第992話 探索
「何をやるつもりだ?」
「僕の降霊術でアキレスを探します」
「なるほど、人探しにも応用出来たんだったな」
「ええ、僕の能力、受注生産を発動させ、剣を造り、その剣に魂を入れ、アキレスの所まで案内させます」
ジークは受注生産で造り出した剣に魂を入れ込むと、その剣は独りでに動き始める。
「行きましょう」
独りでに動く剣の後をベルセルク、ジーク、ヘラクレス、ブリュンヒルデの四人は動き出す。
剣は入り組んだ路地へと入り、暫くすると、地面へと突き刺さる。
「どうやら、この下に居る様だね」
ジークのその言葉により、ベルセルクは己の右こぶしを地面へと殴り付ける。地面は崩壊し、四人は下へと降下していく。
「アキレス」
アキレスの姿を見たジークは思わず、声を上げていた。アキレスの両腕、両足はその場で切断されており、床に倒れるアキレスの付近に無造作に放置されていた。
「アキレス、何があった?」
ベルセルクはアキレスに近寄ること無く、アキレスに語りかける。ベルセルク以外にも、ジーク、ヘラクレス、ブリュンヒルデもアキレスに近寄る事はなかった。敵の情報が無い今、アキレスに近寄る事はせずにその場で様子を見ることにした。
「……魔神を出現させる化け物が居る。このオランダに」
「魔神?」
「信じないか?ジーク」
「信じても良いが、魔神は希少な存在だ。本当に魔神だったのか?」
「間違い無い。あの異形な姿、禍々しいオーラに加えて自ら魔神と名乗った」
「……アキレス。他のメンバーはどうした?」
「俺も分からん。あいつは強すぎる……オランダから撤退しろ」
「どうする?ベルセルク」
ジークはリーダーであるベルセルクに確認を取る。
ベルセルクは暫く考え込むと、決断する。
「アキレスを回収して、オランダから離脱する」
「賢明な判断だ。ベルセルク」
リーダーであるベルセルクのその判断により、チーム[ヴァルハラ]メンバー達はオランダを後にし、会合はロシアのチーム[ヴァルハラ]の本拠地で行われた。
「それで、アキレスの状態はどうなのですか?ジーク」
「両腕、両足が切断されていますが、命に別状はありません。切断された両腕、両足の縫合はラインハルトの部隊のアレイスターに処置を頼んだ」
「アレイスター……あいつの魔法はそんな便利なものではなかった筈ですが」
「今は彼の……彼女の力に頼るしか」
「……彼女?彼は……そうか、彼女だな。これでチーム[ヴァルハラ]の欠点が浮き彫りになったな」
「……確かに」