【なろう限定公開】 閑話 ある<魔女>の休息日
閑話です。閑話が2話ぶん出来たので、こっちの話は『なろう』限定にしました。
※今回の語り部は前半は本編未登場ヒロインの一人・ダリア、後半はイサリです。
こんにちは。ダリアだよ。
ダリアね、まだ十一歳なんだけど、『幽霊船長』が率いる<魔女>たちの帆船――この『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員の一人なの。
……うん、そう。ダリアね、<魔女>なんだ。この帆船の乗組員である<魔女>の中じゃ最年少なんだよ。ルーナちゃんは<魔女>じゃなくて<漂流者>だからね。それに、サシャちゃんみたいにダリアよりも年下の子たちはみーんな『開拓班』としてあの島に残ってるから……。
ホントはダリアも「あの島でみんなとお留守番しててね」って言われたんだよ。だけどお兄ちゃん……あ、この帆船ではこう呼んじゃダメなんだった……えーと、せんちょおと一緒にいたかったから、「連れてって」ってお願いしたんだ。そしたら、正式にこの帆船の乗組員にしてもらえたの。
今では<魔女>としてのチカラ――『相手の嘘を見抜ける』能力で、『主計長補佐』として頑張ってるよ(ちなみに班で言えば、第1班のメンバー扱いだよ)。ほら、食材の仕入れのときとかに、「もうちょっとまかりませんか?」って訊いてみて、相手が「これ以上は無理!」って言っても、それが嘘だってわかれば、自信を持って食い下がれるからね。
……ダリアのこのチカラを「商売に使えるのでは?」と思いついたクロエお姉ちゃんって、結構あくどいよね。でもそのお陰でダリア、この帆船に乗れたんだよね。クロエお姉ちゃん好き。
今日は太陽の日。しかも凪ということもあって、完全に休息日となりました。夜のお茶会まではまだ時間があるし、今日は他のお姉ちゃんたちもやりたいことがあるのか誰もダリアに構ってくれないから、この際みんなに『トゥオネラ・ヨーツェン』の乗組員がお休みの日は何をして過ごしているのかを紹介したいと思います。
あ、でもキリが無いから、全員じゃなく一部のヒトだけね。
やっぱり、最初に紹介するのはせんちょおからかな。どこにいるんだろう……あ、いた。船首楼甲板でツバキお姉ちゃんに膝枕&耳かきをしてもらってるよ。
ツバキお姉ちゃんは普段は厳しいけれど、厳しいだけじゃなくて、優しいところもいっぱいあるんだ。ときどきダリアの耳かきもしてくれるよ。好き。
「どうじゃ旦那様、気持ちいいかの?」
「んー……。気持ちいい……けど、やっぱこれ恥ずかしいって。耳かきくらい自分で出来るよ? ていうか、昨日自分でしたばかりだよ?」
「ダメじゃ。旦那様は雑じゃからな。誰かが仕上げをしてやらねば」
「ならせめてみんなが見ていないところでしてくれない? 船長室とかさ」
「それじゃあ牽制にならんじゃろ」
「え? 牽制?」
「なんも言うとらん。幻聴じゃ」
「いや絶対幻聴じゃないって少なくとも何かは確実に言ったってなんで隠すの!?」
「旦那様ってば、耳かきのしすぎで耳がおかしくなったんじゃないかの」
「半ば強引に耳かきをしておいてそれを言う!?」
「あっ(ブスリ)」
「痛いっ! こ、鼓膜が! 鼓膜がーっ!」
「す、スマン旦那様。高波で船が揺れたもんじゃから」
「やっぱ甲板で耳かきをしようってのがそもそもの間違いなんだよ! もうヤメよう!?」
「大丈夫じゃ。もう終わったからの。……さて。それじゃあ次は妾がしてもらう番じゃな。頼むぞ、旦那様」
「あれ!? そんな約束だったっけ!? てか、この流れでよく耳かきをしてもらおうって気になれるね!?」
……仲良いなぁ、せんちょおとツバキお姉ちゃん。………………。ダリアも今夜せんちょおに耳かきしてもらお。
あと、ナズナお姉ちゃんとかアイリンお姉ちゃんとかが、「むー……」って顔でせんちょおとツバキお姉ちゃんを陰から見ているけれど、大丈夫かな? せんちょおよりも年上のお姉ちゃんたちはみんな面倒見が良くて、せんちょおのお世話をするのが特に大好きみたいだから、「自分がしてあげたかった」って思ってるのかも。
まあ、いいや。せんちょおもツバキお姉ちゃんもダリアに気付く様子は無いし、次に行っちゃおう。でもその前にちょっとトイレ。
さて。次は誰の休暇の過ごしかたを紹介しようかな。……って、あれ? 戻ってきたら、せんちょおとツバキお姉ちゃんの姿が無くなってる。耳かき終わったんだ。
…………せんちょお、どこに行ったのかな?
あ。誰かがせんちょおと一緒に帆船の一番前に飛び出している棒……船首斜檣に跨るように腰掛けて、釣りをしているね。
あれは……リズお姉ちゃんだ。リズお姉ちゃん、海に落ちないよう、せんちょおに支えてもらってるみたい。背後に腰掛けているせんちょおに、お腹へ腕を回してもらって、抱き締める感じで支えてもらってるよ。
リズお姉ちゃんは最近釣りにハマっていて、珍しい魚なんかが釣れるとダリアにも見せてくれるの。この前は『異常巻き』っていうすっごく変な貝殻を持つアンモナイトが釣れたって見せてくれたよ。好き。
「センチョー、落ちないようにしっかり支えててね! ほら、もっと強く! おもいっきりぎゅってして! 恋人を抱き締めるみたいに!」
「何もこんな危ないトコで釣りなんかしなくても。素直に甲板で釣ろうよ」
「ダメダメ! ちょっとでも船体から離れたほうが大きな魚が釣れるんだってば! ……あ、ほら、釣れた! うわ本当に大きい! メッチャ暴れてる! わわわわわ落ちるぅ!」
「ぎゃああああああ危ない! ちょっ、無理するなリズ! 竿を離して!」
「あ、ありがとセンチョー。でもダイジョーブダイジョ――あんっ」
「!? どうしたの!?」
「もぉ~、センチョーのえっちぃ☆ どさくさ紛れにおっ○い触らないでよぉ」
「キミが海に落ちそうになったから引っ張り上げてやったんでしょ!?」
「やんっ。耳に息を吹きかけないでぇ。センチョーのムッツリスケベ☆」
「理不尽っ!」
「…………げ。今、海面に人食いアノマロカリスの姿が見えた。こりゃふざけてる場合じゃないよセンチョー。今落ちたら本気でヤバい」
「ふざけてたのはキミだけだよね……?」
「うわぁぁぁぁぁぁ人食いアノマロカリスがこっちめがけて海面からジャンプしようとしてるぅ! 助けてセンチョー!」
「だぁぁぁぁぁぁ落ちるぅ! 縋りつくなぁ!」
……仲良いなぁ、せんちょおとリズお姉ちゃん。………………。ダリアもせんちょおにぎゅってしてほしい。今夜、耳かきのときにしてもらお。
あと、せんちょおとリズお姉ちゃんを、クロエお姉ちゃんとかシャオリンお姉ちゃんとかが陰から羨ましそうに見てるよ。せんちょおよりも年下な女の子たちはみーんな甘えん坊さんで、せんちょおに構ってもらうのが一番嬉しいんだもんね。……ダリアみたいにお父さんとお母さんがいない子も多いし。……仕方ないよね。
なんてことを考えてたら、どうにかこうにか大物を釣り上げることに成功したリズお姉ちゃんに、「釣った魚を食堂に運ぶのを手伝って!」ってお願いされちゃった。うわぁ、すっごく大きな鯛。今日の夕食はご馳走だね。……でも、せんちょお、甲板に突っ伏してぐったりしてるけれど、大丈夫かな?
さて。それじゃあ次に行こう。とりあえず甲板に戻ってきたけれど……誰か、面白いことをして過ごしているヒトはいないかな?
………………。どうせまたせんちょおは誰かと……。
あ。中央甲板で、イリヤお姉ちゃんが座禅を組んで瞑想してる。
イリヤお姉ちゃんはせんちょおと同い年の<魔女>――じゃなく、<漂流者>で、ルーナお姉ちゃん同様、お金持ちの家の出身なんだって。お嬢様の嗜みとしていろいろな護身術を習っていたらしくて、棒術に関してはツバキお姉ちゃんよりも得意なんだ。この帆船の女性陣の中じゃ、数少ない『深きものども』とまともに渡り合える実力の持ち主なんだよ。とっても格好良いの。好き。
座禅を組んで、目を閉じ、微動だにしないイリヤお姉ちゃん。すごい。お船、波でこんなに揺れてるのに。
……あ。向こうからせんちょおがやってきた! …………でも、ダリアが声を掛ける前に、せんちょおも座禅中のイリヤお姉ちゃんに気付いちゃったみたい。ニヤッって悪戯を思いついた子供みたいな笑みを浮かべたよ。そのままイリヤお姉ちゃんにこっそりと近付いてくね。何をするつもりなのかな?
「わっ!」
あ。せんちょおがイリヤお姉ちゃんの耳元で叫んだ。
「ひゃあんっ」
普段の上品かつ落ち着いた佇まいからは想像できないほど可愛らしい悲鳴を上げて飛び上がるイリヤお姉ちゃん。何事かと、慌てて周りをキョロキョロ見回してるよ。……あ、せんちょおに気付いた。すべてを察したみたい。顔を真っ赤にして怒っちゃった。
「もうっ! センチョウってば、何するノ!? 吃驚したじゃない!」
ちなみにイリヤお姉ちゃんは『こっち』に流れ着いてからまだ一年も経っていないらしくて、微妙に片言だよ。『バビロンの実』――自動翻訳能力獲得の実を食べる? ってカグヤお姉ちゃんに訊かれたことがあるらしいんだけれど、「せっかく努力してここまで言葉を憶えたのに、それを無駄にしたくないワ」って断っちゃったんだって。格好良いなぁ。
「あはは。ごめんごめん。つい悪戯心が湧いちゃってさ」
「……むー。いくらあなたでも赦せないんだカラ! 覚悟してもらいます!」
「えっ」
あ、イリヤお姉ちゃんがせんちょおに跳びかかった。そのまま甲板に押し倒して……えっ、チュウしたよ? ……わわわ、まだチュウしてる……。
「むー! むー!」
せんちょおがジタバタしてる。バンバンって甲板をタップして降参の意を示しているけれど……イリヤお姉ちゃん、全然チュウをヤメないよ……。しかもせんちょおの鼻を指で抓んで塞いでるし……あれ、せんちょおは全く息できないよね? 大丈夫かなぁ?
…………ダメだったみたい。せんちょお、そのまま動かなくなっちゃたよ。白目を剥いて気絶しちゃった……。
「ご馳走様でシタ。……あら? センチョウ? ……ひょっとしてやり過ぎちゃったカシラ?」
ようやく唇を離し、合掌しながらそう言って頭を下げたイリヤお姉ちゃんは、慌ててせんちょおを医務室に運んでいったよ。
……仲良いなぁ、せんちょおとイリヤお姉ちゃん。………………。ダリアも一回くらいせんちょおとチュウしてみたい。今夜、耳かきのあとぎゅってしてもらったときに、絶対チュウもしてもらお。
あと、陰で一部始終を見ていたアリシアお姉ちゃんとかメイリンお姉ちゃんとかが血涙を流してるよ。せんちょおと同い年の女の子たちは、せんちょおに甘えるのも、甘えられるのも、どっちも苦手で、他のコたちより後手に回ることが多いもんね。あんなのを見ちゃったら焦るよね。頑張ってね。
あ。アリシアお姉ちゃんたちの背後から『ゴゴゴ……』って音がしそうなくらい剣呑なオーラ? が立ち昇り始めたよ……。なんか怖い……。ダリアも船内に避難しよう……。
最後は誰の休日の過ごしかたを紹介しようかな。……そういえば、気絶したせんちょおは大丈夫かな。気になるけれど……そっとしておいてあげたほうがいいよね。
………………。
ま、いっか。とりあえずせんちょおのところに行ってみよう。……心配だからね。
……医務室にせんちょおを無事に送り届けたイリヤお姉ちゃんと、途中ですれ違ったよ。何故かダリアを見て、「あら」って口元を抑えて、「……ゴメンナサイ」って申し訳なさそうに謝ってきたけれど……なんでだろ?
バン! と勢いよく医務室の扉を開けて中に入ると、寝台の上に気絶したせんちょおが横たえられていて、そのせんちょおのお腹の上に誰かが跨っているね。
「あ。」
せんちょおのお腹の上で気まずそうな顔をしたのは、船医のリオンさん。パッと見、ダリアと同い年くらいの女の子だけれど、これでもシャロンお姉ちゃんのお母さんなんだよ。この見た目で三十二歳なんだって。信じられないよね。いろいろと。
ホント……信じられない。
「ち、違うのよダリアちゃん! これは旦那様の呼吸が正常か確かめていただけなの! 決して変なことをしようとしていたワケじゃないのよ!」
ダリア、まだ何も言ってないよ?
「――だからそんなに怖い顔しないでダリアちゃん! 怒らないで頂戴!」
………………。
ペタペタと自分の顔を触ってみる。
自分ではよくわからないけれど……ダリア、怒った顔をしていたの?
……なんで……?
「う、う~ん……」
あ、せんちょおが意識を取り戻した。
寝台の上で起き上がり(乗っていたリオンさんが床に転げ落ちて「ぶにゃっ!」って尻尾を踏まれた猫みたいな悲鳴を上げたよ)、周りをキョロキョロと見回すせんちょお。
そしてせんちょおは、ダリアに気付くと眉を顰めて、
「……おいで、ダリア」
って、両腕を広げ、ダリアの名前を呼んでくれた……。
それを見たダリアは……気付いたらせんちょおの腕の中に飛び込んでたよ……。
そして、自分でも理由はわかんないけど、わんわん泣いちゃってたんだ……。
☽
「泣き疲れて寝ちゃったわね、ダリアちゃん」
「……そうですね」
ボクの腕の中でスースー寝息を立てている天使のような寝顔の女の子を見下ろし嘆息するリオンさんの言葉に、小さく頷く。
「でもダリアちゃん、何をあんなに怒ってたのかしら?」
「……ボクが悪いんです、たぶん」
「え?」
「これは想像ですけど、このコ、誰かに構ってほしくて――だけどそれをどう言語化すればいいのかわからなくて、ボクの周りをずっとウロチョロしてたんじゃないかな……。でも全然気付いてもらえなくて……他のコばかり構っているボクを見て、ますます淋しくなっちゃって……いろいろな気持ちが怒りという形で爆発しちゃったんだと思います……。このコ自身に自覚は無いかもしれないけれど……」
このコはその境遇ゆえに、自分のキモチを素直に口にすることが、これまで許されなかったから……。
最近はアリシアがこのコの『お姉ちゃん』になろうと頑張ってくれているけれど、まだまだぎこちないところがあるし……。
「ふぅん……。よくわかるわね。流石は『お兄ちゃん』」
「……ボクに構ってもらえず拗ねちゃったときの従妹と、同じ顔をしていたので」
「ほぉん。モテる男は辛いわねぇ」
「まあ、モテるとは言っても、このコのボクに対する好意は異性への恋愛感情じゃなくて、あくまで『仲良しなお兄ちゃん』へのそれですけどね」
「……肝心なトコだけわかってないのよね(ボソッ)」
「え?」
「なんでもなーい。……で、旦那様はなんでそんなに落ち込んでるの?」
「失敗したなぁ、って。ボク、このコにも『ボクたちの帆船に乗っている限り、決して淋しい思いはさせない』『これからのキミの人生に、楽しいことや嬉しいことをいっぱい用意してあげる』って約束したのに……。泣かせちゃった」
「……仕方ないんじゃない? 旦那様は神様じゃないんだから。この帆船の乗組員全員の心理状態を常に正しく把握しておくなんて、土台無理な話だもの。――責任感が強いのは結構。でもね、思い上がっちゃダメよ。あなたは『幽霊船長』である以前に人間なの。無理したら、今度はあなたが潰れちゃうわよ?」
「……あのリオンさんがすごく大人な発言をしている……」
「どういう意味よぉ! これでもれっきとした大人ですぅ! 経産婦よ経産婦!」
経産婦言うな。生々しいんだよ。
……でも、
「そっか……そうですよね……。そのとおりだ。ボクは神様じゃない……」
「そうよ。……大体、旦那様のことだから、今日はヤポネシアでの一件で特に辛い思いをしたコたちのリフレッシュのために動き回ってたんじゃないの? イリヤちゃんとかリズちゃんとかツバキちゃんとか」
「……よくわかりましたね」
「ここに旦那様を運んできたイリヤちゃんから『センチョウにくだらない悪戯をされちゃった』って話を聞いた時点でピンと来たわ。イリヤちゃん、ヤポネシアでの一件で自分の無力さを痛感したみたいで、ここのところずっと沈んでいたけれど。でも旦那様を運んできたイリヤちゃんは、旦那様とイチャイチャすることで吹っ切れたのか、以前のイリヤちゃんに戻ってたわよ」
それは何より……なんだけど、そういやボク、なんで気絶なんかしたんだ?
ヤバい、意識を失ったせいか、気絶する直前の記憶が綺麗に抜け落ちてる……。
イリヤの耳元で大声を上げて彼女を吃驚させたところまでしか憶えてない……。
大方、怒ったイリヤに仕返しで首を絞められたとか、そんなトコだろうけれど。
というか、耳元で大声を出して吃驚させたり、仕返しされて気絶する羽目になったりしたことを『イチャイチャ』と表現されても困る。前半だけなら有りかもしれないけれど、後半はイチャイチャの範疇を超えてるだろ。
何をどうすればイチャイチャしながら相手を気絶させられるんだよ。
「それで? どうするの、旦那様? ダリアちゃん、目を覚ます気配が無いけれど。しばらく医務室で休ませる?」
「……いえ、船長室の寝台に運びます。このコが目を覚ましたとき、傍にいてあげたいので」
「傍にいてあげるだけなら医務室でも出来るじゃない。……ハッ!? まさかダリアちゃんを自室に連れ込んで、よからぬコトをするつもりじゃ……!?」
「これ以上医務室にいたらボクが身の危険を感じるからだよすぐにそーゆー発想をしちゃう誰かさんによからぬコトをされそうでボクが怖いからだよ」
いけない、ついタメ口でツッコんでしまった……。
このヒト、見た目が小学生だし、普段の言動がアレなので、つい年下の女の子と接しているような錯覚を覚えてしまうんだよな……。
「そう。まあ、それが賢明ね」
「賢明なんだ……」
このヒト、自分は危険だって認めちゃったよ。
まあ、いいや。とっととダリアを船長室に運ぼう。
「それにしてもさ、」
ダリアをお姫様抱っこし、そのまま医務室を出ようとしたボクを、リオンさんがニヤニヤ笑いながら揶揄ってくる。
「せっかくの休息日に、癇癪を起こした女の子のケアまでしなくちゃいけないなんて。モテる男はホント辛いわね」
「……そんなことないですよ」
振り返り、ボクは微笑って答えた。
腕の中で寝息を立てている天使のような寝顔の女の子を、ちょっとだけ持ち上げてみせながら。
「可愛い女の子と過ごす休日です。辛いことなんて何ひとつありませんよ」
『なんも船長』なんて毎日が休息日みたいなものだ。
みんなの休息日こそ、ボクが働かなくちゃね。
※評価、ブックマーク、感想等よろしくお願いします!




