♯58 四柱目の造物主と、二人の<魔女>を引き合わせた
第58話。この章のエピローグ(の前編的な位置づけの話)となります。
キロウスとの死闘から一夜が明けた。
シャロンから聞いた話によると、アリシア、シャロン、クロエ以外の『トゥオネラ・ヨーツェン』待機組は全員キロウスが持っていた不思議な鈴のチカラで眠らされてしまったとのことだったが、彼らは全員、日の出とともに無事目を覚ました。
まずは大事無くて何より……なんだけども、鈴と聞いて、ある可能性、不穏な想像がボクの頭をよぎったのも事実だ。……ボクの考えすぎだといいんだけど。
――で。目を覚ました彼らは、『枝』の坂に連なる蒼い鳥居のひとつが倒壊していることに気付いてひどく驚いたらしい。そりゃあそうだよね、という話である。自分たちが寝る前まではなんともなかったワケだし。
まあ、もっとも、アリシアたちが「寝惚けた船長が隕石を落っことして壊しちゃった」と説明したら、みんなアッサリ信じてくれたらしいけれど。…………信じるか普通? どうやらボクはみんなに、かなりのウッカリさんだと思われているようだ。ショック。
お察しのとおり、キロウスの襲撃の件はみんなには伏せておくことになった。これはマリナの提案である。
彼女曰く、
「せっかく皆さんがこれから頑張ってここを開拓しようとしているのに、襲撃があったと知ったら、士気が挫かれてしまいます。外界とここを行き来するときだけ気を付ければ、今回のようなことが再び起こることはないでしょうから。ちょっぴり心苦しくはありますが、余計な心配をさせないためにも皆さんには秘密にしておきましょう☆」
とのことだ。
「そうだね。特にルーナにだけは絶対バレないようにしてね、だんなさま。アリシア、シャロン、クロエ、イリヤ、あなたたちも注意するんだよ? でないと辻褄が合わなく……じゃなくて、だんなさまが右腕を捥がれちゃったことも芋づる式にバレて、ルーナがショックを受けちゃうことになりかねないから。――事なきを得たとはいえ、大好きなヒトが右腕を捥がれたなんて事実、十歳の女の子にはショッキング極まりないだろうからね」
カグヤからはそう忠告されたりもした。
まあ、ボクとしても異存は無い。みんなにとってここはようやく見つけた安住の地、楽園なのだ。なのに辿り着いた初日に襲撃を受けたことを知ったら、みんなを絶望の淵に突き落としてしまいかねない。結果的にみんなを騙すことになるワケで、心苦しくないと言ったら嘘になるけれど……。みんなのために、この秘密は墓まで持っていくことにしよう。
とか思ってたら、リオンさんにはアッサリとバレた。
「旦那様? 私に何か隠し事をしてないかしらっ? 今日のシャロン、なんか様子がおかしいのだけれど!」
……うん、まあ、このことでシャロンを責めるのは酷というものだろう。
母は偉大なり――そういう話なのだろう、これは。たぶん。
「ふぅん……なるほど。私が寝ている間にそんなことがあったのね。ありがとう、旦那様。シャロンたちを護ってくれて。…………あなたが傷付いている間も呑気に寝こけていた私を赦してね」
すべてを知ったリオンさんは唇を噛みつつそう言った。
彼女は何も悪くないのだから、謝る必要なんてどこにも無いのに。
「あ、そうだわっ☆ 頑張った旦那様にご褒美をあげなくちゃ! ……って、なんで逃げるの旦那様!?」
『月棲獣』を斃したあと彼女と交わした会話――ご褒美にチュウを云々って話――を思い出し、ボクはダッシュで逃げたのだった。
いや、まあ、流石にあれはリオンさんも冗談で言ったんだとは思うけれど。念のため、ね。
ちなみにもう一人、ボクがすべてを明かした人物がいる。
ツバキだ。
彼女にだけは、カグヤたちと相談した上でこちらから話しておくことにした。
みんなの実質的なリーダーである彼女には知っておいてもらったほうがいいと思ったからだ。
「な、なんじゃ旦那様、大事な話というのは。しかもこんな人目につかないところで。……ハッ! ま、まさか……!? ちょ、ちょっと待つのじゃ! 深呼吸をするから! 心の準備をするから!」
ボクがこっそり呼び出したツバキは(何故か)当初ひどく落ち着かない様子だったけれど、ボクがキロウスと再戦し斃したことを伝えると、飛び上がらんばかりに驚いた。
「な、なんじゃと!? 妾の知らぬところでそんな大変なことが!? ちゅーか、よくもまああんな化け物に勝てたの旦那様」
ツバキは腕組みをして「う~む」と唸ると、額に脂汗を浮かべボクをチラリと見、
「これは……、思った以上にヤバい男に惚れてしまったのかもしれんの」
と、ボクを慕うカグヤのことを案じる様子を見せた。
いや、ボクから言わせればカグヤのほうがヤバい存在だからね?
ツバキが知らないだけで、彼女もれっきとした造物主サマなんだから。
……言えないけれど。
そう。カグヤとマリナの正体については誰にも――あの死闘を目撃した少女たちにも話していない。カグヤとマリナが一時ボクの身に宿っていたことも含めてだ。たぶんこの先もボクの口から語ることは無いだろう。何故なら、それが当人たちの望みだから。
「造物主サマだって知られると、いろいろとやりにくくなっちゃうだろうからね」
とはカグヤの談だ。
その遣る瀬無さそうな笑顔を前に、ボクは掛ける言葉が見つからなかった。
どう返したらいいのか、わからなかった。
造物主サマには造物主サマの懊悩があり――孤独がある。
そしてそれはたぶん、ヒトの身では理解することはおろか想像することすら困難な、そんな絶望に違いない。
……ヒトにとっては永遠にも等しい時間を生きなければならない者たちの孤独。
永遠の存在者ゆえの絶望。
そんな中、彼女たちが永きにわたって繰り広げてきた、ひとつの戦い。
その一端に、ボクは今、触れようとしている――
☽
「来たかイサリ」
今日からいよいよ本格的にスタートする開拓をみんなに任せ、カグヤとマリナ、そしてシャロンとクロエを伴い再び訪れた果樹園では、キロウスを斃すと同時に姿を消してしまった<種を播くもの>クーリエが先に来て待っていた。
「お待たせ、クーリエ」
「ん。……悪かったな、イサリ。あのあとすぐにいなくなっちまって。大丈夫だったか?」
「ああー……うん、まあ」
本音を言うと、クーリエの姿を目撃したアリシア・シャロン・クロエ・イリヤの四人からは「あの赤毛の女の子は誰!?」と詰め寄られて結構大変だった。
他に答えようもなく、正直に「ここの管理者である神様だよ」と答えざるをえなかったのだけれど……。<種を摘み取るもの>スーザンと面識があるアリシアとシャロンはともかく、クロエとイリヤは「神様!? あんな可愛らしい女の子が!?」って愕然としていたっけ……。
……まあ、でも、当人があの場に残っていたら残っていたで、ややこしいことになっただけな気がしなくもないし、あれで正解だったと思うことにしよう……。
「……で? そこの茶髪が潜伏していたキロウスの居場所を探り当てた奴か、イサリ」
「そう。このコはシャロンって名前でね。世間が言うところの<魔女>の一人なんだ。で、<魔女>ってのはみんな特別なチカラを持って生まれるらしいんだけど、彼女の場合は人並外れた気配察知能力がそれってワケ」
「はぁん。<魔女>、ね」
ボクの説明に、シャロンの全身をジロジロ眺め回していたクーリエは面白くなさそうに鼻を鳴らす。
「キミが姿を消す直前『潜伏していたキロウスの居場所を探り当てた奴がいるはずだ。あとでそいつをアタイのところに連れてこい』って言い残していったから、このとおり連れてきたけれど。シャロンがどうかしたのかい?」
「ちょっとな。――おい、シャロン」
「ひゃ、ひゃい!」
目の前に広がる『不思議な樹の実』シリーズがたわわに実った果樹園を、クロエと一緒に感嘆の面持ちで眺めていたシャロンは、クーリエに名を呼ばれてビクッとし振り返る。
「……ん? おいイサリ、このシャロンとかいう奴、なんで目を前髪で隠してるんだ? 外界じゃこういう髪型が流行なのか? これ、コイツ自身はちゃんと前が見えてるのか?」
「そこは気にしないであげて」
シャイな娘さんなんです……。
実を言うと、ボクも以前「前髪をもうちょい短くしたら、シャロンがすごい美人さんだってことにまだ気付いてないヒトたちにも気付いてもらえるんじゃない?」って前髪のカットを勧めてみたことがあるのだけれど、
「わ、わたし、前髪越しじゃないと、ヒトの目を見てお話しすることが出来ないので……」
と断られてしまったのだ。
シャロン的には、
「わたしが好きになったヒトが知っていてくれれば、それで充分です……」
ということらしい。
本人がそう言うのであれば、これ以上ボクが口出しすることでもないか……と、それ以降シャロンの前髪については触れないことにしたボクである。
「クー。この世にはね、シャロンみたいな髪型の女の子がツボだって男性も沢山いるんだよ」
「シャロンさんみたいな女性を、メカクレ女子と仰るそうですよ☆」
そう説明したのは、昨夜はずっとルーナやツバキと一緒にいたことになっているカグヤとマリナだった。
てか、造物主サマのくせにどこで仕入れてくるの、そーゆー知識……。
あと、カグヤはクーリエのこと『クー』って呼んでるんだね。まあ、スーザンのことも『スー』って呼んでたしな。
「ふぅん。ま、なんでもいいけどよ。――よし。シャロン、ちょっとこっち来い」
「は、はい」
クーリエに手招きされて、シャロンはオズオズと歩み寄る。
「……ふむ」
シャロンの額に自分の掌を当てて、瞑目し何かを精査していたクーリエは、やがて目を開けると、
「……よし、問題なさそうだな」
と言った。
「問題なさそうって何が?」
ボクの問いにクーリエは肩を竦め、
「アタイの見立てでは、こいつが感じているのは厳密には気配じゃねえ。おそらく魂魄の波動とでも言うべきモノだ」
「「魂魄の波動?」」
ボクとシャロンのオウム返しがハモった。
クーリエは「ああ」と頷き、
「キロウスのような邪悪な魂魄が放つ波動を感じちまうとな、悪い影響を受けかねないものなのさ。こっちの魂魄まで穢れちまうというか……汚染されちまうというか」
「「えっ」」
「まあ、そういう場合もあるって話さ。どうやらシャロンは大丈夫そうだ。――良かったな。魂魄が穢れちまったら人格が歪むし、輪廻転生も出来なくなるトコだったぞ」
あ、焦ったー……。
「シャロンじゃなかったらアウトだったかもな。――おい、シャロン。神様の加護に感謝しろよ」
「は、はあ」
神様の加護ねぇ。昔はちょくちょくお父さんと教会へお祈りに行っていたらしいシャロンなら、そういうのがあってもおかしくはなさそうだけど……。ここで言うところの神様って、クーリエたち月と地球の造物主とは別物なのかな?
てか、どこまで言葉どおりに受け取っていいんだろ、今のクーリエの発言……。
「んじゃあ次だ」
と言って、クーリエはクロエを手招きする。
そして恐る恐るといった感じで歩み寄るクロエの額に、シャロンのときと同様に自分の掌を当てて、瞑目し何かを精査したクーリエは小さく頷くと、
「ふむ。やっぱそうか」
と呟いた。
……いや、何が『やっぱそうか』なの?
「あの……クーリエ? キミが去り際に『あ。あの黒髪の眼鏡っ娘も一緒に連れてこいよ』って言ったから、シャロンと一緒にクロエも連れてきたワケだけれど。クロエに関しては何を確認したかったの?」
クロエにはシャロンのような気配察知能力……いや、魂魄の波動を感じるチカラ? は無いはずだから、確認したかったのは『クロエの魂魄が穢れてしまってないか』じゃないんだよね?
「ちょっとな。大したことじゃねーから安心しろ」
……なんで濁す? シャロンのときはアッサリ答えてくれたのに。
「――クロエとか言ったな。おまえも良い神様の加護を持ってるな」
「えっ」
クーリエの言葉に息を呑むクロエ。
……てか、え? クロエにも神様の加護が?
「おそらくおまえのチカラも、シャロンと同様、他の連中のそれとは一線を画したモノなんだろう。――大事に使えよ。ひょっとしたらそのチカラのせいでおまえは<魔女>なんて呼ばれる羽目になっちまったのかもしれねーけど――おまえにとってそのチカラは呪いに等しいモノかもしれねーけど。でもな、それはかつてこの世界を護ってくれたチカラの断片なんだ。本来なら、祝福と見做されるべきモノなんだよ。正しく使えば、おまえや、おまえの大切なヒトの役に立ってくれる。いくらでもな」
かつてこの世界を護ってくれたチカラの断片……?
それってどういう……?
「よし。シャロン、クロエ、おまえらへの用はそれだけだ。カグヤと一緒に、先にお仲間んトコへ戻ってろ。アタイはまだイサリと話がある。――頼むわ、カグヤ」
「うん」
シャロンとクロエはカグヤに連れられて一足先にみんなのところへ戻っていく。
クロエはボクに話したいことがあるのかチラチラこちらを何度も振り返っていたけれど……なんだろう?
キロウスとの死闘に決着がついてからこっち、ずっとドタバタしていて、クロエやイリヤとはろくに話が出来てないんだよな……。
「――さて。本題に入ろうか、イサリ」
三人の後ろ姿をマリナとともに見送ったボクは、クーリエに呼ばれて振り返った。
「イサリ。おまえがカグヤやスーからどこまで聞いているか知らねーが、おまえの魂魄はこの宇宙じゃ『特別』だ」
「……『オリジナルの地球』を出自とする魂魄だから?」
「そうだ。第0宇宙にかつて存在したと言われている最初の地球――『オリジナルの地球』。そこでおまえは、なんらかの事情によりワームホールに呑みこまれでもしたんだろう」
「ワームホール」
「ああ。そして白鳥座に架かる鵲の橋……事象の地平とディラックの海による断絶を越えて、この第52平行宇宙へと流れ着いたんだ。命を落とし、肉体を失い、それまでの自分を忘れ……魂魄だけの状態で。現在から何十億年も前にな」
「何十億年も前に……」
『オリジナルの地球』で生きていたころの自分はどんな人間だったんだろう……。
「いっぽう、アタイらオーバーロードは、どこからともなく生じ宇宙の闇黒を彷徨っていた無数の魂魄たちの『生きたい』『生きて輝きたい』という声なき叫びに応えるため、『オリジナルの地球』を参考に模造地球デイジーワールドの創造に着手していたワケだが……」
オーバーロード。どうやらそれが、ボクがこれまで『造物主サマ』と呼んできた存在たちの正式な呼び名らしい。
「……着手するや否や、この宇宙に流れ着いたボクの魂魄が、クーリエのチカラ――『宇宙播種』の影響で、出来上がったばかりの地球に引き寄せられてしまった?」
「そういうことだ」
頷くクーリエ。
黙ってボクとクーリエのやりとりを聞いていたマリナが、そこで「ちなみに」と口を挟んでくる。
「あの模造地球に舞い降りたイサリさんの魂魄を最初に見つけたのは、わたくしとカグヤちゃんなんですよ☆」
「そうだったな」とクーリエは再度頷き、「あとなイサリ、おまえの魂魄があの地球に舞い降りたのは、アタイらにとっては別に不測の事態だったワケじゃねーんだ」
え?
「どういうこと?」
「あわよくばこの宇宙にも『オリジナルの地球』を出自とする魂魄が流れ着いていて、アタイのチカラ、呼びかけに応え、あの模造地球に舞い降りてくれないかなという淡い期待がアタイらにはあったんだよ。当初からな」
「えっ」
「イサリさん。『オリジナルの地球』を出自とする魂魄が平行宇宙に流れ着くのは、あなたが初めてのケースというワケではないんです。第1平行宇宙や第3910平行宇宙などでも、かつてあったことなんですよ」
そうなんだ……。
「でも……だとしても、なんでそんな期待をする必要が?」
「決まってる。あのキロウスのような『混沌の眷属』を撃退するには、『オリジナルの地球』を出自とする魂魄の協力が必要不可欠だからだよ。不可能を可能とする者の協力が、な」
「不可能を可能に……?」
「そうだ。アタイらのチカラ――『神威』は、アタイらですら一柱につきひとつしか使えねえ。しかもそのチカラの強大さゆえに様々な制約を課せられている」
「神威……」
……あれ? ボクが使う格闘術は『神威体現闘法<漁火の拳>』という名なのだけれど……。これって偶然なのか?
「だがおまえは違う。その身にアタイらを宿すことで、複数のチカラを同時に揮うことが出来る。おまえがキロウスとの戦いの最中に『星核構築』と『地球系統』を同時発動し、右腕を全身防護服や籠手ごと再生させちまったようにな」
そういえばキロウスも、ボクの魂魄は反則だ、みたいなことを言ってたっけ。
――『くっそぉー! これだから「オリジナルの地球」を出自とする魂魄はイヤなんだ! 反則なんだよぉ! 複数のチカラを当たり前みたいに使いこなしやがってぇ! この宇宙の地球と月を創造った連中でも不可能な芸当なんだぞぉ、それは!』
つまりクーリエたちは、自分たちのチカラを自分たち以上に使いこなせる――それによって『混沌の眷属』を斃せるかもしれない存在が舞い降りるのを期待していたワケか。
「……ねえ、クーリエ。キロウスたち『混沌の眷属』ってのはいったい何者なの? 結局どういう存在なワケ? カグヤはこれまで数多の宇宙、異し地球で暗躍してきたこと以外何もわかっていない、みたいなことを言っていたけれど」
「カグヤが説明した以上のことはアタイにもわかんねー。……ただ、連中の目的は、なんらかの条件を満たした魂魄の収集じゃないかと言われてる」
「魂魄の収集……」
「連中のせいで、これまで多くの模造地球が犠牲になってきた。そしてそこを創造り、護るために立ち向かったオーバーロードたちが討ち取られてきたんだ。連中の撃退に成功したのは、さっき言った第1平行宇宙や第3910平行宇宙くらいのモンさ。おまえのような魂魄が、守人として連中に立ち向かってくれた――な」
「守人……」
――『――守人の因子を持つ者よ。「そのとき」が来た。護り、救うため、出航せよ』
そういえばあのとき、シロ(?)が……。
ということは……。
「……ねえ、もしかしてボクがこの蒼き月の海に来ることになったのは、守人として『混沌の眷属』と戦うことを期待されたから――キミたちに召喚されたからなの? だとしたら、なんでこの時代のボクじゃなく、過去のボクを召喚したの?」
ボクの問い掛けに。
「「………………」」
クーリエとマリナは無言で顔を見合わせ――そして気まずそうにこう答えた。
「すまん。事情があってな。そのへんのことはまだ話せねーんだ」
「その代わりと言ってはなんですが、イサリさんが今一番知りたいであろうことをお教えします」
「ボクが今一番知りたいこと?」
「はい」
オウム返しするボクに、マリナは小さく頷いてこう言った。
「あのコ――ルーナを、元いた時代、元いた場所へ帰してあげるための方法です」
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