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閑話:辺境の守護者2

 逃げられないよう正式な招待状によって客人として我が館に招き、食事の場を作ってみたがこの二人は確かな絆で結ばれているんだな。クロガネ殿は食事のマナーに関しては、年齢相応のようで親に助けを求める子供の様にブレストを見ていて昨日のあの勇猛な姿とは想像も付かないな。ブレスト殿はこのような場にある程度慣れている様で俺と会話しながらでも、所作を乱すことをしないな。そして、さり気なくクロガネ殿をフォローしているようで仲が本当に良いのだな。


「それじゃあ飯を食べ終わったことだし、早速本題と行こうか」


 夜に起こった出来事はクロガネ殿から聞かされている様で、ブレスト殿は一切の動揺なく俺の話を聞いてくれた。冒険者とは言え、俺の権力に屈し貴族な圧力から逃げられない者も数多くいるのだが流石は三級冒険者だな。俺からの直接の依頼だと聞いても冷静だ。この異変は俺の町を長年悩ませてきているが、調査に行けるような人材が居なくて対処は可能だから放置していたのだが・・・・何か少しでも分かれば良い。インセクトウォリアーが出る程の依頼を三級と五級に頼むのを疑問に思っているみたいだが、どう考えても二人は良い意味で階級相応じゃないだろ。クロガネ殿もこの依頼に前向きのようで、子供が近くの空き地を探検するような気軽さだな。


「善は急げってことで、早速俺達は調査に向かわせて頂きます」


 早速調査に掛かってくれるらしい二人を玄関まで送ろうとすると、テセウが声を上げながら俺の元へ来てしまった。


「父上!」

「テサウ、お客様の前だぞ」


 いつもなら問題が無いが、今案内している二人は客人だ。硬い事は言いたくないがその振る舞いは貴族の息子として見逃せるものじゃ無いな。うん、自分の非を認め謝れるのは偉いぞ。話の流れとして聞いてしまったがクロガネ殿は孤児で10歳なのか・・・・それにしては小さいな。いや、孤児ならしっかりとした物を食べれていないだろうし、年齢だって定かでは無い筈だ。まだ知り合って短いが二人はまるで本物の兄弟のようで、孤児で血の繋がりが無い事にも驚いたな。


 それにしても、テセウはもう少しで12になるが10かそれより下であそこまでの実力を身に付けるなんて大したものだ。俺の息子であるテセウも年齢にしては実力があるし、俺を越える才能もあるが明らかに経験不足なんだよな・・・・まぁこれに関しては俺が悪いんだけどな。砦に行くのが忙しく親子で森で実践をさせる機会を作れなかった俺のミスだ。あと少しで学院に行くことになり将来的にはこの町を守ることになっているから、何とか時間を作って実戦経験を積ませてやりたいな。


「・・・・クロガネ殿は五級なんですよね?」


 おい、テセウいくらなんでもその態度は何だ?階級や年齢が低くとも実力は本物だぞ。そもそも階級ってのはその人分かりやすくするための称号のようなものだ。本当の実力ってのは階級なんぞで判断するんじゃ無くそいつの立ち振る舞いを見て判断しなくては痛い目を見るぞ。そして、何よりもクロガネ殿は客人だ。その客人相手に手合わせを頼み込むとは無礼にもほどがあるぞ。確かにクロガネ殿の戦い方は参考になるだろうけど、何故このタイミングで言った?それにその拗ねた顔そんな子供のような真似は今までしなかったじゃ無いか。子供らしい一面を見れて嬉しくはあるが、何で今なんだ。どうやら二人は無礼な態度にも起こる事無く大人の対応をしてくれているが、これは諫めないと駄目だな。


「テセウ!」


 いつもは素直で良いやつなのに今度は何だ!?依頼に連れて行って欲しいだと!?一体どうしたんだよお前は。そんな事したら二人に迷惑を掛け自分の命を危険に晒すことになるんだぞ。確かにテセウは鍛えてきたが森に入ってしまえば素人同然だ。こういうことをはっきりと言いたくないが二人とは天と地もの差があり、付いていける訳が無い。あまりにも無茶な事を言うのでどうしようかと思っていたが、テセウはそんな事を思っていたのか・・・・子供に心配させちまうなんてな。お前の覚悟は分かった。そこまで言うならば、二人が良いと言えば同行を許そう。そろそろ実践の場学ばせなければと思ってたからな。


「はぁ~行っちまったか」

「宜しかったのですか?いくらギルド長から推薦された方々とは言えテセウ様を任せるのは・・・・」

「今日一日接して分かったがあの二人は相当なお人好しだな」

「そうですか?他者と一線を置いているように感じましたが」

「確かに、自分と他者を明確に分け視点を高く持ち積極的に親しくなるタイプでは無いな。だが、二人共困っている人間や助けを求める人間を見逃すことが出来ないタイプだ。俺の勘を信じろ」

「・・・・はい」

「それで鑑定は無理だったのか?」

「はい、何も情報を得ることが出来ませんでした。それどころか鑑定眼を見破られてしまいました」

「高位の魔法師であれば、鑑定を防ぐことが可能だがそうは見えなかったよな・・・・純粋に魔力が多いのか実力が離されすぎなのかもな。それは置いといて俺も鑑定してバレるってことは何かのスキル持ちか?」

「分かりませんが、あの少年はこちらが考えていることを見抜く能力に長けていると考えられます。引き続きあの二人への調査を行います」

「あぁ任せた」


 テセウの鑑定は強力だが大量の魔力によって全身を守っている者ならば鑑定を防ぐことが可能だし、高価だが鑑定を防ぐ魔道具だってあるから鑑定が出来なくても不思議じゃない。だが、鑑定眼を見破る方法は魔法によって防ぎそれを感じ取る方法か、鑑定をするかスキルによって看破する方法ぐらいしか無い筈だ。魔法を使った様子は無かったし、恐らくスキルによるものか?


「調査は引き受けますが奥様への説明はお任せいたします」

「あ、やべぇ」


 しまったリリーに何も言わずに決めちまった。いや、テセウの訓練については俺に一任されているし怒られは・・・・するな。リリーは頭がよく俺の仕事とテセウを鍛え上げる重要性を理解してはくれているが、それと同じぐらい子供達の事を大事にしている。息子を見ず知らずの冒険者に任せ、危険な状態にある森に行かせたなんて言ったら・・・・怒られるだろうが素直に話してこよう。


「はぁ~・・・・滅茶苦茶怒られた」


 今回に関しては俺が完全に悪いから怒られるのは仕方が無いし、命を落とす危険性のある森に息子を行かせたんだからあの怒りはもっともだ。本来であれば俺が付いて実践を行うはずでそれであれば、まだ安心だが知らない冒険者だもんな~・・・・


「当たり前です。それとこちらが届いていました」


 くたびれた様子の俺を励ます事無く冷たい態度で渡された手紙を見ると、王都で頑張っている友人の家紋が押されていた。


「いつもの手紙にしては早いな。なんか面倒ごとでもあったのか?」


 手紙の送り主は俺が学生時代の同室だった変人から送られてきたものだ。学院を卒業した後も定期的に文を交わしているんだが、内容としては国に関わる重要なことから娘が最近構ってくれないと言ったどうでも良い雑談まで幅広い。今回は何を・・・・ふ~ん、なるほどな。


「サピロ、読んでみろ」

「拝見します・・・・これは」

「あの二人の事が書かれてる。どうやら王家はブレスト殿を警戒していたようだな」

「そうみたいですね。ですが、容疑は晴れ善良な冒険者であることが証明されたようです」

「実力も折り紙付きみたいだな。しかも、あの嬢ちゃんが手玉に取られたらしいぜ」


 ブレスト殿のみならずクロガネ殿の事も調べたようだが情報は少ないようだな。だが、王家の調査であれば信用が出来るしこれであの二人は問題ないってことが分かったな。クロガネ殿はテセウと歳が近いし初めての実戦形式での戦いで良い刺激と経験になってくれると良いのだがな。





・・・・・良い経験になればとは思ったが、無茶をしろとは言って無いんだが!?ダンジョンを見つけて、しかもその中に入ってダンジョンのスタンピードを収めただと!?一体何があったらそんな事になるんだよ!!

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