇うことになっているからそのうち会えると思うぞ。夜遅くまで続いた話に二人は眠気に勝てず、やがて舟を漕いでしまっていたので二人を俺のベットに寝かせ俺は最後の仕上げをするのだった。


 次の日父上に報告書を提出した後日課の鍛錬をしていると、


「テセウ様」


 後ろから突然クロガネ殿の声がして驚きながら挨拶をすると早速今日から鍛錬を付けてくれるらしい。それならば、まずは敬語を使うのは止めて貰おう。俺はクロガネ殿に教わる立場なのだから、敬語を使われるのは可笑しな話だろう?むしろ俺が敬語を使うべきだろう。妥協案として二人共呼び捨てかつ敬語を使わないことで了承した。


厳しいか優しいかだと?それは勿論厳しい方を所望する。


 なるほど、俺には気配を読む力が欠けているとクロガネは思っているのだな。確かに俺はクロガネ程の探知能力は無いが、もし襲い掛かってくれば反応出来るし俺のスキルがあれば容易く防御出来るはず・・・・


「今の反応して防御出来ましたか?」

「っ・・・・」


 今、目の前に居て視認していたはずなのに一瞬で姿が消え次の瞬間には俺の首元にナイフが突きつけられていた。気付けば防御出来ると思っていたが、これは防御する以前の話だ。気配を感じられず動きも見えないこれでは反応してスキルも使うことも出来ない。もし、クロガネが本気だったら俺の首は繋がっていない。なるほど、これが気配を感知することの重要性か。分かった、鍛錬をお願いする。


 クロガネにコツを教わりながら鍛錬をしたが、気配を読むと言うのは難しい物なのだな。これをクロガネはいつもやっているのか。俺が一番感じやすかったものは殺気だ。あの首筋がチリチリと痛む感触は忘れられないな。インセクトマンも俺は感じられなかったがこのような殺気を放っていたのだろう。


昼休憩を挟んで次は手合わせをしてくれるようだ。俺は自分の力が何処までクロガネ殿に届くかどうか試せると喜び全力で挑んだがその結果は悲惨なものだった。予測不能で素早かつ変則的な動きに翻弄され、攻撃をスキルで防御している内にあっという間に体力切れを起こし、クロガネに触れる事さえ出来ずに終わってしまった。


 クロガネが言うには俺は姿を見ているだけで細部を見れていないと言う。身体の動きや視線を見れば次の動きが分かりクロガネ程の速さを持っていない俺だとしても、攻撃は可能だそうだ。分かったそれを意識してもう一戦頼む!


 なるほど、クロガネが一つ一つ声に出して教えてくれたおかげで理解できたが、確かに体の動きを見れば次にする行動が分かるのだな。俺は今まで姿を捉えているだけで、細部まで気にしていなかったことがよく分かるな。


 次は・・・・そこかっ


 あっ


 ブラフか・・・・なるほど、細部に注目しそれを基準に動いているから敢えて分かりやすく動くことによって行動を誘えるのか。ブラフかどうかを見分けるには先程教えて貰った気配や殺気を読むのだな。ふむ、良い勉強になった。


 明日からクロガネはまたダンジョンに行ってしまうが、居ない間も常に気配を読む練習を続け言われた通りいつも通りの鍛錬をしておこう。森で同行していて分かったことだが、クロガネは日々の鍛錬を一日も忘れずにやっていた。きっとその積み重ねがあの強さに繋がっているのだろう。俺も見習わないとな。


「テセウ様~俺はお呼び出しがあるまでは暇なんで俺が教えられることなら何でも教えますよ」

「本当か?それならばクラウドスパイダーを倒したあの動きを教えて欲しい!」

「え、良いですけど・・・・結構難しいですからすぐに習得は無理ですよ?」

「あぁそれは理解している」


 俺には新しい技が必要だとクロガネも言っていた。俺は足の素早さは無いが、立ち止まり武器を振るう速さだけであればスキルを全力で使えば何とかなるはずだ。


「それじゃあまずは~足をグンっと動かして手をパっと」


 一つ問題だったのは魔法や動きそして戦闘や魔物の知識に関して教えるのが上手いブレスト殿が武器の扱いを教えるのは少々下手だったことぐらいだな。

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