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ダンジョンへ

「よし、それじゃあ今日からダンジョン最下層に向けて出発だ!忘れ物は無いか?」

「大丈夫!」

「じゃあ、行くぞ」


 初のダンジョンを経験してから一週間程ダンジョンに入ったり、中で必要な食糧を集めたりして準備を終えた俺達は今日からダンジョンの最下層に向けて出発だ!


「取りあえず、上層には用が無いから気配を消しながら遭遇する敵は出来るだけ無視していくぞ」

「了解!」


 俺達は前に来た時と同じように屋根の上を身体強化をしながら走り、通路に居るドール系は無視し弓を撃ってくる相手には最低限矢を弾きながら先に進んで行く。ここの階層に現れる奴らは、鈍いから走った俺達に追いつくことは出来ないし射程もそこまでだから簡単に振り切れるのだ。


「こいつらある程度離れたらヘイトが外れるから楽なんだよな~一応言っておくが他のダンジョンでこんな事したら駄目だからな?」

「分かってるって」


 魔物達を大量に引き連れながら戦う行為は、トレインと呼ばれ他の冒険者やもし処理できなかった場合の危険性を考え基本的にやっていはいけないことになっているのだ。基本的にってことは、大量の魔物を処理でき他の冒険者に迷惑を掛けなければやっても良いのだが、ブレストはともかく俺には一度に大量の相手を倒す手段が無いからそんな危険なことはやらないぜ。


「・・・・っ」

「よっと」

「・・・・」

「ナイショッ」


 次の階層に行くために時々飛んでくる矢を避けながら進んでいるんだが、どうしてブレストは敵の攻撃を一切見ることなく矢を躱せるんだ?俺だって攻撃が来る気配は分かるけど、流石に目で確認しないと避けるのは無理だ。それに、食糧が入った大きな鞄を背負っているのに全く速さが落ちて無いし・・・・一体どうなってるんだ?


「ん?どうしたんだそんな変な顔して」

「いや、ブレストは変な奴だな~って」

「何もして無いだろ!?」

「いや、何も見ずに矢を躱してる時点で変だろ」

「上位の冒険者ならこれぐらい普通だぞ」

「・・・・どうやってるんだ?」

「単純に物質によって動く風の流れや、物に宿る殺気や魔力それに気配を読み取ってるだけだ。他にも補助として魔力を周囲に展開して読み取ったりしてるな」

「へ~・・・・」

「クロガネはもう敵の気配を読めるようになってるから、このまま鍛錬を積めばすぐ出来るようになるさ」

「え~・・・・」


 簡単そうに言うブレスト。生き物なら簡単に気配は読めるけど、生き物じゃ無いのは難しいだろ・・・・その後もブレストに言われたように矢の気配を読もうと意識を集中してみたりしたが、すぐに読める訳が無く敵の気配がより分かるようになっただけだった。これも経験の差なのかな~


「おっと、そろそろ扉に着くな」

「結構早く来れたな」

「まだまだ先は長いぞ~」


 ダンジョンの次の階層に行くための扉は大きくとても不思議な扉で、ブレスト曰くくぐった瞬間に次の階層に転移させているらしい。転移魔法を使える人は少なく、とても難しい魔法なのにダンジョンではよく見かけるらしい。


「何度やっても、景色が一瞬で変わるのって慣れないな」

「だな~ダンジョンの神秘って感じだよな」


 第二階層は第一階層と同じような街が広がっている。しかも、ここに出てくる敵は同じだから変わり映えは無いんだが視界がいきなり変わると流石に驚いてしまう。第十階層までは、ドール系統の種類が多くなって強くなるぐらいだからさっさと抜けないないとな。


「さて、急ぐぞ」

「はーい」


 同じように屋根の上を二人で走り、同じことをすると腹の減り具合からして昼ぐらいで第三階層に来ることが出来たな~ゆっくり飯を食べることは出来ないので、走りながら携帯食料を食べながら進むしかないよな。だけどこの肉、腐ってる奴よりましだけど馬鹿みたいに固いんだよな~


「固い・・・・」

「固いよな~飯は生きる上で大事なのにこんなもん食い続けるのは苦痛だぜ」

「食えるだけマシだけどな」


 馬鹿みたいに固いジャーキーを咥えながら、襲い掛かる矢を掻い潜り進んで行く。この階層でもまだまだ冒険者は居るようで偶に戦闘の音が聞こえてくる。ここら辺の相手ってドール系だらけだしあんまり金にならないのによくやるな~あ、前からドールソルジャーが二体来るな。


「右の一体はやるから左はよろしく」

「おう」


 俺達は一切スピードを緩める事無く、屋根に上がってきたドールソルジャーへ突っ込み振りかざされる剣をすれ違いなら避け四肢を切り裂き、動けなくなった所を後ろから胸を一刺しで倒す。そして、ドロップ品の魔石だけを回収してまた走り出した。


「やっぱりその戦い方がクロガネに合ってるな」

「うん、これが一番戦いやすい」


 強みを活かした方が良いということで、俺の戦い方は速さと機動力を活かし急所を狙う事を重視している。俺はブレストみたいに体が大きかったり鍛えている訳じゃないから、剣を振るうには力が足りないから武器はナイフが好きだし使いやすい。本当は剣を使って戦うのに少し憧れはしたけど、俺には合わないから仕方ない。


「大きくなったり自分の好きな武器を見つければ戦い方は変わっていくもんだ。自分が何が出来て何が得意で逆に何が出来ないのかをしっかりと考え自分の戦い方を極めれば最強だぞ」

「ブレストはもう戦い方が決まってるの?」

「おう、後は極めるだけだ。まだ見せたこと無いが、俺の本気は少し面白いし強いぞ~」


 笑って言ってるが、恐らくだけど少しどころか本当に強いんだろうな~ブレストとは毎日のように手合わせをしているけど一度もまともに攻撃を当てられたことが無いし、いつも余裕そうに笑ってる。ブレストの本気はあの反則の魔法剣を使うんだろうけど、あんまり想像できないな。


「面白いってなんだよ・・・・」

「見てて面白いって前に言われたんだよ」

「へ~」


 面白い戦い方ってなんだ?その後も襲い掛かってくる魔物を倒しながら第四層第五層と順調に進んで行くと突然辺りが真っ暗になり、ダンジョンの中だというのに天井には夜空が浮かんでいる。


「うおっびっくりした」

「もう夜か」

「ダンジョンの中なのに、空が変わるのか・・・・」

「自国で地形や風景が変わるダンジョンは結構あるぞ~ここのダンジョンは十の時に切り替わるんだ。この先にセーフエリアがあるから、今日はここまでにしよう。急ぐぞ」

「了解!」


 空が夜に切り替わったことによって、星空によってほんのりと明るさがあるが街は闇に包まれ通りにある火の消えないランプだけが頼りになる明かりだ。普通はこんな暗闇の中で戦うのは危険かつ無謀だが、俺達は辺りが暗闇に包まれても一切気にせず突き進んでいく。屋根には勿論明かりが無く普通なら足場を確認するのも大変だが、俺達は夜目が利くので暗くなった所で何の関係も無い。


「暗くなったのにドールは見えているんだな」

「ドール系統は魔法によって気配を察知しているからな~明るさなんて関係無いのさ」

「これ、普通だったらどうやって攻略するんだ?」

「カンテラか松明、火や光の魔法が使えるのであればそれを使って明かりを確保し比較的周囲を警戒できる大通りを進んで行くんだよ」

「それって狙いたい放題じゃないのか?」


 灯りがあるとは言え、見えずらい道を目印となる明かりを灯しながら歩くなんてどうぞ此処に居るから狙ってくださいって言ってるようなものだと思う。俺なら暗闇に乗じて、視界外から風の矢で攻撃したりとやりたい放題出来るぞ。


「暗く複雑な道を通って奇襲や不意打ちを掛けられるよりは、見える場所の方がマシなんだよ。明るければ攻撃にも対処できるからな」

「そういうものなのか~」

「それにパーティーで動くときは互いに守り合った方が良いからな」


 依頼を受ける時は一人だしブレストは変だから強引なやり方で突破するので、あんまりパーティーで守り合うっていうのが想像できない。一人で動いた方が色々と楽だと思うんだけどな~


「まぁパーティーなりの戦い方っていうのがあるんだよ」

「へ~じゃあ今はブレストと一緒だから俺達の戦い方は?」

「速攻即殺!」

「ぶはっそれが一番楽だよな」


 予想通りの答えが返ってきて笑ってしまったが、危ない危ない。ここはダンジョンの中なんだから気を引き締めないと!襲い掛かる矢やドールを退けながら進んで行きセーフゾーンに入ると、そこそこの冒険者達がパーティーで固まりながら休息をとっていた。


「この階層だとまだまだ人が居るな。あそこが空いてるからそこで休もう」


 俺達はセーフゾーンの端に行き壁にもたれかかる様に座る。


「それじゃあ、まずは俺が夜番するから後で交代な」

「分かった」

「この砂時計が落ち切ったら交代だ」


 このセーフゾーンには魔物は入ってこないけど、他の冒険者が襲ってきたり物を盗まれることもあるから安全な場所でも夜番は必要なのだ。俺でも寝ている間を狙うし、こっちは二人しか居ないのだから狙われる可能性は高いと思う。俺はブレストの言葉に甘え先に寝かせてもらい。その後俺も夜番をした。

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