冬童話2019・2020・2021・2022・2023・2024提出作品
モアイさんとほしのおくりもの
ここはイースターとう。
モアイさんのあさは、いっぱいのコーヒーからはじまります。
ひきたてのまめのかおり。
うーん、きょうがはじまった!
そんなきぶん。
「モアァ! もああぁあ!」
あら、ベビーモアイちゃんがおきたみたい。
「どうしたのかな? よくねむれた?」
「モア! モア! オッパー!」
「はいはい、いま、オッパーあげますね」
そういって、モアイさんは、ぽこんっとむねをはずして、ベビーモアイちゃんにわたします。
「オパっ! ごくっごくっ。
……このいっぱいのためにうまれてきた」
きゅうにおしゃべりがじょうずになるのも、オッパーのおかげ。
「さて、オッパーもあげたし、いまのうちに……」
モアイさんは、ちじょうをかんさつします。
さいきんのたのしみは、ヒトをうきうきウォッチングすることです。
ヒトのこそだては、きょうみぶかいです。
みんなでベビーをそだてます。
どうぐもふえて、オッパーをビンにいれてのませたり、ひもでベビーをだっこします。
ヒトのベビーは、じぶんではなにもできないのです!
むねがとれないなんて、こそだてたいへんですね。
ベビーがおっかけてきたり、ずっとないたり。
マザーのじかんはなさそうです。
でもヒトは、モアイさんみたいにオッパーはとれないけれど、オッパーのかわりをつくって、みんなでそだててます。
だからきっと、ちじょうにたくさんふえたのですね。
「そんなヒトも、おおきくなると、せっかくそだてたベビーどうし、けんかばかりなのね……。
ドラマがあって、おもしろいわ〜」
かためのいわをバリバリたべながら、ごろごろウォッチングします。
「オッパーおわった! あそぼ!」
おっと、オッパータイムがおわりました。
モアイさんは、ベビーモアイからむねをうけとって、ぽこんっと、つけます。
こうしておくと、オッパーにマナがたまるのです。
「はいはーい、きょうは、なにしてあそびましょうか」
「かおごっこがいい!」
「かおごっこね、よし、モッアーイ!」
こうして、ベビーとすごすのです。
いっぽう、そのころ。
パパモアイのおしごとは、マナのかんりです。
マナとは、ちきゅうやうちゅうにある、まりょくのような、ふしぎなちからです。
もうすぐ、ちきゅうからとおいオリオンざの、ベテルギウスというおほしさまがしんで、パン! します。
おおきなおおきなふうせんが、はじけるみたいになるそうです。
パパモアイは、そのパン! からちきゅうをまもるため、オゾンそうをマナでつよくします。
めいそう、めいそう、めいそうです。
なので、ママモアイはひとりでこそだてをします。
おおきくなあれとそだてて、パパからベビーに、マナをひきついでもらうのです。
よるになりました。
ベビーモアイちゃんは、ゆうらゆらところがされて、すっかりうとうといいきもち。
おほしさまがきらきらしています。
モアイさんは、ちきゅうさんのぐちをきいてます。
「は〜あ、46おくさいか〜……。おはだがかんそうして、かゆいのよね〜。ちょっと、カサブタをべりっとしたいわ〜」
「ちきゅうさん、カサブタをべりっとしたら、たくさんいるいきものが、みれなくなりますよ」
「あっ、そっか〜、モアイさん、うきうきウォッチングにハマってるんだっけ。たのしみをうばうことは、したくないわね〜」
「せめて、あと1おくねんは、ガマンできませんか?」
「うーん、そうね〜。あら、でも、モアイさん。オリオンざのほしが、パン!ってなったら、わたしのカサブタはおおあらしよ。もっとマナをためないと〜」
「あらあら。ちきゅうさん、よけられないんですか?」
「きんにくがたりないのよね〜。ちょっと、はんぷくよことびの、れんしゅうしようかしら?」
「おつきさまにぶつからないように、おねがいしますね」
そうして、よるがふけていきます。
モアイさんは、いつか、ヒトがかせいにいくのを、とてもたのしみにしています。
そうしたら、かせいとちゅうけいして、かせいをうきうきウォッチングをするのです。
もしも、オリオンざのベテルギウスがパン! して、ちきゅうさんまでとどいたら、ですか。
そのときは、そのときです。
だって、ほしがしぬときは、ほしがうまれるときなのです。
いつかモアイさんのからだは、くだけていしになり、こなごなになって、すなになり、もっともっとちいさくなって、ちきゅうさんのかけらにもどります。
そうして、ほしのかけらはめぐっていきます。
みんな、ほしのおくりものです。
「すーやすーや」
モアイさんも、ベビーモアイちゃんも、ほしのかけらで、できています。
「おやすみ、ベビーちゃん。おおきくなあれ」
マナのリレーはつづきます。
(おわり)