表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/191

勝負あり

 俺は魔力を感じ取られないよう慎重にナイフに魔力を集め刃に圧縮させていく。成長したのはテセウだけじゃ無いってことを、見てる奴らとテセウに教えてやらないとな!見失い最大限に警戒しているテセウに向かって、距離を詰め腹に向かってナイフを振りかぶる。


「ぐっう!」


 流石に至近距離まで近づいたらテセウも気が付くが、この距離まで近づいちまったらテセウが俺を対処するよりも俺の方が速い。間に合わないと腹を括ったテセウは、攻撃を受け止めた隙に俺にバトルアックスで攻撃するつもりだったみたいだが、スキルでも受け止め切れない威力に呻く。その隙に顔面へと蹴りを入れるが、これは効いてないな。俺はすぐに距離を取りまた気配を消した。


「今のは驚いたな・・・・クロガネにあそこまでの威力がある攻撃があるとは」


 この攻撃は教えて貰ってからずっと練習してやっと出来るようになったのだ。まだまだ魔力の制御と圧縮が甘くて、ブレストやシュナイザー様並みの威力は出ないし一瞬しか保つことが出来ないんだけどな。だから、一撃は入れられるけど追撃が出来ない。そこは体術やクロスボウで補おうと思ったけどあの硬さを貫通するには、ナイフによる攻撃じゃ無いと無理なんだよな。だから、切っては引いての繰り返しだな。


次は足!


 俺の気配と姿を掴むことが出来ず翻弄されるテセウに対して、次々と色々な部位を狙って攻撃を仕掛けていく。防御を固めようにも、どこから来るか分からないテセウは確実にダメージが溜まっていく。だが、このままやられっぱなしになるような奴じゃない。攻撃を受けながらも虎視眈々と俺の隙を狙っている。その証拠に魔力を武器に籠め、目を瞑り俺が来るのを待っている。そんなバレバレの誘いに乗るほど馬鹿じゃ無いけど、近づかなきゃダメージを入れられない。だから、俺は絶対に近付くしかないのだ。


 何か来るって分かってるなら対処は可能だ。意識を集中させて攻撃される瞬間をバトルアックスに籠めた魔法を使って俺を攻撃しようって魂胆だろう。それなら、フェイントを入れて、攻撃を避けちまえば怖くない。


 雷の魔法を纏い速さを強化すると、テセウの懐へと飛び込んだ。大きく振りかぶり攻撃の意思を見せながら正面から行けば攻撃をせずにいられないだろ。予想通り俺を感じ取ったテセウは、カッと目を見開くと大きく息を吸い、バトルアックスを俺目掛けて勢い良く振り下ろしてきたのでそれを軽く避け、懐に入って脇腹に一太刀当てる。だが、感触が可笑しい。さっきまでと違って全く手ごたえが無い。


「せいや!」


 俺を狙っていると思っていたバトルアックスは軌道を変える事無く、そのまま地面に向かっている。あ~これは俺が馬鹿だったな。俺はこの後来るだろう衝撃に耐えるために風の防壁を身体を包み込むように展開する。そして、バトルアックスが地面に接した瞬間爆音と共に大地が割れ大量の岩と土による衝撃が広範囲に広がり魔法によって土や岩達は鋭い形へと変わり俺に襲い掛かる。


本当に馬鹿力になったな!!


 今まで力強いとは思ってはいたけれど、スキルが成長した所為でその力強さは急成長を見せている。そして、ここまでの大規模かつ高威力の破壊を実現させているのもスキルによる効果だ。どの攻撃も馬鹿みたいな高威力になっちまってるから、どの攻撃もまともに受けたら終わりだ。


「そこか!」


そして、身動きが取れず風の防壁によって位置をばらしてしまった俺にテセウは詰め寄り力強く踏み込むと俺を風の防壁ごと切り裂いた。


「感触が無い・・・・ということは!」

「ガラ空きだぜ」


 背後から現れた俺は顔面に圧縮した魔力を纏った蹴りを入れ吹き飛ばす。ふ~幻影を風の防壁の中に入れておいて良かったぜ。動けなくなった俺を絶対に追撃してくると思ったので、石礫を全部防いだ後こっそり風の防壁から抜けてデコイを置いておいたのだ。それにまんまと引っ掛かったテセウは不意打ちを許してしまったがまだピンピンしてるな。


 タフになったな~やっぱりあのスキルは厄介だな


 かなりスキルを使ってるのに体力が切れる様子は無いし、あのスキルの所為でまともにダメージも入れられてない。その硬さと破壊力を見るとダンジョンのインセクトウォリアーを彷彿とされるな。鍛え上がると俺との相性が悪いのは分かってたけど、このままだと時間掛かりそうだな。


あれを使うか


 このままだと埒が明かないので、俺はマジックバックから改良した棒手裏剣を取り出す。そして魔力を籠めテセウへと投げつける。素早いがそこまでの威力じゃ無い物なので受け止めても問題無い筈だが、テセウは俺の教えの通り初見の攻撃を避けたが


「濡れようぜ」

「っ水・・・・?魔力はあるようだが・・・・」


 俺の意思で自由に発動出来る棒手裏剣はテセウの傍を通り抜ける際に爆発すると。大量の水を地面とテセウに振りまく。爆発したことに驚いていたが魔力が混ざったただの水だと言うことに不思議そうなテセウ。


「まだまだ行くぜ」


 俺は次々と様々な棒手裏剣を闇魔法で隠し投げつけ地面に差し水の棒手裏剣だけを発動させる。その様子に警戒をしているが、無害だと判断したテセウは俺に距離を詰めてくるが俺は逃げながら水棒手裏剣をまき散らすことに専念する。そうしている内に、地面は大きな湖の様になりテセウも全身に水を浴びてしまった。


よし、これで準備は完了だな。


 俺のクロスボウは撃ち出すものを強化することが出来る。そんな道具に俺の魔力で強化した棒手裏剣を装填したらどうなると思う?雷棒手裏剣を取り出し魔力を大量に籠めクロスボウに装填し、また魔力を籠めて地面に向かって放つ。地面に放った雷の矢は黒い稲妻を発生させ地面に散らばる水を伝い全身に水を浴びているテセウへと襲い掛かる。


「ぐぅううう!!!」

「結構効いてんな」

「くっ!」

「おっと、させないぜ」

「ぐあぁあ」


 地面全体に広がる強力な雷はテセウの防御を貫通しているみたいだ。俺の意図に気付いたテセウが地面から水を無くそうと魔法を発動しようとしたが、もう一度地面に向かって雷棒手裏剣を放ちそれを阻止する。もうこうなったらテセウに攻撃を当てる必要すらない。ただ地面に撃つだけで濡れているテセウは必ず感電してしまう。


「このっ!!!」


 テセウは魔法を諦め感電の原因である俺を排除しようと距離を詰めようとするが、数歩進んだ足元で爆発が起きテセウが吹き飛ぶ。


「なんだ!?」


 地面には闇魔法で隠した魔力を籠めた棒手裏剣が大量に刺さっている。そして触れた瞬間魔法が発動するようになっているから、ここはもう罠だらけだぜ。距離を詰めようとするたびに罠が発動し、俺に近付く事すら出来ない出来ないテセウ。魔法を発動しようとすれば雷で感電させられ飛ぼうとすれば、仕掛けた木の棒手裏剣が発動し蔦でテセウを絡めとり地面へ落とす。どうやっても、俺に近付くのは無理だ。


「はぁはぁ・・・・」


 そして、テセウのスキルは途轍もない防御力を誇るが代償が無い訳じゃない。スキルの防御力を越えた攻撃を受けると、体力を消費してしまうのだ。もうかなりの攻撃を受けているから体力が厳しいんじゃないか?その証拠に平気そうだったのに息が上がってるぞ。


さぁどうする?


 近づくことも魔法を使うことも出来ない現状にテセウは、大きく息を吸うと覚悟を決めたのかスキルを最大で使い大きくバトルアックスを振り上げた。それを阻止しようと雷棒手裏剣を地面に撃つが止まる様子が無い。


 なるほど、消耗を考えず今出来る最大の強化をした訳か。


 感電しながらもバトルアックスを地面に振り下ろし魔法を発動すると、地面は大きく隆起しテセウと俺を一直線に結ぶ両壁が現れ、地面が割れる程の踏み込みで距離を詰めてきた。


「これで、逃げ場も隠れ場も無い!!」


 地面を隆起させ壁を作り出すことによって強制的に正面での戦闘をさせるつもりか。壁が高くてすぐには上がれ無いし空に行った所でテセウが壁を操って潰されるのが落ちだな。それにもうテセウがすぐそこまで迫っている。俺はクロスボウに雷棒手裏剣を装填し、ナイフを構えお望み通り正面から向かい討つ・・・・訳無いよな。


「おらぁぁああっ消えた!?」


 渾身の一撃は俺が居た場所に当たり地面を陥没させたがそこにはもう俺は居ない。俺は本気の闇魔法で姿と気配を消し、空へと飛び上がりテセウの頭上を飛び越えるとガラ空きの背中へと周りおぶられるように背中へ張り付き首元にナイフを当て姿を現す。


「終わり・・・・うわっ」

「終わりじゃない!!!」

「ぐぅうう」


 終わりを宣言しようとすると、テセウは背中に張り付く俺を勢いよく自分の身体ごと壁へと叩きつける。全力の身体強化によって壁にとテセウの間に挟まれた俺は全身に痛みを感じ、思わず首から手を放してしまった。背中から俺が外れたテセウは振り返り壁へと押し付けられた俺をバトルアックスで止めを刺そうとしたので、流石の俺もムカついた。


「馬鹿力が!」


 俺はクロスボウをテセウの腹へと放つと、痛む体を動かし黒棒手裏剣を取り出し全力で魔力を注ぎ込む。そして、考える事は一つ。テセウを捕まえろ!!!


 投げつけた5つの棒手裏剣は腕のような物へと変化しテセウに襲い掛かる。勿論黙って見ているはずが無く攻撃するが


「んな!?通り抜けた!?」


 闇の腕達はまるで実態が無いかの様に攻撃をすり抜け、テセウの四肢と首を掴むと壁へと勢い良く叩きつけ拘束した。そして、俺は体を起こしナイフに魔力を全力で籠めテセウの正面に立ちナイフを向ける


「終わりだ」

「っ!」


 何とか抜け出そうともがくがテセウの怪力をもってして腕達はビクともしない。勝利宣言をしたけど、どうすれば良いかなと考えているとシュナイザー様が壁の上から降りてきた。


「そこまで!!!」


 審判の宣言を聞いた俺達は体から力抜きこれで模擬戦は終わった。 

読んで頂きありがとうございます!

コメント・感想・評価・ブックマークお願いします。

基本毎日投稿しており、時間は決まってません。

twitterで更新状況を発信しているので、宜しければフォローお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ