第996話 裏切り者
クラディウスの体を得たブリュンヒルデとジークの戦闘のその最中、アメリカ軍から来たラインハルトが到着する。
「待たせたね。ジーク」
「……ベルセルクはこれも僕に任せるとは」
「……その口ぶりは、何か知っているのかい?」
「君が裏切り者って事だけは」
「ジーク、久しぶりの再開でつまらない事を言わないでくれよ。助けに来たんだ」
「アレイスターも居るんだろ?ラインハルトの影の中に」
「……いつから気づいていたんだ?」
「君の影を見たその時さ。影は他者の者から奪ったと言ったねラインハルト」
「言ったが」
「その影に魂が混在している事に気がついていたか?」
「……成る程、ジーク君は言ったね。僕が裏切り者だと、ベルセルクも知っていると」
「そうだ」
「なら、何故、ベルセルクはここに僕を行く許可を出した?」
「全てをチーム[ヴァルハラ]の厄介事を僕に押し付けたんだよ」
「信頼とは言わないよ。それは」
「確かにね。でも、ベルセルクは僕を頼っているだけさ」
ラインハルトは影を無数に出すと、そこからアレイスターを出現させる。
「久しぶりだね。ジーク」
「アレイスター。……君達二人は管理する神に所属しているのか?」
「……それは君が知る必要の無い事だよ」
「チーム[ラプラス]……違うかい?」
「どこで?」
「[レジスタンス]が集めた情報にあったのさ」
「……ジークフリード・アンサンブルこれ程までの物あるか。ラインハルト、私をここから離脱させろ」
アレイスターのその言葉を聞き入れ、ラインハルトは影を伸ばし、アレイスターを包み込む。
「無駄だ。ここからは逃げられない」
「何を言っているんだ?ジーク」
「旗が突き刺さって居るだろう。あの効果はここに居る者が一人になるまで逃げられないと言うものだ」
「……ワルキューレの能力。ジークを倒した時に抜くつもりか。余計な事をしてくれる」
ラインハルトはアレイスターを影を包む事を止め、地面に突き刺さった旗を抜きに動く。しかし、ラインハルトの目の前にジークが立ち塞がる。
「悪いが君達二人は逃がさない」
「ジーク、君としては人数が減るのは助かる事では無いのか?」
「ここに居る全員は僕が倒す!」
「出来ない事を口にするものではないよ」
「……今の僕は[レジスタンス]のジークフリード・アンサンブルだ。リーダーの木山廉の考えに賛同したものだ。木山廉は言った。出来るか、出来ないかは、やった奴だけが言える言葉だと、やっても無いものが言えるのは、何もしなかっただと、僕は己の力の限り戦い続ける!」