♯38 頼れる仲間たちと、また新たな仲間を迎え入れた
第38話です。閑話を挟んで次話より3章突入となります。
嗚呼、これは夢だ――微睡みの中、その光景を俯瞰し、ボクは悟る。
夕陽に照らされて橙に染まった海岸を、白いワンピースを着て麦わら帽子を被った若い女性が歩いていた。
我は海の子 白波の
さわぐいそべの 松原に
煙たなびく とまやこそ
我がなつかしき 住家なれ
女性はお包みの中でウトウトしている生後数ヶ月の我が子を見つめ、子守唄代わりに『われは海の子』を歌っている。
生れて潮に 浴して
浪を子守の 歌と聞き
千里寄せくる 海の気を
吸いてわらべと なりにけり
我が子を見つめる女性の眼差しはとても優しく、慈愛に満ち溢れていた――産科医に『もしかしたら無事生まれてくることは難しいかもしれない』と言われた我が子が、奇蹟的に無事に生まれてきてくれたことを、心の底から喜んでいた。
浪にただよう 氷山も
来らば来れ 恐れんや
海まき上ぐる たつまきも
起らば起れ 驚かじ
……自分と我が子を待ち受ける未来がとても明るいことを、女性は微塵も疑っていない様子だった……。
『――生まれてきてくれて、ありがとう』
完全に寝入ってしまった我が子へ、女性が囁くように告げる。
優しく。
『大好きよ――イサリ』
……それはただそれだけの、……ひどく悲しい夢だった――
☽
「……母……さ……」
自分の呟きと、目尻から零れた涙の感触で目を覚ます。
どうやらボクはしばしの間、気を失っていたらしい。
「――目が覚めた?」
ボクの顔を覗き込み訊ねてきたのは、小学生にしか見えないママさん――リオンさんだった。
ショートカットにした焦げ茶色の髪……綺麗に切り揃えられた前髪の下のクリクリした大きな瞳が、ボクを優しく見下ろしている。
「ここは……?」
「あなたの帆船の甲板よ」
「『トゥオネラ・ヨーツェン』の……? そうか……『もう一人の仙女』とやらがボクをここへ転送してくれたのか……」
「その辺りの事情は、私にはよくわからないけれど。イサリくん、蒼い光球の中から突然現れたと思ったら、そのまま気を失ってしまったのよ? 憶えてない?」
「……ボク、どれくらいの間、気を失っていたんですか?」
「一時間くらいかしら」
一時間も……。
「『変身』は……流石に解除されているか」
寝転んだ状態で右腕を持ち上げ、ボクの身を包む衣装が留紺の全身防護服から作務衣に似た紺色の制服に戻っていることを確認し、そこでハッとする。
「みんなは!?」
「大丈夫。シャロンもカグヤちゃんもアリシアちゃんも、みんな無事よ。もちろんこの帆船でお留守番してくれていたルーナちゃんとツバキちゃんもね」
良かった……。
ボクは安堵の溜め息をつきながら上半身を起こそうとして、
「あっ――」
そこでようやく気付いた。
――ボク、リオンさんに膝枕されてる……!?
そ、そうか。さっきから後頭部に感じていた柔らかい感触は、リオンさんの太腿だったのか……!
子持ちの未亡人の膝枕! 背徳感がすごい! 見た目は小学生だけど!
ていうかこのママさん、ボクの顔を覗き込むために身を乗り出しているものだから、ボクの顔にちっぱ……胸が当たっちゃってるんですけど!?
「あ、あの。起き上がるんで、ちょっと離れてもらっていいですか?」
「ダ~メ☆」
「ダメなの!?」
なんで!?
「だってぇ。カグヤちゃん、ルーナちゃん、ツバキちゃん、アリシアちゃん、そしてシャロンと交代でイサリくんを膝枕していって、ようやく私の番が来たと思ったら、五分も経たないうちに目を覚ましちゃうんだもの。物足りないわ!」
「みんなでこぞってボクを膝枕してたの!?」
なんでみんなそんなに膝枕がしたいワケ!? リオンさんの影響でみんな揃って母性本能にでも目覚めちゃったとか!?
てかボク、よく今まで目を覚まさなかったな……。交代のたびに頭を持ち上げられたり下ろされたりしていただろうに……。
「えっとぉ……いくら見た目は小学生でも人様のお母さんに膝枕をされるのって、気恥ずかしいんですよ。お願いですから離れてください」
「むー。『見た目は小学生』は余計ですー」
唇を尖らせつつもリオンさんはボクが起き上がることを許してくれた。
海がだいぶ荒れているらしく、さっきから右に左にと傾きまくっている船尾甲板の上でよろけそうになりながらもなんとか上半身を起こし、周囲の状況を確認する。
「なんか……エライことになってるな」
『トゥオネラ・ヨーツェン』の甲板は現在、どこもかしこも上を下への大騒ぎだった。
「第1班! 予備の帆へ張り替えを急げ! 第2班は破れた帆を修繕! 第3班は船内に浸水しているところが無いか念のためもう一度確認じゃ! あと、保護した<魔女>とその家族に負傷者がいないかも確認しておけ!」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
中央甲板ではツバキの指示のもと男衆が総出で(ヒイコラ言いながら)破れた帆を回収したり畳んだり忙しく動き回っている。よく見ると展帆中の帆はすべて、大きな穴が空いたり千切れたりしていた。あれでは風を捕まえることが出来ない。それはつまり、帆船を動かすことが出来ないということだ。
「なんか、私たちが野営していたあの島に、大っきな隕石が落ちたっぽくてね。その際に発生した衝撃波で、帆が全部破れてしまったのよ」
あまりの惨状にボクが顔を顰めていると、リオンさんが説明してくれた。
「そりゃあもう、すっごい突風だったんだから! この船、ほとんど転覆寸前だったのよ!? 正直、船内にいても生きた心地がしなかったわ! 甲板にいた乗組員の皆さんは突風で吹き飛ばされそうになったり傾いた船から落ちそうになったり、相当大変だったみたいね」
「へ、へー……」
すみません、その隕石を落としたのボクです……。
「ホント、帆檣が折れなかったのが不思議なくらい。別の島が盾になってくれなかったら、この帆船は間違いなく衝撃波と高波で沈んでいたでしょうね」
リオンさんの視線を追って、ボクは後方、ここから15kmほど離れた海上を見遣る。そこでは不気味な稲光が何度も宵闇に走り、小さな島影を浮かび上がらせていた。その上空では、天高く舞い上がった大量の塵が黒雲と化しており、美しい星空を覆い隠している。
「あそこに見える島、あれって<遺跡>……リオンさんたちが野営していた島とは別の島ですよね?」
リオンさんたちが野営していた島……<遺跡>の近くにはもうひとつ別の無人島があって、ボクは『<魔女>殺し』の襲撃を警戒し、その無人島の陰に『トゥオネラ・ヨーツェン』を移動させるよう(アデリーナさんを介して)ツバキに指示した。
たぶんあそこに見える島はその無人島で、それが盾となってくれる針路で逃げたから、この帆船のダメージはまだこの程度で済んだんだろうけれど……。
ツバキの判断かな? 流石だ。
「私たちが野営していた島がどうなったかが気になるの? それなら『海上部分はすべて消し飛んじゃっただろう』っていうのがカグヤちゃんの見立てよ。ここからだとあの島が邪魔で見えないから、確かめる術は無いけどね」
つまり、もうもうと舞い上がっている大量の塵は島の残骸というワケか……。
「あの島の動植物には申し訳ないことをしたな……」
これが『衝突の冬』……。
かつて地球で、恐竜を始め、数多の種を滅ぼした造物主のチカラ……。
しかもあれでもまだ最大出力には程遠いのだ……。
「ヒトの身には過ぎたチカラだな……」
決めた。
このチカラは封印しよう。
使うには<種を摘み取るもの>スーザンの許可が都度必要という話だから、元より好き勝手に使えるワケじゃないけれど。そもそもの話として、これはヒトごときが使っていいチカラじゃない。
今回、人的被害が出なかったのは単に運が良かっただけだ。こんなチカラに頼っていたら、いつか必ず取り返しのつかないことになる。
……またボクのせいで大切なヒトが無念の中で死んでしまうなんてことになりかねない……。
「おまえたち! 風はだいぶ収まったが、波はまだ荒れとる! まだまだ気を抜くな! 帆檣に登る者は必ず命綱をつけるんじゃぞ!」
ツバキの声にハッと我に返る。
「ボクも帆の張り替えを手伝わないと……」
「ちょっ、いいからイサリくんは休んでなさい! シャロンから聞いたわよ! あなた、トンデモない化け物と戦ったんでしょう!? ほら、足取りだって覚束ないじゃない!」
「そういうワケにはいきません……この惨状はボクのせいですから」
「よくわかんないけど、シャロンたちを護るために必要なことだったんでしょう? あなたが責任を感じる必要は、」
「それでも、です。……自分がやってしまったことには責任を持たないと」
「あーもうっ、この意地っ張り! ……えーいっ!」
「え? うわぁ!?」
立ち上がろうとした瞬間リオンさんに腕を引っ張られたせいで、再び甲板の上に寝転がってしまう。
というか、リオンさんの太腿の上に逆戻りすることになってしまった。
「ちょっ、何するんですか!? 悪ふざけもいい加減に――」
してください、と言おうとして、ボクは思わず息を呑んだ。
ボクを見下ろすリオンさんの表情はとても優しく、慈愛に満ちていて、……夢で見た母さんの微笑みと重なって見えたから。
「……あのね、イサリくん。私、『深きものども』に殺されそうになったところをあなたに助けてもらったあのときに、決意したの」
「決意?」
いったい何を――
「あなたの『もう一人のお母さん』になろうって」
「………………」
「あなたと、あなたのお母さんの間で、とても辛いお別れがあったことは、アリシアちゃんから聞いたわ……。だから、あなたが無念の中で死なせてしまったという『お母さんの代わり』に、私がなろう……私があなたを見守っていこうって決めたんだ。それがどれだけ傲慢な考え、独りよがりな決意かは、自分でもわかってはいるんだけどね」
「……アリシアの奴」
「アリシアちゃんを怒らないであげてね? 本当はあなたが気を失っている間に、より詳しい話を聞こうとしたのだけれど……。でも、彼女は頑なに喋らなかったわ。『私からペラペラ話すようなことじゃない』ってね」
「…………母さんのことなんて、アリシアやリオンさんが思っているほどボクは気にしていな――」
「さっき、目覚める直前、魘されていたわよ? 『母さん、ごめんなさい』って」
「………………」
あの夢のせい……か。
「誤解しないで。別にイサリくんに『お母さん』って呼んでもらおうとか、実のお母さんみたいに思ってもらおうとか、そこまで思い上がったことは考えてないわ。ただ――ひとつだけ宣言させてほしい」
「……宣言?」
「実を言うと、ね。あなたが気を失っている間に、ルーナちゃんやツバキちゃんから、あなたのこれまでの行いや人柄を聞かせてもらったの。そして思ったのよ。イサリくん、あなたは自分に厳しすぎる。あなたはもっと自分のことを認めてあげるべきだわ。あなたはあなたが思っているよりも遥かに立派で凄い人間なんだから」
「……そんなことありません。ボクはそんな大層な人間じゃ、」
「言うと思った。だからこそ宣言するわ! ――これからは私とシャロンがあなたの傍にいる。そしてあなたが何かを頑張ったり、立派なことをしたり、称賛されるべきことをしたときは、私が沢山褒めてあげるわ! ……あなたや、あなたのお母さんの代わりにね」
「リオンさん……」
「ご褒美のチュウもしてあげる☆」
「いやチュウはマズいでしょ」
このヒト、見た目小学生だし。
しかもシャロンのお母さんで未亡人だし。
そもそも実の母子でもこの年齢になったらしないと思うぞ、チュウなんて。
「そ・れ・と! 逆に、あなたが何か悪いことを――例えば自分の幸せを蔑ろにするような真似をしちゃったときなんかは、私が『コラッ』って叱ります。……それもお母さんの役目だから」
「それは……」
「その場合はお仕置きのチュウです」
「お仕置きもチュウなの!?」
ご褒美とお仕置きが同じっておかしくない!?
「ていうかさ、」
ボクは懸念を口にする。
「リオンさんがボクに対してそういうお母さんみたいな振る舞いをするのって、実の娘からしてみれば面白くないんじゃないかなぁ……。なんていうか……自分のお母さんを奪られた、みたいな気分になっちゃうんじゃない?」
「でもイサリくんとシャロンが結婚したら、私はイサリくんの義理のお母さんになるのよ? 早いか遅いかの違いでしかなくない?」
「なんでボクとシャロンが結婚するのは確定事項みたいになってるの……」
「何よ! シャロンをお嫁さんにするのはイヤだっていうの!? 言っておくけれどあの子、あれで脱いだら結構スゴイのよ!? 十三歳とは思えないナイスバディなんだから! なんでこんなちんちくりんな母親からあんな巨乳な娘が生まれたのか、不思議なくらいなんだからね!」
「自分で言ってて悲しくならないんですか……。ボクが言いたいのは、シャロンの結婚相手をリオンさんが勝手に決めちゃうのはおかしくない? ってことですよ。シャロンの結婚相手はシャロンが自分で決めるべきでしょう。大体、シャロンが今後ボクを好きになる保証なんてどこにも無いんだし」
「………………。イサリくんってよくヒトから鈍感とか朴念仁とか女の敵とか言われない?」
「なんでわかったんですか!? エスパー!?」
「………………。イサリくんはホント……もう少し自分を客観視するべきだと思うの」
「?」
どゆこと?
「わかったわ! ならもういっそのこと私がイサリくんのお嫁さんになりましょう! そしてイサリくんとの間に子供を儲けるわ!」
どゆこと!?
「ボクの『もう一人のお母さん』を目指すんじゃなかったの!?」
「子供がいる場合、旦那さんが奥さんを『お母さん』と呼ぶのは珍しいことじゃないじゃないでしょう? ――そうよ! そうすればイサリくんも気兼ねなく私を『お母さん』って呼べるじゃない! なんで今までそれに思い至らなかったのかしら!」
「むしろなんでそんな結論に至ってしまったんですか」
「死んだ夫だって、再婚相手が私とシャロンの命の恩人であるイサリくんなら、きっと許してくれると思うの!」
「いや、三十二歳の妻がまだ十六歳の男と結婚することを真剣に検討していると知ったら、『ウチのカミさん何言い出してんだ!?』って唖然とすると思う……」
「そんなワケだからイサリくん! 私、これからはあなたのこと『旦那様』って呼ばせてもらうわね! いいでしょ!? あ、イサリくんも私のことは『リオン』って呼び捨てにしてくれていいから!」
「聞いてない……」
ご褒美のチュウ辺りまでは、いい話っぽかったのになぁ……。
なんでこうなっちゃったんだろ……。
「な、何を言い出してるの、お母さん!」
不意に耳朶を打った声に、慌てて上半身を起こして振り向くと、そこにはシャロンが立っていて、全身をワナワナと震わせていた。
その横には苦虫を噛み潰したような顔のアリシアの姿もある。
どうやら二人は船倉に保管されていた予備の帆を男衆のところまで協力して運んでくれていた最中だったらしい。
「いい年齢して周囲をヒかせるようなことを言うのはヤメて!」
どうやらボクとリオンさんの会話を途中から聞いていたらしく、怒りと羞恥で顔を真っ赤にして母親へと詰め寄るシャロン。
「あら、『いい年齢して』とは何よ。お母さんだってまだ三十二歳なんだから、新しい恋に生きたっていいでしょ!? お父さんが亡くなってもう何年も経つんだし」
「こ、恋って。イサリさんはまだ十六歳だよ!? お母さんの半分しか生きていない男の子なんだよ!? 自分の娘と三歳しか違わないんだよ!?」
「ヤレヤレ……これだから生娘は。――いい? 愛の前ではね、多少の年齢差なんて些細な問題なの! その証拠に旦那様だって、まだ十歳のルーナちゃんや十二歳のカグヤちゃんと愛を育んでいる真っ最中じゃない!」
自分の娘を生娘呼ばわりはどうなんだそして三十二歳と十六歳は『多少』なのかあとボクはまだ『旦那様』と呼んでいいなんて一言も言ってないんだけどというかボクがいつルーナやカグヤと愛を育んだというんだ紲ならともかく、ってスゴイな……見事にツッコミどころしか無いや……。
「ひ、百歩譲ってそうだとしても、娘の…………に唾をつけようとする普通!?」
「いいじゃない、目指せ母娘丼! ってことで」
「よくないよぉ!」
途中、シャロンの声が小さすぎて聞き取れなかった。なんて言ったんだろう?
「イサリ……。アンタってホント……どんだけ……」
アリシアがジトッ……とした眼差しを向けてくる……けど、ボクが何をしたっていうのさ?
「! だんなさま、目を覚ましたんだね!」
「ふぇぇぇぇぇぇんイサリさまぁぁぁぁぁぁよかったですぅぅぅぅぅぅ!」
そこにカグヤとルーナもやってきて、仲良くボクの胸へと飛び込んできた。
「げふっ」
いや、『飛び込んできた』というより、『ダイブしてきた』とか『タックルしてきた』と表現したほうが正確かもしれない……。
「痛たたたた……。ちょっ、二人とも? 実はボク、今、戦いのダメージで全身がメチャクチャ痛いんだ。悪いんだけど、いったん離れてくれる?」
「心配したんだよ……! いくら呼び掛けても目を開けてくれなかったから……」
「ひっく……えぐっ……ぐすっ。わたくしも心配しました……! イサリさまがこのまま死んじゃったらどうしようって……」
「う、うん。心配させちゃってゴメンね。もう大丈夫。だからいったん離れ、」
「よかった……本当によかったよ、だんなさま……」
「イサリさまぁ……イサリさまぁ……!」
「あ痛だだだだだだだっ! 待って待って! だからボク、全身を打撲してるんだってば! ボクの胸やお腹に頭をグリグリ擦りつけるのをヤメて!」
全く耳を貸してくれない幼女二人にボクが悪戦苦闘していると、
「こらーっ旦那様!」
とツバキからお叱りが飛んできた。
「無事目を覚ましたようで何よりじゃが、妾が働いているときに他の女子とイチャイチャするでない!」
中央甲板にいる彼女の目には、ボクが幼女二人とイチャイチャしているように映ったらしい。……実際は拷問を受けて身悶えていたようなものなのに……。
「と、とにかくっ! イサリさんに年甲斐もなく色目を使わないでお母さん!」
「『年甲斐もなく』とは何よぉ! 初潮を迎えたばかりの小娘に見下されるいわれは無いわ!」
「ねえイサリ、じゃなくて船長。幼女は幼女で問題だけどさ、未亡人に手を出すもどうかと思うわよ?」
「その……例のベロチュウのこと、忘れないでね? だんなさま」
「イサリさま。わたくし、安心したら眠くなってきました。もう寝ましょう? 今夜も一緒に寝てくださいね☆」
「じゃーかーらー! 妾や男衆が必死こいて頑張っとるときに何をイチャイチャしとるんじゃお主らは!」
…………………………。
大・混・乱☆
「もうヤダ……。誰か助けて……。ボクをこの場から連れ出して……」
なんかもーいろいろとどうでもよくなってしまって、ボクは再び寝転がり、後頭部に自称・『もう一人のお母さん』の太腿の感触を感じながら目を閉じる。
ボクたちの船路は、今後ますます賑やかになりそうだった。
2章 了
3章へつづく
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