かまくらの少年
青い髪の少年がすべて塞ぎこんで
一年が経った。
一年中雪が降る街で
固い固い かまくらのなかで
一人ぼっちで 体育座りで
今日も明日も冬ごもり。
そうしていたら、
いつの間にかゴミだらけの世界に
一人落ちて ぽつんと引きこもっていた。
黒いかまくらのなか
あったかくて 寒くなくて
ゴミもないから 快適で
だけど ずっと 何もなくて
空っぽかまくら
体育座り
他のゴミとも
誰とも 会わない。
外には黒い雪のような
灰がたくさん 降ってくる。
何かが焼かれた 黒い焦げ炭
燃えカスちらり かまくらに積もる。
もう誰とも会わないのか。
このままひたすら 体育座り
ぽつりと涙 眼鏡に落ちた。
誰もかまくら 覗かないから
少年はじめて 外を覗いた。
真っ暗な夜空 ばらまかれた星
白い雪のよう キラキラの光
粉雪恋しく 久しぶりになる
懐かしい気持ち 一年ぶりだと
ようやく 気づいた。
ゴミの世界で
ようやく吸う息
汚い空気が
美味しく 感じた。
ぽつりと涙 曇った眼鏡に
落ちて一筋 キラリと光った。