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閑話:辺境の守護者3

 はぁ、森の異変の原因がダンジョンだとは思っても無かったぜ・・・・ブレスト殿がスタンピードを鎮めてくれたおかげで徐々に異変は収まっていくだろうがダンジョンとなれば放置することは出来ないぞ。話を聞いた限りだとあまり有用なダンジョンだとは思えないが何とかしないと駄目だな。テセウのとんでもない行動には驚いたが、ブレスト殿が学びの場を作ってくれたようだな。


 テセウは今まで家庭教師によって様々な教育を受け、沢山の本を読み知識を蓄えてきたがそれを実践する場が無かった。いくら知識を蓄えたとしても実戦では本や話のように上手くいかないものだ。実戦に出て自分で考え行動しその結果がどうなるかを経験出来たのは良いことだろう。しかも、現役の冒険者からであれば本に載っていない知識なども学ぶことが出来ただろうな。その証拠として前とは別人のように見えるぞ。やっぱり良い経験になったみたいだな。


 それはさておき、ダンジョンとなれば俺が直接見てこないと駄目だろうな~でも、俺が町を離れると防衛力に問題が・・・・ん?あれ適任の奴が居るんじゃん。まぁまぁそんなこと言わずに引き受けてくれよ~凄く嫌そうな顔をされたけど、クロガネ殿の後押しもあって了承してくれたぜ。これで、防衛力の問題は解決したな。案内はクロガネ殿にして貰って日程は・・・・早い方が良いな。話が纏まったと思ったら、クロガネ殿を指南役として雇いたいだと?ふむ、本当に良い経験になったみたいだな。


「ふ~ん・・・・良いぞ」


 テセウには同世代の友達もいないし実力的にも問題無いだろう。さて、それじゃあ今日は解散だな。二人が帰った後テセウはリリーに少しだけ怒られ、ララとルウにも泣かれて落ち込んでいたが次の日には立ち直り報告書を仕上げていた。


ふむふむ、ウォリアーを相手していたのはクロガネ殿だったのか。体つきと武器からして相性が悪い筈なんだが・・・・興味深いな。報告書が上がるまで暫く掛かると思っていたが、ブレスト殿は翌日に仕上げてその内容も満点を渡しても良いほどの出来だ。全ての冒険者がこれぐらいの報告書を書けると仕事が楽なんだけどな・・・・このレベルは求めないからもう少しマシな物を・・・・こんな愚痴を言っても仕方が無いか。早速で悪いがクロガネ殿にはテセウの指南役をして貰って、ブレスト殿には砦について説明しないとな。


「それで俺に話とは何でしょうか?」

「既に明日ダンジョンに向かう予定なので、ブレスト殿への依頼を詳しく話しておかないなら無いと思ってな」

「随分と準備が早いですね」

「こういうのは迅速に対応しなければならないだろ?それで、ブレスト殿には基本的にこの町に居て魔物襲撃の対応をして貰うが、もし砦で高位の魔物が出現した際は砦に向かいそれを対処して貰うつもりだ」

「昨日聞いた通りですね。高位の魔物とはどれくらいですか?」

「基本は三級の群れだな。二級に相当する奴も稀に出現する」

「それなら問題無いです」


 三級の群れなんて普通はパーティーで処理するものなんだが、ソロでも全く問題が無いみたいだな。しかも二級をが出現すると言っても動揺無しか。相当な自信とそれを裏付ける実力があるみたいだな。


「流石だな。応援が必要な場合は文が届くことになっているから、馬車を使って向かってくれ。それで砦にはアマロという責任者が居るから何か困った時はそいつの指示を仰いでくれ」

「アマロさんですね分かりました。それと馬車は使わない方が早いので、走っていきます」

「そこそこ距離があるぞ」

「大丈夫です」

「そうか、倒した魔物については・・・・」

「全てそちらに差し上げます」

「良いのか?依頼しているからそっちで素材を受け取っても良いんだぞ」

「後々フォレシアに行くことになっているので、そこで確保できますし金も苦労していないで大丈夫です。俺としては、フォレシアの魔物との戦闘を経験できるだけで有益なんですよ」

「そうか」


 俺からすると助かるから良いが、そんなに物欲が無くて大丈夫なのか?報酬は少し多めにしておくか・・・・砦についてと町の防衛に関しての細かい話をしているとあっという間に時間が経ってしまいサピロとクロガネ殿が帰ってきたが、サピロがなんか不機嫌だな。


あ~なるほどな。確かにそんな事をすればサピロが不機嫌になるだろうな。


 サピロの怒りは分かるが俺からするとクロガネ殿が正しいと思うぞ。痛みや死の危険を感じなければ、直らない部分ってのはあるもんだ。それに実戦経験が乏しいテセウにとっては、甘えを捨て実戦がどれだけ汚く厳しい物なのかを叩き込む必要があるからな。短い時間でそれを教えるには、そういう手段を取る必要性があるってことだ。今訓練しているのは気配の感じ取り方か。あれは、実戦を経験しないと本当に習得しずらいからな~・・・・俺はスキルのおかげで何とかなってるが、クロガネ殿はスキル無しでそれをやってのけてるのか。監視もバレちまってるし、良い先生になりそうだ。


 

 次の日、早速ダンジョンに向かうことになったが、なんだその移動の仕方は。いくら体重が軽いからとは言え、素早い跳躍を実現するには力強い踏み込みが必要なはずだ。だと言うのに枝を揺らさず踏み込みの音もしない、しかもそれを気配を消しながら馬車よりも速くだと?恐ろしいな。俺も森の中を走るのには慣れているからついては行けるが、完全に気配を消しながらは無理だな。


 鎖をそう使うのか・・・・器用だな。


 詠唱も無く発動された闇魔法、それにあのクロスボウの威力も十分。ブレスト殿に仕込まれたと言ってたが、一体何を育てようとしているんだ・・・・クロガネ殿の強さに驚きながらも順調にダンジョンに向かい、夜は互いの事を話したり旅の出来事を話し仲を深めていく。最初は俺を警戒していたが無害だと判断すると、子供らしい一面も見れて微笑ましいな。


ふむ、これが例のダンジョンか・・・・狭いし遠いし湧く魔物も特別という訳でも無い。これはもう潰した方が良さそうだな~こんなのじゃギルドも管理したがらないだろ。


 あまりのも期待外れのダンジョンに落胆しながら館に帰ると、ブレスト殿は砦に行っていないらしい。そう心配せずとも・・・・え、全くもって心配じゃない?そうか・・・・ん?クロガネ殿はフォレシアについてよく知らないみたいだな。ブレスト殿も初めてだと?なるほど、それで実戦経験を積みたいと言うことなのか。楽しみにしているのであれば俺が奪う訳にもいかないな。そうだ、良い事を思いついた。


「そういう事なら是非我が家に泊まると良い」


 テセウを朝から指導するのであれば、距離は近い方が良いだろうし凄腕の冒険者と言えどクロガネ殿はまだ子供だ。客室は空いている事だし、是非我が家に泊まると良い!断ろうとするのを強引に押し切りサピロに案内させて、俺は溜まった書類に目を通していく。


「ふむ、ブレスト殿は俺が居ない間に二回も砦に行ったのか。アマロからの報告書によると、見たことが無い不思議な魔法剣によって一瞬で片づけていたと」


 アマロは経験豊富な衛兵で元冒険者でもある。そんなアマロが不思議と言うのであれば、何か秘伝の魔法でも使っているのかもしれないな。友人からの手紙にもブレスト殿は魔法剣を使うと言っていたし、実際に見てみたいものだ。


 結局ブレスト殿とテセウ殿は我が家で寝泊まりをして貰い、指導を受けているテセウは凄く楽しそうだ。初めての対等な友人であり新たな事を教えてくれる存在と言うのは今まで居なかったからな。俺としてもブレスト殿が居てくれるおかげで、仕事をサボ・・・・ゲフンゲフン、楽できるから大助かりだ。


 時間も余裕が出来たことだしテセウに指導を付けてやるか。あわよくばブレスト殿共戦ってみたいと思っていたが、クロガネ殿が言ってくれたおかげでそれが実現しそうだ。


あぁ、楽しみだな!!

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