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SOMBI HERO  作者: のあ
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プロローグ

1990年1月1日、年が明けたすぐ直後の事だった。

年越しで賑わう東京 渋谷のスクランブル交差点へ空から10体程度の異形の姿をした2〜3メートルくらいの高さの怪物が勢いよく人々や車を下敷きにして天から降り立った。


それを見た渋谷の人々は悲鳴を上げ、怪物達から逃げようとするも、怪物達は渋谷の人々を一斉に襲い、怪物に殺された人々も人を襲う異形の怪物へと変貌する様に、後に人々はこれらの怪物の名を「ゾンビ」と名付けた。


その後渋谷は壊滅し、更に他の地区もゾンビに制圧され人類のゾンビ化拡大の勢いは収まらず、人類は窮地に陥った。


人類がゾンビに襲われた1週間後、東京は既に壊滅状態になっていたが突如、生き残りの人類達の前に未来からやって来た科学者と名乗る女が現れた。


「闘え、人類」

「お前たちの時代を取り戻せ」


そう言って科学者の男は全国の生き残った人類に一見、化粧品のような見た目をした「変身アイテム」と呼ばれる道具を数十万個手渡した。

人類は変身アイテムを用い、ヒーローのような格好に変身し、ゾンビと闘った末にゾンビに制圧されていた東京の地の一部を取り戻した。

変身アイテムを用いてゾンビと闘う者たちを人々は「ヒーロー」と呼んだ。


それから時は流れ8年後、1998年東京。

ゾンビに制圧され、取り戻すことが困難な都市は全国で隔離された。

しかし、ゾンビがいないはずの安全地区にゾンビが何故かぽつぽつと現れるようになった。

そして僕は今ヒーローをやっている。

1匹のゾンビを追いかけてる真っ最中。


「縺ェ繧薙……□繧茨シ!?」


よく分からない言葉を叫びながら刹那の速さで走るゾンビになかなか追いつくことが出来ずどんどん距離が離れていく。これでも脚の速さには結構自信があったんだけども…


今追いかけているゾンビはヤギの頭に筋肉質な人間の身体をした肌の色が全身真っ黒で陸上のユニフォームを着た逃げ足の早いヤギ。


狭い路地、住宅街なので攻撃して足止めなんて周辺住民に迷惑がかかって出来ないし馬鹿正直に奴を追いかけるしかない、が、


「な─────っ!?」


ゾンビが行く先の道の近くにある多くの行く先々の住宅がいきなり爆破し、砂埃が舞って視界が奪われ、瓦礫が大量に崩れた。

化け物は足止めを食らい僕は視界を砂埃で遮られながらもなんとか化け物に追いついた。


「い〜ぶき君」


関西弁口調の軽々しく忌々しいある男の声が目の前にある瓦礫の山の頂上から聞こえてきた。

獅子のようなデザインがされた某仮○ラ○ダーのようなアーマーを装着した男が瓦礫の上に立っているのが見える。


「もうちょっと、頭使えんの〜?」


男はそう言って化け物を勢いよく某ヒーローのようなキックポーズをとり、ヤギの化け物を踏みつけ瓦礫から降りた。


「お前、好きやろ?仮○ラ○ダー!」

「ラ〇ダーキックやで!」


「ふざけんな!冬桜(とおう)!」


僕が冬桜(とおう)という男に一喝すると冬桜(とおう)はハハッと笑い、


「何〜?伊吹、自分の好きなモン茶化されてキレとんの?」


「そうじゃない、なんなんだよこのっ…周り!」


周りを見渡すと一部紛争地帯のような土やコンクリートや瓦礫があちこちに散乱した酷い有様になっている。


「何住宅ぶっ壊してんの!?これじゃアイツらよりもお前が一番悪者だよ!」


「伊吹、細かいと気にしよったらアカンって。正義に犠牲は付き物!それにこいつらの家や財産や命が消えたって俺はなぁ〜んにも思わんしホンマ死ぬ程どうでもいい」


冬桜(とおう)はハハハハハッと豪快に笑い、ヤギの化け物の頭蓋を肩の高さまで右手で掴み上げた。


「ああ、それより忘れとった」


冬桜(とおう)は冷静で抑揚のない声でそう言い、林檎を潰すようにヤギの頭蓋を握り潰し、黒い血と骨や肉が辺りに飛び散る。


「ここにもう1匹バケモンおったわ!」


「っ!」


あちゃーと言いながら手を頭に置き、明るい口調で残酷な言葉を放つその男の不気味さに身の毛がよだつ。


「俺な〜ヒーローやから。お前とは敵、殺し合わなアカンねんなー」


ヒーローは冬桜(とおう)のようにゾンビ対抗する力を持つ人間のことだ。

だから───────


「在り方は歪んでいるかもしれないけど、僕もヒーローなんだ!」


「え!?お前がヒーロー!?笑わせんといてぇな〜!?伊吹くん〜」

「その存在も在り方も何かもヒーローと程遠い何処にも居場所が無い化け物なんやでお前は」


僕を小馬鹿にしたような、哀れむような煽り口調でそう言うと、僕は地面にある化け物の血溜まりを掌で吸い上げそれを小刀の形に変形させ、短刀を2振り造り出し構えた。


「う、うるさい!こんなことしたって…無駄だよ!」


「せやなあ」


相変わらず柔らかい口調で答え、冬桜が構えたまま、僕の方に近づく。


「じゃあなんでお前は僕を攻撃するんだ!」


「お前が化け物やからなんと〜あとは…」

目で捉えられなかったほど拳を出す速度が素早くも、重みと破壊力があるボディブローが脇腹を炸裂した。

驚異の素早さと破壊力が合わさったボディブローに僕は痛みを感じる前に何メートルか遠くに飛ばされ横たわった。





「俺な、なぁんも努力とか苦労とかしてこうへんかったようなお前みたいな腑抜けのモヤシ野郎は死ぬ程嫌いなんよ」

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