第998話 戦闘開始
「いずれ、気づかれるとは思ったが、思ったよりも早かったな」
「降霊術以外にも錬金術もだろ?多分、それ以外にも使えるのだろう」
「隠す理由も無いからなぁ。魔法を扱う多くの人間は得意な魔法に応じて、黒魔術、白魔術と進化し、君は黒魔術:降霊術を得意としただけだ。君もその気になれば、降霊術以外も使える筈だ。だが、君には能力もあるからこそ難しいがね」
「今更、新たな力を得ようとはしない。僕は今のままで十分だ」
「向上心が無いか。私には考えられない。どこまで強くなっても、どれだけの敵を倒しても満足出来ない。だからこそ、求めるのさ。この世の全てを」
アレイスターの話の最中のジークが気にするのはクラディウスの体を得たブリュンヒルデだけだった。
そんなクラディウスの体を得たブリュンヒルデはアレイスターの隣に移動を終えていた。
「もう会話などは不要だ。アレイスター、ジークをやるつもりが無いなら、もう俺がやる」
「ブリュンヒルデ、調子に乗るな。虎の威を借りる狐め。クラディウス・マークデウルの力の一部だけしか得られないお前だけではジークは倒せん。二人でやるぞ」
「……良いだろう。その方が早く片付きそうだ。ただし、殺すな」
「自身の保身に必死だな」
「ワルキューレ達には管理する神で必要な魂の管理がある」
「ジークが現れるまで、お前達も魂だけの存在だと言うのに」
「ジークを生け捕りにした後、ワルキューレ達の魂管理をやってもらう」
「大人しく、言うことを聞くのか?」
「こちらで操作する」
「そうか。では、初めようか」
アレイスターとクラディウスの体を得たブリュンヒルデはジークを向かい襲いかかる。
ジークは受注生産を発動させ、二体の巨大な大仏を出現させる。
「ブリュンヒルデ。受注生産はジークが望む重さ、性質、形をする警戒しておけ」
「それぐらい理解している」
ジークは背中に背負っている黒棺から二つの魂を取り出すと、受注生産で出現させた二体の大仏へと入れ込む。
「アレイスター。降霊術で魂を大仏の内部に入れたぞ。大仏達も動き出すぞ」
「ブリュンヒルデ理解していることを吠えるな」
二体の巨大な大仏は独りでに動き、アレイスター、クラディウスの体を得たブリュンヒルデへと襲いかかる。
しかし、クラディウスの体を得たブリュンヒルデはクラディウスの能力である法則改変を発動して、攻撃していた大仏の行動を変化させ、クラディウスの体をブリュンヒルデの攻撃を大仏自身へと殴る様に変更していた。




