第994話ワルキューレ達
「ブリュンヒルデ。皆もここに連れてきたら、どうだい?」
「降霊術を使う貴方には隠れる何て事は出来ないわね。念のため言っておくけど、私達の体は貴方の降霊術を使っても魂は抜けないわ」
「だろうね。それぐらいの処置はするだろうと思っていたよ。だったら、何故、ここに来たんだい?」
「……それでも私達の不安定な魂を止めておけるのは、管理する神には居ない。貴方を拐い、操って貰うわ」
「僕が何故ここに来たのか、分かるかい?」
「私達の始末でしょう。出来るかしら?」
「出来る自信があるからこそ、ここに来たんだ」
「……では、見せて貰いましょう」
ブリュンヒルデのその言葉に促される様にジークは受注生産を発動し、巨大な大仏を三十体出現させると、黒魔術:降霊術を使用して、大仏の中に魂を入れ込むと、三十体の大仏は動き、隠れていたワルキューレ達を潰し、叩きつけ、握りつぶした。
「比較的に弱いワルキューレの三十人を直ぐ様、殺すとは良く見抜いたわね」
「魂にも強弱がある。それに魂を入れたのは、僕だ。入れる際の魂の強さは理解した。そして、最初に処理する三十人は決めていた」
「それぐらいして貰わないと張り合いが無いわ」
ブリュンヒルデは右手で自身の顔に触れて、大量の魔力を注ぎ込む。
「……黒魔術:変装術か。誰に化けても無駄だ」
「それは……どうだろうな」
ブリュンヒルデのその言葉の最中、声質は変化し、女性の声から男性の声へと変化していた。その男性の声はジークが忘れもしない人物だった。
「……クラディウス・マークデウル」
「そう。忘れも出来ねぇだろ?」
「黒魔術:変装術は触れた対象の姿形と力の一部を得る魔法だ。どこで触れた?クラディウス・マークデウルは今はアメリカ軍が管理するコキュートスの牢獄の中だ」
「なら、どこで触れたんだろうな。ジーク……思い出すな。ここは俺が最も暴れ、捕らわれた場所だ。お前は逃がしたがな」
「もうあの頃とは違う!変装術ごときで僕は倒せないぞブリュンヒルデ」
「それはどうだろうな」
ジークは降霊術の魂感知によって、背後にいきなり現れた存在を感知する。そこにはチーム[ハンド]に所属するブレア・キースの姿があった。
ブレアは能力である女神の旗が発動すると、ブレアは旗を手にし、それを地面へと突き刺す。
「ジーク、あの旗の効果は何だと思う?」
「どうだろうね。使用者の思いによって、変化するからね」
「……正解はこの場に居る者は最後になるまで、この場所なら離れる事が出来ないだ」