バークの葛藤
オレは今までで最大の危機に直面している。
膝の上ではスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている猫のミー。
しかも、その寝姿が!
クルッと丸まった体。その顔は可愛らしく傾き、そこに小さな丸い手を添え、まるでゴメンネと言っているかのよう。しかも、三角の耳はペタリと伏せ、夢を見ているのかピンクの鼻がヒクヒクと動く。その上、柔らかな肉球がこちらを向いていて。
可愛らしくて、可愛らしくて、可愛らしくて。いつまでも見ていたい光景…………だが!
「……クッ!」
オレは思わず声をもらした。
机に置いている手をグッと握りしめ、ギリッと奥歯を噛みしめる。そのうちプルプルと足が小刻みに震えだした。
(ミーが起きるまで、我慢だ)
声に出さず自分へ言い聞かせながら、震えていた足を止める。
こんなに気持ちよさそうに寝ているのに、自分のせいで起こしたくない。限界はとっくに超えている。それでも、この安らかな安眠を妨害するぐらいなら、と我慢を続ける。
「仕方ねぇ」
オレは気持ちを切り替えるため、普段なら進んでしない書類仕事に向き合った。
ペンを持ち、内容を読んでサインを……
「ぐっ!」
下腹部に限界がくる。
ミーのためなら気が散らせるが、仕事が相手だと我慢ができない。それでも、なんとか堪える…………が!
「無理だ!」
オレは膝の上で眠るフワフワな体をガッシリと掴んだ。
「ふにゃ?」
寝ぼけたような声とともに水色の目がオレを見上げる。ポヤンとした顔がまた可愛らしく、見つめていたくなる………………が!
「悪い!」
オレは断腸の思いでミーを机の上に置くと、そのまま駆けだした。
バタン!
激しくトイレのドアを閉める。
「……はぁ」
危機一髪、どうにか間に合った。
明日も短編を投稿します!(๑•̀ㅁ•́ฅ✧




