表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】婚約者に浮気された令嬢は異国の強面盟主に溺愛される〜呪いで猫になりましたが、毎日モフられています〜【コミカライズ・電子書籍4巻配信中】  作者:
第一章〜呪い編〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/93

惚気と忍耐の日常〜バーク視点〜

 あれからいろいろあったが結論として、ミーはオレの屋敷で暮らしている。

 ミーの呪いは人族の魔法の専門家に視せたが、魔法と様々な念が複雑に絡んでお手上げ。ま、オンルが分析しきれなかった時点で、人族の手に負えないとは予想していたが。

 だから、ここでのオレの仕事が終わったら、一緒に竜族の城に帰り魔法の専門家に視てもらうことにした。


 それまでミーはこの屋敷に住み込みで、偽造書類がないかの確認と、代筆の仕事をしている。ここまでに通う途中で、雨が降ったり、水に濡れたりして猫にならないか、オレが心配しまくったら、そうなった。

 あと、いつ猫になるか分からない状況は、超がつく猫嫌いのミーの母親の気が休まらないらしい。こんなに可愛く癒やされるのに信じられん。


(ま、そのおかげでミーと一緒に暮らせているから良いか)


 オレは机の花瓶に飾られたかすみ草を眺めながら、思わず含み笑いをした。膝から可愛らしい欠伸の声がする。

 穏やかな時間を堪能していると、オンルが露骨に表情を崩した。


「ニヤニヤと笑って気持ち悪いですね。ちゃんと仕事をしてください」

「いや、ミーが一番好きな花がかすみ草だって、さっき知ってな。ミーらしいだろ?」

「おや? 以前、偽造息子が来た時、バークは毛玉の好きな花はかすみ草って断言していませんでした?」


 ミーの元婚約者とかいうヤツが来た時の話か。

 思い出して気分が悪くなったが、ふわふわな毛と小さな頭が手のひらに擦り寄る。触れれば、もっと撫でてとばかりにスリスリしてくる。


(もう、これだけで嫌なことすべてが吹っ飛ぶ)


 オレは頭やピクピクと動く耳の根元を撫でながら話した。


「あれは、前にミーがバラよりかすみ草を見ていたことがあって、かすみ草が好きなんだろうなぁ、と思って言っただけだ」

「憶測でしたか。本当、そういうところの勘は良いですよね」


 オンルが呆れたように書類に視線を落とす。オレは、空いている手で小さな白い花にツンと指で触れた。


「かすみ草。ミーにぴったりだよな。あの小さくってふんわりした雰囲気と同じで。ふわふわっとした白金の髪。かすみ草を集めたように見えないか? それに、あの水色の目。丸くて、かすみ草の花の形にそっくりだ。肌はきめ細やかで、いつまでも触りたいし、穏やかな声はいつまでも聞いていたい」

「はい、はい。惚気はそれぐらいにして、仕事をしてください」


 オンルの冷たい態度にオレは口を尖らせた。


「別にミーについて話してもいいだろ? もう、ミーが可愛くて、可愛くてさ。いくら話しても、話し足りないんだよ」


 オレの膝で微かに動く気配がする。これぐらいなら軽いし、気になるほどでもない。


「そういえば、ミーは仕事がない時、猫の姿でオレの膝にいるだろ? その理由がさ、オレから離れたくないから、だってさ。もう、外見だけじゃなくて中身も可愛すぎ……」

「ぶにゃぁぁぁぁあ!」


 オレの膝から抗議の声があがる。ずっと大人しく撫でられていたミーが顔をあげてオレを睨んだ。


「オレ、変なこと言ったか?」


 ミーが顔を近づけ、オレの鼻に鼻をつける。



 ポンッ!



 軽い音とともにミーが人の姿に戻った。

 長い白金の髪が白い素肌を滑り、ガラス玉のようにキラキラ輝く水色の瞳がまっすぐオレを見る。高すぎない鼻に、花弁のような唇。両手にすっぽりと収まる小さな顔。

 そこになにも身にまとっていない姿はグッとくる。どこに、とは言わないが。


 ミーが涙目のまま、白い頬をほんのりと赤くして叫んだ。


「バーク様のバカ!」


 それだけを言うと、オレの口に軽くキスをした。



 ポンッ!



 再び軽い音とともにミーが猫の姿になる。そして、執務室から駆け出した。

 呆然としているオレにオンルが声をかける。


「追わなくていいんですか? あとで拗らせても知らないですからね」

「ハッ! そうだ!」


 オレは急いでミーを追いかけた。といっても行き先は見当がついている。

 自分の寝室に入ったオレは、ベッドへ歩いた。整えられたベッドの枕元が不自然に盛り上がっている。


「どうした、ミー? オレ、なんか変なこと言ったか?」


 するとミーがシーツから顔だけ出した。


「にゃ! うにゃにゃにゃん、にゃ!」

「まずは人に戻ってくれ。猫語はわからんから」


 オレはミーの鼻に鼻チューをした。ポンッという軽い音とともにシーツの中に人のミーが現れる。


「さっき言ってたことをもう一回、言ってくれ」

「うー…………あの、あまり私を褒めないでください。褒めるなら……せめて、私のいないところでお願いします。あと、私が言った恥ずかしいことを、他の人に言わないでください」

「褒めるぐらいいいだろ。減るもんじゃないし」

「私の平常心がすり減ります!」

「それを言ったらオレなんて……」


 シーツにくっきりと現れたミーの体型。全体的に丸みを帯びながらも、キュッと細くなった腰が豊かな胸と尻を強調する。それに、スラリと伸びた滑らかな手足。素肌はいっさい見えないが、これはこれで逆に艶っぽい。

 オレは思わず前屈み気味になりながら、額を手で押さえた。


「ミーが人に戻るたびに、なけなしの理性が削られてるんだぞ」

「なけなしの理性?」

「こういうことだ」


 オレはミーの後頭部を掴み、荒く唇を押しつけた。



 ポンッ!



 どんなに深いキスをしたくても、すぐに猫になる。いや、猫は猫で良い。猫の姿も可愛いし、猫にしかできないこともある。


「キスで猫になるところだけ、早く解呪してくれぇ」

「にゃ! にゃ! にゃ!」


 ベッドに伏せて嘆くオレの手をミーが叩く。もう、その肉球が! ぷにぷにが! ご褒美でしかない!

 オレは騒ぐミーを抱き上げた。この、ふわっふわっで、もふっもふっの毛が! この小さな温もりが! この愛らしさが! 全身で誘惑する!


「このままだと、オレのなけなしの理性が崩れて、いつ襲うか分からないからな。その前に理性を補充だ」

「ふにゃっ!?」

「吸うぞ!」


 オレはミーの腹に顔を埋めようとして。


「ヴニュャァァァアア!!!!!」


 顔面を思いっきり引っかかれ、オンルには極悪人面に箔が付いたと言われた。





最後まで読んでいただきありがとうございました(*・ω・)*_ _))ペコリ

よければブックマーク評価☆をポチッとお願いします(人*´∀`)。*゜+

励みになります!(๑•̀ㅂ•́)و✧

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

日常垢ですが、たまに小説投稿や書籍情報について呟きます
X(旧Twitter)
配信中の電子書籍サイトはこちら↓
エンジェライト文庫販売ストア一覧
 
書き下ろし小説4巻が4月24日より配信開始
・4巻は竜族のギルドに届いた奇妙な依頼から、獣人の国がある東の大陸へ! そこは中華風ファンタジーな国でした+番外編では使用人A全員の名前がついに出てきます!
 
・1巻は第一章よりモフモフが増加+書き下ろし短編(温泉編)付き
・2巻は第二章よりWEBとは前半のストーリーを変更、イチャ甘を増量
・3巻は第三章を大幅加筆+番外編でバークとオンルの幼少期と出会い編の書き下ろしも収録!

i954447
茶色井りす先生によるコミカライズ配信中
【毎月 第一木曜日1話配信】&【合本版1・2・3・4巻配信中】
可愛い猫のミーとイケメン筋肉のバークが漫画で読めます! 眼福、癒しコミカライズになっておりますので、ぜひ!
i1000947
― 新着の感想 ―
[良い点] か、かっわいぃ!!!
[良い点] すごく良かったです! 途中、元婚約者の目論見にハラハラしましたが、ミー自身の力で跳ね返したところはスッキリしました。 2人の糖分多めのお話ももう少し読みたかったです。 ステキなお話をありが…
[良い点] 呪いで猫になったら筋肉イケメンに愛されるって可愛いお話だなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ